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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第2話 紫の月
51/67

21.争乱 中編の前編

文字数(空白・改行除く):2,679文字

 ヒューイ、ヒュイ。

 ゴォォォォォォォ――。

 大きな影。ザルソンだっ!

「ルイ! リクを抱えて、この縄に掴まって!」

「オッケー!」

 この縄の先の金具、ザルソンの足に引っ掛けられてる。

「ルイ、プレーヌをちゃんと守ってよね」

「任せといて」

「いくよっ! 巻き取りっ!」

 キュイイイイイイイン――。

 ザルソンの足の近くにつけられたウィンチが、縄を巻き取っていく。

 てか、速くない⁉︎

 ねぇ⁉︎

 速くない⁉︎

 下は……。

 うわぁっ!

 50mはあるよっ!

 やばいよっ!やばいっ!

 手、手から力が……。

「バ、バカッ! 離すなっ!」

 リクが両手で僕の右手と縄をつかんだ。

「ご、ごめんっ」

「ルイ! あともうちょっとだから、耐えてよね!」

「うんっ」

 プレーヌちゃんが、ザルソンの体を掴んで乗った。

「ルイ、掴んで!」

 差し伸べられたプレーヌちゃんの手を握る。

 ぐいっ。

 ――引き上げられた。

 プレーヌちゃんの手によって。

 中2男子と5歳児が。

 ……え?

 えーと、馬鹿力すぎじゃないのかな?

 ……まあ、いいや。

「ルイ。速くは飛べないみたい」

 え?なんで?

「あそこ」

 ん? 何あれ?

 指差された方にあるのは、お札。

 なんか、他にも4枚くらいあるんだけど。

 ていうか、浮いてる⁉︎

 どゆこと⁉︎

「参加者だろうね。誰かが、あのお札を作って術をかけたんだよ。何の術かは分からないけどさ。速く飛べなくなったのは、あれのせいなんじゃないの?」

「――ご名答」

 誰っ⁉︎

 僕たちの6m後ろに、黒髪長髪黒ローブの男が、お札を構えて赤い竜の上に立っていた。

「ぼくからも訊きたいのだけれど、他の参加者を飛べなくしたのは君たちかい?」

 男は下を指さした。

 ん?

 竜に乗った人たちが、見えない壁にぶつかったように、ドンッと当たっては落ちていった。

 ――バリアか‼︎

「そうですけど。僕たちに何か用ですか?」

「何か用、って! あっはははは」

 なんでこの人、爆笑してるんだろう。

「あるに決まってるだろ⁉︎ 喋りかけてるんだから」

「――ルイ」

 ん?

 プレーヌちゃんが耳打ちしてきた。

「バリアが張られたとはいえ、飛んでる人は他にもいたはず。この人だけのはずがないんだけど」

 たしかに。

「まさか、ね」

「そのまさか、正解だよ。ぼくが全員、倒しちゃった」

 ……は?

「ついでに君たちにも死んでもらうからね」

「チッ。殺人狂かよ」

「殺人狂? 酷いこと言うなぁ。違うよ。ぼくは殺人狂じゃない。魔術師だ」

「こっちだって魔法使いだっつーの」

 男は、お札を左手の人差し指と中指で挟み、左目にかざした。

「ポーズ、自意識過剰の厨二病じゃねーかよ」

 たしかに。

「『()』」

 ボッ。

 あっ⁉︎ 札が、燃えたっ⁉︎

 火はそのまま大きくなり、炎が狼のような獣の形になって空中に浮いた。

「ガルルルルルルル――」

「行け」

「ガウッ」

 うわっ、来たっ!

「チッ。来やがったかっ」

 リクはベストの内側から、1本ナイフを取り出した。

 ヒュンッ。

 投げられたナイフは、空を駆ける狼に向かって飛んでいった。

 ズバッ。

 ナイフは狼を突き抜け、狼に空いた穴は、また火で覆われた。

「実体、ねぇのかよっ」

「来たよっ」

「とりあえず、斬るからねっ!」

 狼が口を大きく開くと、鋭い牙が見えた。

 プレーヌちゃんは立ち上がり、右手の剣を狼の口に押し当てるように構えた。

「ガルッ」

 ぐっ。

 プレーヌちゃんが狼の動きを止めた。

 実体が、ある……?

「ならっ」

 スパッ。

 プレーヌちゃんは、左手の剣で狼を斬った。

「ガウッ⁉︎」

 そして狼は消滅。

「ほう。術が破られるとは。まあ、最低レベルの術ではあるけども」

「どうしてナイフは突き抜けたんだ?」

「火の形を変えた、と言えば分かるかな?」

 火の形を変えた?

 ということは、ナイフが刺さる瞬間に穴を空けたってことかな。

「そういうこと。よく分かったね。偉い、偉い。ご褒美をあげるよ。そうだなぁ。あめちゃんでいい?」

 大阪のおばちゃんですかっ。

「あ、生憎、持ってないよ。ポケットの中はお札だけ。ということで、バトルの続きでもしようか」

 男は10枚ほどお札を取り出して、左目にかざした。

「本気を出そうか。『無限の星エトワール・アンフィニ』!」

 バサッ。――ボッ。

 男がお札を全て上へ投げると、宙で燃え、10の火球になった。

 ヒュン。

「飛んできた⁉︎」

 スパッ。

 プレーヌちゃんが切った。

「ルイ、上を見てっ」

「うんっ」

 ――え?

 いつの間にか、火球は増えていて、100以上はありそうだった。

 そして、男は芝居がかった動作で、空に右手をかざした。

「これが最高レベルの魔術『無限の星』だ。まだまだ火球は増え続けるよ」

 マジか……っ。

 ヒュン。ヒュン。

 プレーヌちゃんが一刀両断。文字通り一刀両断。

 ヒュン。ヒュン。ヒュン。ヒュン。

 今度は二刀両断。

 と、切っている間にも、火球はとめどなく飛んでくる。

 ヒュン。ヒュン。

 ヒュン。ヒュン。ヒュン。ヒュン。

 ヒュヒュン。ヒュン。ヒュン。

「追いつかないでしょっ!」

「『カー・フォール』」

 え?

 リクがそう唱えると、リクの動きがピタッと止まった。

 お前、何してるんだよ! こんなときに!

「ちょっと黙ってろ」

 リクはひたすらに火球を見つめていた。

 キュルキュルキュルキュル――。

 ん?

 リクから音が鳴ってる。

 あれ?

 リクの左目に文字が浮かんでる。

『ydigxutarwdhckihoigufyetw』

 んー、何これ。

「よし、俺も手伝ってやる」

 左目の文字が消え、リクはナイフを2本、取り出した。

 スパッ。スパッ。

「ぼ、僕はどうしたらいいっ?」

「お前はひたすら避けとけ!」

「どうしてっ? 手伝うのに!」

「お前には無理だっ。ナイフや剣が使えねえとダメなんだっ」

 そんな……っ。

 ヒュン。ヒュヒュン。ヒュヒュヒュン。ヒュン。

 スパッ。スパッ。スパッ。

 ヒュン。ヒュン。ヒュン。ヒュヒュン。

 スパッ。スパッ。

 スパッ。

 ヒュン。ヒュン。

「避けきれねぇっ」

 ジュッ。

(あち)いっ!」

 リクッ!

 リクの服の肩の部分が、線状に燃えて焦げた。

「大丈夫だ。火傷はしてねえ」

「こうなったら、アイツを倒すしかないでしょっ」

「でもどうやってっ?」

「こうやってっ!」

 プレーヌちゃんが、男の赤い竜の足に、金具と縄を引っ掛け、縄の箸を持って飛び降りた。

 ええっ⁉︎

 振り子の如く、勢いよく竜の向こうへ進む。

 最高点だっ!

 プレーヌちゃんは、手を離し、竜に手をかけた。

 そして、のし上がった。

「ルイ! リク! 早く行って!」

「どうしてっ」

「行くぞ、ルイ」

 えっ、リクッ⁉︎

「ザルソン、行けっ」

 ザルソンは、速く飛べないながらも、全速力で動き出した。

「プレーヌちゃんっ」

 プレーヌちゃんは、男に体を向けながら僕の方をチラッと見た。

「――頑張って」

「もちろん」

 「プレーヌを守れ」と、ツェルドくんに言われているけれど、これぐらいしか、今は何も出来ないから。

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