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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第2話 紫の月
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21.争乱 前編

文字数(空白・改行除く):2,886文字

 犠牲。

 自己犠牲。

 自分の代わりに友達を進める。


「おはよー」

 今日の午前中は作戦会議。午後は王座決定戦!

 ということで、僕たちは癒しの間に集まった。

「おはよう」

「おはよ」

「おはよ」

「遅かったな」

 皆はカーペットの上で円になって座っていた。

「ルイ」

 トントン。

 ツェルドくんが右隣のカーペットを軽く叩く。

 あ、ここに座れってことか。

 よっこらせっ、と。

「今から、作戦会議を始める! まず、体調確認だ。大丈夫か?」

 リクが皆を見上げながら見回した。

「大丈夫」

「大丈夫」

「大丈夫だ」

「大丈夫だよ」

 プレーヌちゃんのお兄さんを探したのが一昨日。

 昨日は、勉強して、ぐっすり寝て、体力回復‼︎

「じゃあ、今日の作戦を説明する!」

 リクが立ち上がった。

 っていっても、座ってる僕たちと大して身長が変わらないけど。

「作戦は――」

 ゴクリ。

「『とりあえず、ぶった斬って進め』!」

「「「「どんな脳筋作戦なんだよっ!」」」」

 とりあえず、とか。

 ぶった斬って、とか。

 考えるよりも先に行動、以外の何者でもないだろ!

「まあ、いいんじゃないか」

 レネアさんがフッと笑った。

「そうだね。ぼくもそれでいいと思う」

 えええっ⁉︎

 ぶった斬れない系男子には、到底無理な作戦なんだけど⁉︎

「プレーヌは?」

 ツェルドくんがプレーヌちゃんに訊いた。

「いいんじゃない」

 えええっ⁉︎

 プレーヌちゃんは、ぶった斬れる系女子なんだね⁉︎

「ということで、可決だっ!」

 リクが声高らかに宣言する。

 え、ちょっと、僕の意見は?

「お前の意見なんか、どうでもいい」

 ひどっ。

 ひどすぎっ。

「じゃあ、もう少し細かい作戦を練るぞ」

「うん」

「王座決定戦に出場する人は、2時に城の堀の外5mの範囲内、地上に集合なんだ。出来なかった人は参加権利を失う。堀の中にいること、上空にいることも禁止だ。あと、防具の使用禁止」

 ふーん。

「しかし、始まった後は竜に乗ることができる」

 なるほど。乗っちゃいけないのは始まる時だけか。

「だから、始まったらすぐプレーヌにザルソンを呼んでもらう。その後、俺とルイ、プレーヌはザルソンに乗って空へ」

「どうして、ぼくとレネアさんは乗らないのさ?」

「ああ、説明し忘れてたな」

 説明?

「王座決定戦には2つのステージがある。第1ステージが、参加者同士が蹴落とし合う『争乱』。第2ステージが、第1ステージを制した者が城の中で王と戦う『一騎討ち』。第2ステージに参加できるのは、2枚のカードを持つチームだけ」

 2枚のカード?

「絶対に破れたりしないカードなんだが、そのカードが空と地上に1枚ずつある。だから、二手に分かれて集めようってことだ」

 なるほどな。

「そうだ、王子」

「何?」

「飛んだ後、俺たちが飛んだ後、空で停止したら、俺たちの下にバリアを張ってくれ。弓矢で下から狙われたら困る」

「オッケー」

「以上で作戦会議を終わる! 万全の状態で2時を迎えろ!」

 押忍!

 ――あれ、なんか違う?



「すごい数の人だね」

「まあな」

「今、何時?」

「知らね」

 とりつく島もないな、リク。

 リクはベストを整えた。

「1時55分だ」

 レネアさんが携帯をポケットに直す。

 あと、5分か。

「綺麗な水だね」

「そう? 普通だと思うけど」

 ツェルドくんとプレーヌちゃんが、しゃがんで城の周りの堀の水を見ながら話している。

「ここで起こった過去も、ここで起きる未来も、ここで起こってる現在(いま)も、全て受け入れているような穏やかさと美しさ」

「なるほどね」

 プレーヌちゃんは湖に手を入れた。

「――ツェルドは神って信じる?」

「神? 信じてるけど、それが何なのさ」

 神様の話?

「この国には四大神っていうのがあるんだ。もう一神足して、五大神っていうこともあるけど。赤月の男神、コーキノ様。青月の女神、アジュール様。竜の男神、ドラコーン様。水の神、ロー様」

 神様の話?

「あれ? どうしてロー様だけ、男とか女とか、無いのさ」

「ロー様には性別という概念が無いんだよね。容姿も、透明感のある青く長い髪。温かくて砂のような色の目。骨ばった手足と、深みのあるテノールの声。そう伝わってる」

 性別という概念が無い、か。

「で、話を戻すんだけど、『全て受け入れているような』。ロー様は別名、『運命の神』。だからじゃない?」

 運命の神。

 人の行く末を全て知っている水。

 穏やかに全てを見ている。

「他に名前があるのは、ロー様だけ?」

 言いながら、ツェルドくんは立ち上がった。

「ううん、全員。コーキノ様とアジュール様に至っては2つ。コーキノ様は、『新月』と『保護神』。アジュール様は、『満月』と『統治神』。ドラコーン様は、『縁結びの神』。ちなみに、4神とも歌があるんだよね」

「歌? どんな? もし良かったら、歌ってくれない?」

「いいけど。双子のコーキノ様とアジュール様は、合わせて1つ」

 コーキノ様とアジュール様って双子なんだ。

「言っておくけど、面白い歌じゃないから」

 すうっ……。

 プレーヌちゃんが軽く息を吸った。


「湖畔に浮かぶ 揺れ夜月。

 空を二つに 分かちたる。

 底にたたずむ 赤月は 青き未来を 育み 守る。

 天にたたずむ 青月は 赤き世界を 統べ 戻す。


 湖畔に浮かぶ 揺れ夜月。

 空を二つに 分かちたる。

 底にたたずむ 新月は 満ちた片割れを 愛で 撫でる。

 天にたたずむ 満月は 見えぬ片割れを 追い 慕う。


 湖畔に浮かぶ 揺れ夜月。

 空を二つに 分かちたる。

 底にたたずむ 少年は 少女と未来を 命と 代える。

 天にたたずむ 少女は 世界と人とを 動かした」


 似たような文で作られた歌だな。

 3番だけ、月とあまり関係ない気がする。

「次はドラコーン様?」

「うん」

 すうっ……。


月夜(つくよ)を覆いし 黒き翼

 獣のようで 人のような

 金色(こんじき)に光る 逞しき瞳

 生き物全てに 力を与え

 生き物全てを 救いたもう


 月夜を覆いし 黒き翼

 獣のようで 人のような

 金色に光る 逞しき瞳

 あなたを乗せ 風を切り

 月を横切り 雲を貫く


 月夜を覆いし 黒き翼

 獣のようで 人のような

 金色に光る 逞しき瞳

 (えにし)を紡ぎ 結びつけ

 人々が それを 絆にする」


 最初の、「月夜」から「瞳」まではドラコーン様の姿かな?

 竜みたい。

「ロー様は?」

 すうっ……。


「光が 湖面に 反射して

 あなたの顔を 照らしたもう

 光の御手が 顔を撫で

 その様子が また 湖面に映る


 光が 湖面に 反射して

 あなたの顔を 映したもう

 笑顔を吸い込み 水に溶け

 永遠に また 吸い込んでゆく


 光が 湖面に 反射して

 あなたの顔を 残したもう

 あまたの情を 閉じ込めて

 未来の世界へ また 持ってゆかん」


 なんか、他の2曲と比べて、他の名前になっていることが分かりにくい歌だな。

 ていうか、多い。

 こんなに歌、よく覚えたなぁ。

 全部で9曲もあったよ。

「ていうかさ、プレーヌ、歌上手いね」

「ありがとう」

 プレーヌちゃんが頬を赤らめた。

「20秒前!」

 突然、レネアさんが叫んだ。

 もうそんな時間⁉︎

「10秒前!」

「「「「「5!」」」」」

 レネアさんは、服を整えた。

「「「「「4!」」」」」

 ツェルドくんは、髪を右耳にかけた。

「「「「「3!」」」」」

 プレーヌちゃんは、ぶんっと手を振って水を払った。

「「「「「2!」」」」」

 僕は、目にかかりそうな前髪を左側に流した。

「「「「「1!」」」」」

 リクは軽く前髪をかきあげ、

「「「「「0!」」」」」

 フッと口元を緩めた。

「全員無傷で城門前に集合! スタートだ!」

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