18.魔法のバナナのアルバム 前編
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連想。
次から次へと違うものを思い出す。
一つ一つに思い出があり、ふと、それらも思い出す。
今日でここに来て5日目。今は7時半。
特にすることもない。
「ルイ、下に降りるぞ」
「はーい」
あれ?よく考えたら、ツェルドくんがいない。レネアさんも。
「王子は、もう下に降りてる。レネアさんは散歩だ」
「ふーん。今日は何かするのか?」
「今日は、特に何もない。だから、マジカルバナナでもしようかと思ってな」
マジカルバナナ!
とっても久しぶりだ!
「マジカルバナナは、マジカルバナナという名前でこの世界にも、フィヌレースにもある」
マジか⁉︎
マジカルバナナって異世界共通だったんだ⁉︎
「くれぐれも正体がバレるようなことは言うなよ」
「うん」
僕たちは、癒しの間に入る。
「おはよ」
朝ごはんのパンを食べ終わった僕とリクは、ツェルドくんとプレーヌちゃんとマジカルバナナをすることにした。
「じゃあ、俺からいくぞ。マジカルバナナ!バナナといったら黄色」
次は僕。
「黄色といったらレモン」
次はツェルドくん。
「レモンといったら酸っぱい」
次はプレーヌちゃん。
「酸っぱいといったら梅干し」
次はリク。
「梅干しといったらごはん」
「ごはんといったら食べ物」
「食べ物といったら美味しい」
「美味しいといったら果物」
「果物といったらリンゴ」
「リンゴといったら剥く」
「剥くといったら大根」
「大根といったら鍋」
「鍋といったら豆腐」
「豆腐といったらメンタル」
「は?メンタル、メンタル……。ちょっと待って、無理じゃん!」
「ツェルドの負けだな」
「当たり前じゃん!メンタルで、何を連想するのさっ!」
「心」
と僕。
「弓道」
とリク。
「白」
とプレーヌちゃん。
「案外、いっぱいあるじゃんっ!」
ツェルドくんは悔しげな表情を浮かべた。
「じゃあ、次はぼくからね」
「うん」
「豆腐といったら白」
「白といったらウサギ」
「ウサギといったらかわいい?」
リク、どうして疑問形なんだよ。
「かわいいといったらぬいぐるみ?」
あれ?僕も疑問形になっちゃった。
「ぬいぐるみといったらテディベア」
「テディベアといったらくま」
「くまといったら冬眠」
「冬眠といったら冬」
まんまで言っちゃった。
「冬といったら寒い」
「寒いといったら氷」
「氷といったらレネアさん」
え?レネアさん?
えーと。
「レネアさんといったら―無表情」
うわっ。
口を滑らせた!
ツェルドくんが、階段の1段目から「とうっ!」と言いながら飛び降りて、さらにこけそうになる人を見るような目で僕を見ながら続ける。
「無表情といったら仮面」
「仮面といったら舞踏会」
「舞踏会といったら城」
「城といったら―白」
あ、同音異義語で言っちゃった。
「ストップ、ストップ。お前、どうして同音異義語を言ったんだよ」
「白は前に言ったしね」
「あ、本当だ」
「ルイって、思ったことを口に出す癖あるよね」
プレーヌちゃんにも。
なんか、すみません。
「じゃあ、再開するね」
「うん」
「城といったら王様」
「王様といったら王座決定戦」
「王座決定戦といったら2日後」
「2日後といったら土曜日」
「土曜日といったらカレンダー」
「カレンダーといったら日にち」
「日にちといったら毎日」
「毎日といったら日記」
「日記といったら日課」
「日課といったら散歩」
「散歩といったら朝」
「朝といったら読書」
そういえば白流学園には「朝読」の時間があったな。
あ、次は僕だ。
「読書といったら趣味」
「趣味といったら遊び」
「遊びといったら楽しい」
「楽しいといったら遊園地」
「遊園地といったらお化け屋敷」
「お化け屋敷といったら怖い」
「あくまでも一般論だから」って、ツェルドくんが顔で言ってる。
「怖いといったら、えーと母?」
プレーヌちゃんは、母親がいないって言ってたし、それで疑問形なのだろうか。
「母といったら家族」
「家族といったら兄」
「―兄かぁ」
ん?プレーヌちゃん?
プレーヌちゃんは遠い目をしている。
「あ、ごめん。中断しちゃってさ」
「お兄さんのこと、ずっと考えてるんだね」
「うん」
ツェルドくんの顔が真剣になる。
「もし良かったら、ここにいる間に捜そうか?そんなに役に立てないとは思うけど」
「ありがとう。ひとつ、お願いを聞いてもらっていい?」
「もし兄を見つけたなら、兄を守って」
「「「え?」」」
「ボクが最後に見た兄は14歳。8年前だよ。兄には、腕や足、お腹に打撲の痕があった」
打撲の、痕?
「お兄さんの容姿を教えてくれない?じゃないと、捜しようがないからさ」
「8年前の容姿で良かったら。名前は、ヌヴェル・ラ・セレネ。兄は、ボクと違って母親似だって聞いた。色白だけど筋肉がついていて細かった。髪はウェーブのかかった金髪。綺麗な赤い目」
赤い目?
そんな色の目の人がいたら、目立ちそうだけど。
「声は良く通るテノール。っていってもアルトに近くて男子にしては高かったと思うけど」
「分かった。捜してみる」
「ありがとう」
少し嬉しそうな顔でプレーヌちゃんが微笑む。
守ってほしい兄、か。
兄妹の絆は、会っていなくても強いんだな。




