2.入試試験とNaminu's brother〜弟さんのガキ発言〜
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ドンドンドンッ、ドンッ!
なんで僕はこんな目にあっているのだろう。
僕はこの14歳3ヶ月の間を直感と勘だけで生きていた、ロールキャベツ系男子なのに。
はあ。
部屋を追い出されてしまった。
どうやって、学園に行けばいいんだよ。
そうだ、そうだ。リクに聞けばいいんだ。
ドアノブに手をかけたその瞬間。
カチャリ。
「絶対、90点以上取れよ!」
え?
カギかけたの?
しかも、90点⁉︎
本気か⁉︎
こいつ、正気じゃない!
待て待て。
落ち着け、僕。
とりあえず、カギは開けてもらおう。
ドンドンドンッ、ドンッ!
ドンドンドンドンドンドン、ドンッドンッ!
手が痛い。
ドコ、バキッ!
へ?
中から音が。何か、壊れた?
「ハーヤーク、いけっ!って言ってるだろっ!」
ひいいっ!
ゴーメーンーなーさーいー!
ドタドタッ。
出てきたけど、どうしたらいいんだろう。
異世界に降り立った場所から、アパートまでの50メートルしか、この世界、歩いてない。
そうだ!ナミさん!ナミさんに、学園について来てもらおう!
「ナミさーん!」
「何?ルイ」
「レイネス学園ってどこにあるんですか?ううん。連れてってくれませんか?」
「ごめん、ここからは離れられないのー。代わりに弟を、中等部の生徒会長だから連れて行かせるわ」
中等部の生徒会長?
「レネア!レネア!来て!」
「何、姉さん?朝からうるさいな」
毒突きながら管理人室兼事務室兼ナミさんの家の階段を降りてきたのは、澄んだ水色の目をした男の人。黒縁メガネをかけている。サラサラで整えられたナミさんと同じ優しい茶色―ボワ色の少し長めの髪がかっこいい。
中等部ということは、1歳ぐらいしか違わないはず。それなのに溢れ出るオーラが大人のもので、しかも、リーダーシップが取れそうな、僕が成ることができない人間だと言うことが伝わってくる。
あれ?
ナミさんはオレンジ色の目なのに、どうしてレネアさんは水色の目なんだろう?
「誰だ、君?」
「レネア、この子はレイネス学園中等部の入学希望者よ」
「そうか。で?」
「で?って言われてもねぇ」
レネアさんは階段を上って帰ろうとしている。
「ちょっと待って、レネア。この子、アリアンテ地方から来た子でこの辺の道、知らないらしいのよ。この子の付き添いの人、ずいぶん強引で、きっと、勝手に申し込まれたんじゃないかしら」
ナミさん、That’s right!です。
「入りたくないのであれば、入らなければいいだろう?」
「世の中、そんな甘くな・い・の!連れて行ってあげてよ、あんた、生徒会長でしょ!」
「あくまでも、生徒会長であって、俺は迷子のお守りをする警察じゃない」
「ごちゃごちゃ言わないの。早く行く!」
レネアさんと僕は追い出された。
レネアさん、お気持ちお察しいたします。
ギロッ。
「迷子のガキ、行くぞ。」
1歳年下の人はガキですか。
しかも、警察の仕事も迷子のお守りをするだけではないと思うんですけど。
レネアさんはスタスタ歩き出す。
右の行ったことのない道に入り(どこも、行ったことないんだけど)住宅街のど真ん中を歩き、次は左に曲がると、森林が見えてきた。
森林の中に川が見えてきた。
レネアさんが膝をついて地面に手を触れると、氷の手すりがついた橋がかかった。
「ここは半端者が入らないように仕掛けが施された森林だ。言わば、森林も入試試験の一つのようなものだ」
え?
なら、僕は試験を自分の力で受けていないということになるんじゃ。
「君が俺を連れてくることが出来たのも一種の力。れっきとした自分で受けた試験になる」
よかった。
レネアさんは歩きながらも話を続ける。
「そして、初代生徒会長のリヴェイト会長が作ったこの橋に、その年の中等部、高等部の生徒会長が魔力を込めた橋なんだ。この橋は先にある学園が自分の統治する場所であるということを示す、いや、体験するために設置されている」
「体験する、ですか?」
「そうだ。この森林に来る者の中には、我が学園を乗っ取ろうというバカな企てをする者もいるからな。そのような者のために体験させることができるようになっている」
「ど、どのようなことを体験させられるんですか?」
「込められた魔力が精霊となり、乗っ取ろうとする者がいれば魔力の精が攻撃をする。全力でな」
すごい。怖すぎる。全力で攻撃されるって……。
「ここだ、君。早く入れ。試験時間内にここでモタモタして会場に入れないのはあまりにもカッコ悪すぎるだろう」
どうやら、ここだったようだ。
レネアさんは去っていく。
「案内していただき、ありがとうございました!」
レネアさんはサッと振り向いた。
「素直に、自然に挨拶ができるのは君のいいところだな。じゃあな。頑張りたまえ」
レネアさん、冷たい人で、怖い人かと思っていたけど、能力は平等に評価してくれるいい人だったなぁ。
ヤバイヤバイ。
早く入んないと、それこそリクにバカにされる。
『はああ?お前、行くことも出来なかったのか?バカすぎだろ……』
考えただけでも恐ろしい。




