16.お盆休み〜流射とイケメン親戚たち〜
流射のお盆休みです。
今回、後書きはありません。
文字数(空白・改行含まない):2844字
暑い暑いお盆休みは、皆で盛り上がって暑さを乗り切るんだ。
ギィーッ。
「失礼しまーす」
あれ?
カルル?
「カルルしかいないの?」
生徒会室だから、書記のエーナ先輩がいると思ってたんだけど。
「ああ。ワミは、部費・会費の承認を各部長に得にいってる」
なるほど。
「ていうか、カルル。髪の毛くくりなよ」
カルルは長い髪を垂らして、空中で本を読んでいる。
「イ・ヤ」
「もう」
「ティルはさ、好きな人とかいねーの?」
と、突然、何っ⁉︎
「い、いないよっ!」
「ふーん。ティル、お前さぁ、素直になれよ?」
「す、素直だよ、いつだって‼︎」
どうして私は、こんなに必死なの⁉︎
「あとお前、自分のこと、もう少し好きになったほうがいいぞ。―オレはちょっと出かけてくる」
カルルがドアを開けて、生徒会室から出ていく。
「自分を好きになれ」って言われても、代々家系魔術の意思操作魔術で栄えてきた家の血が流れる私を、好きになることなんて出来ないよ……‼︎
「おはよう」
僕は、椅子に座っているツェルドくんに声をかけた。
「おはよ、ルイ。今日は別の異世界に行くんだったっけ?」
「うん。留守番、よろしくね」
「オッケー。でもさ、出歩いててもいいんでしょ。この街で遊んでても」
「うん。もちろん」
「皆を起こして、朝ご飯を食べに行こ。地下の癒しの間でパン食べよ」
「オッケー」
「「じゃあ、行ってきます」」
「行ってらっしゃい」
「<,#|*#;*#.|\}.<,#;}_€$+%%#^{>€@?&.(.(?」
穴が開いて、白い道が見える。
僕たちは穴の中に足を踏み入れて、後ろを振り向いた。
あれ?穴が閉まっていってる。
「じゃあ、またあとで」
僕たちが入ってから7秒後、穴は完全に閉まった。
「勝手に閉まるんだな」
「ああ。開きっぱなしじゃ困るだろ。開いたら閉まるように封印がかけられてる。あのドアは、封印を目に見えるようにしたものだ。人間は目で見えないものも見ようとする。見えないものは、見えるものに置きかえるんだ。封印をドアに置きかえてるんだよ」
なるほど。
自分たちが入るのは穴で、どうしてドアじゃないのかが気になってたんだけど、そういうことだったんだ。
「今から一度フィヌレースに戻って夏服に着替える。日本は暑いからな」
「分かった」
「本当に、ここでいいのか?」
僕たちがいるのは、僕の家の最寄駅。
ドアから出た図書館の近くから、リクを送るためについてきたんだけど、ここから別行動でいいのかな?
「ああ。俺は、お前に心配されるほどバカじゃねーよ。じゃあな」
リクが改札を抜けて、離れていく。
じゃあ僕も家に帰ろう。
「遅いわよ」
「ごめん、母さん」
僕はおじいちゃん、おばあちゃんの家に行く用意をしながら、母さんと喋る。
「そういえば父さんは?」
「晴ちゃん、今お供物を買いに行ってくれてるわ。私はここに残って、流射を待つことにしたの」
道理で車がないと思った。
それにしても母さんの「晴ちゃん」をここまで懐かしい、と思うとは思ってなかったな。
ブロロロ……。
車のエンジン音?
父さんが帰ってきた?
ガチャ。
「晴ちゃあ〜ん!」
母さんが父さんに抱きつく。
感動の再会みたいなんだけど。
「陽ちゃん、暑い、暑い。エアコンの電源を切ったんだから」
「あ、ごめんね」
母さんが父さんから離れる。
父さんも母さんも、40代。おじさんとおばさんなんだよね。
でも、父さんは背が高いし足も長い。母さんは遺伝で美形の顔。そして2人とも年齢不詳。
2人がハグしていても、画になるんだよな。
ウウッ。
なのに、どうして僕はこんなに平々凡々なんだろう。
「やあ、洸くん」
父さんが、母さんの弟に声をかける。
「久しぶり、晴介くん」
中川洸くんは父さんと同い年。
そして洸くんも遺伝で美形。長身、つやつやの髪の美青年。40代だけど。
トタトタトタ。
「美陽ちゃぁ〜ん‼︎」
ギュッ。
挨拶もなしに玄関で母さんにハグするのは洸くんの奥さんで中川美綺さん。
美綺さんは、清楚系美人。そして、スキンシップ多め。
いや本当に、この4人がそろうと華やかすぎる。
僕がこの人たちと血が繋がってるって、信じられないんだけど。
がしかし、華やかな人は他にもいるんだよね。
「おじいちゃん、おばあちゃん、来たよー」
「よく来たね、流射」
「来たか、流射。今日は流射が1番遅かったぞ」
素直に「よく来た」と言ってくれるのは、優しげなオーラをまとったおばあちゃん。
「遅かったぞ」とあんぱんを食べながら言うのは、イケボでダンディなおじいちゃん。
「早く荷物を2階に置いてきなさい」
「はーい」
リビングを出て、階段へ―。
「流射〜!会いたかった〜!」
「うわっ!」
突然、音もなく階段から飛び降りてきた従姉弟の彼女は、僕を抱きしめた。
クシャ。
「ちょっと、璃秀ちゃん。袋が痛い」
「あ、ごめん。うれしくて」
僕より数cm背が低い運動神経抜群の高2の璃秀ちゃんが僕から離れた。
なるほど。飴の袋を持ってたのか。
璃秀ちゃんが、大きなくりくりの目を僕に向ける。
「改めて久しぶり、流射。会いたかった」
「うん。僕も」
「荷物、置いてきなよ。あ、2階に伶渡もいるよ」
「分かった」
さすが美綺さんに育てられただけあって、スキンシップが多いなぁ、璃秀ちゃんは。
この璃秀ちゃんが、5歳まで孤児院にいて、ずっと無表情の子だったなんて、今じゃ誰も信じないよね。
璃秀ちゃんは、子供が欲しかった洸くん夫婦に孤児院の「イチゴの花」から引き取られた。
璃秀ちゃんは、洸くんに引き取られて、本当に良かったと思う。
あ。あと階段、1段だけだ。
ヒュッ。
突然、前のドアが開いて、中から人が出てきた。
うわっ‼︎
ドテンッ!
痛ぁっ!
段差につまずいてこけたんだけど……。
「何してんの?」
「伶渡が突然出てきたからビックリしたんだよっ!」
本当、生意気なんだから。
でも、「アホなの?」とか「バカなの?」とか言ってこないあたりはすごいと思う。目は思いっきり言ってるけど。
美綺さんが、そのあたりは厳しく育ててるからね。
それにしても、コイツもイケメンだな。
コイツも遺伝で美形。サラサラの黒髪に切れ長の目。すっと通った鼻梁。
どうして、僕はこんなに平々凡々なんだろうなぁ。
だけど、チビなんだよな。背の順はクラスで1番前なんだとか。
そしてコイツは、5年生。璃秀ちゃんの弟。ハグしようとする母と姉を冷静に止めるのが伶渡の役目。
「立たないの?てか、璃秀から聞いたでしょ?俺が2階にいるって」
「たしかに聞いたけど。それでも突然出てきたらびっくりするよ!」
「それもそうか。―早く用意して、下に降りてきなよ。俺は先に降りるから」
「うん」
じゃあ、荷物を置いてこよう。
伶渡が出てきたのは、洸くんが使っていた部屋。さらに奥が母さんの使っていた部屋だから、そこに荷物を置く。
さあ、降りよう。
1階に着いた。
階段を降りたら、すぐ和室。
和室には、精霊馬が置いてある。大きな菊も2輪。
おじいちゃんの育てた菊と、洸くんの育てた菊。とても華やか。
「すごろくするよ〜」
クッキーの箱を左手に持った璃秀ちゃんが、僕を呼びに来た。
「はーい」




