14.ルイの3×13分クッキング!
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I can’t cook but I must cook.
料理はできない、しかし料理をしなければならない。
「え?ボクの兄?」
リクが帰ってきて、癒しの間に行くことにした僕たちはプレーヌちゃんと出会った。
癒しの間の床は、程よく柔らかいカーペットが敷かれている。
テレビとゲーム、漫画、小説が棚に置かれている。
なんか、ドリンクバーもあるんだけど。
「そ。兄がいるって言ってなかった?」
キャロキョロしてる僕とは違って、ツェルドくんはプレーヌちゃんと話している。
「あー。言った、言った。ボクには兄がいるんだよね。1人。数年前にふらっと居なくなって、最近は会ってないけど」
え?居なくなった?
「そ。居なくなったんだよね。まあ、その兄に見えないものとか実体の無いものを操る能力があるらしくて。煙を纏うことができるのは兄だよ、って話」
「ふーん。たしかに不思議だね」
「このずっと持ってる双剣も、兄が継ぐはずだったものなんだよね」
プレーヌちゃんが、持っている2つの剣を持ち上げる。
「双剣も?」
「そ。代々ボクの家に受け継がれている双剣で、名前は『双月』。それぞれ刀身が、赤みを帯びた白と青みを帯びた白。この双剣、母の形見でもあるからさ。父はいないし」
母の形見。
プレーヌちゃんには親がいないのか。
「ボクさ、この双剣を継いだ時に、あの戦いを止めなくちゃ、って思ったんだよね。毎日毎日、戦いを止めようとしてるんだけど、なかなか難しくてさ。王が止めてくれたらいいんだけど、王は知らないふりをしててさ」
あの戦いって、僕たちが巻き込まれたあれのことだよね。
あれを知らんぷりしてるって相当、おかしいと思うけど。
「なあ、プレーヌ」
「何?リク」
「俺たちと組まねーか?」
俺たちと組む?
え?え?それは?どういうこと?
もしかして、一緒に王座決定戦に出ないか?ってこと?
「何をさ」
「王座決定戦だよ。一緒に出ないか?」
「王座決定戦に?どうしてボクなんかと」
「俺たちは1週間だけしかここにいられない。だから代わりに王になってくれる人が必要なんだよ」
「そうなの?皆?」
「うん。ぼくたち全員」
「ふーん。分かった。なら一緒に出るよ。王になったら、あの土地の戦いを止められるかもしれないしね」
「じゃあ、よろしくね。プレーヌちゃん」
「よろしく。プレーヌ」
「よろしく。プレーヌ」
「よろしく。協力して頑張るぞ」
「こちらこそ、よろしく。ツェルド、リク、ルイ、レネア」
仲間が増えた。
12歳ながらに、僕たちを守れるほどの『剣術』と『気迫』を持っているプレーヌちゃん。
とっても心強いなぁ。
「うーん。もう8時か。そろそろ晩ご飯を作らないとね」
「プレーヌちゃん、料理できるんだ!」
「え?うん。フシレさんに教えてもらったからさ」
「そうだ。僕たちは、ご飯、誰が作るの?」
「「「……」」」
ノープランらしいな。
「ここはひとつ、ジャンケンで!」
「いや、ダメだ」
僕の意見をリクが即却下する。
「ジャンケンだと、透視能力のお前は強すぎる」
そうかなぁ?全然、僕はそう思わないけど。
まあ、でも、強い方だったかな。
「なら、立方体の箱を振るのはどうなのさ」
あ、サイコロみたいなものを振るってこと?
僕はそれでもいいかな。
「俺はそれでもいい」
「……ちょっと待て。どうせなら美味しいものを食べたいだろう?俺は姉さんと違って、料理が全くできない」
あ、レネアさん。たしかに、家庭科が苦手って言ってたな。
「そんなこと言ってたらさ、ぼくだって料理しないから、たいして変わんないし。皆、出来ないじゃん」
「―当番制にする?」
「……ああ。そうしよう」
「……いいんじゃない?」
「……俺でいいんならな」
「じゃあ今日は誰が作るのさ」
「それこそ立方体の箱で決めようぜ」
「ああ。1、2、3、4、5、6を書いて、振った数字が小さい順に当番だ」
「オッケー、立方体だよね?紙ある?」
「あ、これ使え」
リクが持っていたカバンから紙を取り出す。
リク、何を持ってきてんだよ。
「ハサミもあるぞ」
だから、リク、お前は何を持ってきてんだよ。
「ありがとう」
あ、でも定規ないけど。まっすぐ線、引けるのかな?
「何、言ってんのさ。普通、フリーハンドでも引けるでしょ。まっすぐな線を引くぐらい誰でもできるよ」
マジか!
ちょっと待て。
フリーハンドでみんな引けるの?
無理だよね。うん、無理だよ。無理無理。
てか、リクもレネアさんも何も言わないんだけど。
2人も引けるの⁉︎まっすぐ、フリーハンドで⁉︎
何なの!僕の周り、天才だらけじゃないか!
「よし出来た!組み立てたし、バッチリでしょ!」
差し込み式!組み立てにのりとか使ってないな、と思ったら差し込み式になってる!
ツェルドくん、器用すぎだよ!
「ぼくから振るよ?せーの、っと」
なになに?4、か。
「じゃあ、次は俺が」
次はレネアさんか。
「ほいっと」
3か。
「チッ」
レネアさん⁉︎
「次は俺が。ほいっ」
5だな。
今のところ、『レネアさん→ツェルドくん→リク』の順番みたいだな。
「次はお前だぞ」
「あ、うん」
さあ、何が出るかなー。
せーの!
コロコロコロ。
「あ、止まった」
1。
ん?
1。
何度見ても、1。
そうだ。忘れてた。
僕は直感と勘はいいけど、運は無いんだった。
「ということで、今日の料理はルイが作れよ」
「はいはい」
さあ、何を作ろうか。
てか、食材はどうするんだよ。
「食材はここにある」
リクが冷蔵庫を軽く叩く。
「あぁ、うん」
「出来るだけ、美味しいの作れよ」
出来るだけ?死んでも、の間違いだろう?
リクが謙虚に言うことって無いからな。
でもなあ、僕の料理の腕は悪い方なんだけど。
最近、習った英語で言うなら、「I can’t cook but I must cook.」なんだよな。
まあ、とりあえず、冷蔵庫を開くか。
えーと、野菜と、パン、米……。あ、肉と魚もある。
なにこれ?ベーコン?ハムもある。分厚いなぁ。美味しそう。
わかめもある。あ、これ何?
……ひじきか!
で、これ何?あ、パスタの麺かぁ。
そういえば、僕、今まで何を作ったことあるっけ。
ご飯と、カレーと、手巻き寿司と、たこ焼きと……。
でも、手巻き寿司も、具材がないし。
たこ焼きも、生地が作れない。
……焼きそば食べたい。
うーん。でも、焼きそばの中華麺がないんだよな。
あ、パスタの麺!
よし!パスタの麺で焼きそば、作るぞー!
まず、パスタを茹でよう!
えーと、鍋に水を入れて、火をつけよう。
待たないとなぁ。あー、長いなぁ。
まだかぁ、まだかぁ。
「プッ。変な顔っ!」
へっ⁉︎ツェ、ツェルドくん⁉︎
「なんて顔してんのさ。ほらっ、もう沸騰してるけど?」
「あ、うん」
ボコボコボコ。
えっと、麺を取って、軽くひねって、パッと手を離す!
よし、上手く広がった!
しんなりしてくるまで待つんだったっけ?
ヒマだなぁ。
ん?ちょっと曲がってる。
そろそろいいね!
ざるあげしよう。
よいしょっと。
で、作ろう!焼きそば!
えーと、まずは豚肉!
冷蔵庫から出して。包丁で、切るっ!
これぐらいでいいかな?
玉ねぎと、人参と、キャベツ。あ、あったあった。
これも、切らないとね。あ、1回、包丁洗わなきゃ。
よし、フライパンに油を引いて、野菜を炒める、っと。あ、塩コショウをふらないと。
ここで豚肉!炒めて、炒めて。
色が変わってきたかな?
そろそろ、パスタを入れよう!
よし、オッケー。
えーっと、ソース、ソース。これかな?
味見してみよう。本当にソースかな?
―うん。美味しい。
これを入れて、混ぜるっ!
よし!完成!
盛り付けないといけないんだけど、お皿、どこだろう。
「リク〜!お皿は〜?」
「キッチンの戸棚の中だ!」
「分かった!」
白いお皿が4枚。
これに盛り付けて、本当の本当に完成!
39分もかかってる。ていうか、微妙な時間だなぁ。
まあ、とりあえず。よし、このおぼんにのせて運ぼう!
「出来たよー!」
「ソース?もしかして、焼きそばか?」
「焼きそばって何だ?」
「焼きそば?それって何なのさ」
もしかして、レネアさんとツェルドくん、知らないの⁉︎
「えっと、焼きそばっていうのは……」
説明が難しい。
「と、とりあえず、食べてみて!」
「ああ」
「うん」
皆の目の前にお皿を置いて。
『いただきまーす』
皆が黙々と食べている。
「ん?」
「何だよ、リク」
「これ、焼きそばじゃねぇだろ。不味いぞ、これ」
「え?え?そんなに不味い?」
「そんなに不味いわけじゃない。でも、焼きそばだと思って食べたら、なんか違うだろ?」
「うん、まあ」
「これ、何で作ったんだよ。明らかに中華麺じゃないし」
「……パスタで作った」
「パスタァ?パスタって分からなかったな。案外、美味しいんだな」
「だろう?」
「ふーん。これを焼きそばって言うんだ」
「まあ、麺は違うけどな」
リクは黙ってろよ。
「美味しいじゃん。焼きそば。ね?レネアさん」
「ん?ああ」
良かったぁ。下手に作っちゃってたらどうしようかな、と思ってたし。
『ごちそうさまでしたー』
「片付けもルイ、よろしくな」
「分かりました、レネアさん」
さあ、運ぼう。
4枚のお皿を持ってキッチンへ。とりあえず、流しに置いて。
えーっと、ティッシュか何かで汚れを拭いてから、洗うんだったっけ?
ティッシュ、ティッシュ。
プルルル、プルルル。プルルル、プルルル―。
この音は、人間界のスマホ?
えーと、僕のリュックは、と。
キッチンの隅っこに置いたから―。あ、これだ。
「はい、もしもし」
『あ、流射?久しぶり。元気にしてる?』
母さん⁉︎
『今、陸くんの家にいるの?』
「え?あ、うん」
『ちょうど良かった。陸くんのお父さんかお母さんに伝えてくれる?お盆なので、帰らせます、って』
え?お盆?
「い、いいけど」
『よろしくね、伝えておいて』
「う、うん。いつ、帰ったらいいの?」
『あら、自分で帰ってくるの?迎えに行ってあげようかと思ったのに』
「い、いいよ。別に」
迎えに来られたら、リクの嘘がバレちゃうよ。
『なら、明後日。明後日、帰っておいで。その後、おばあちゃん家に行くわよ』
「分かった。明後日だね。じゃあ、バイバイ」
『バイバイ』
ポチッと。通話終了。
「ルイ、戻るのか?人間界に」
ひえっ!リ、リク、驚かすなよ。
「別に戻ってもいい。いつだ?戻るのは」
「あ、明後日」
「分かった。明後日、帰ろう。1回な。俺も行きたいところがある」
「そうなの?」
「ああ」
教えてくれそうにないな。
「早く、洗えよ」
あー!そうだった〜!
こんにちは!
風葉です!
ルイが料理してましたが、パスタで焼きそばを作った人、いますか?
もしいれば、料理の感想を教えて欲しいんですよね。
興味あるので。
今回はここで終了です。お読み頂き、ありがとうございました!




