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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第1話 親子の紅(あか)
27/67

10.春の夜に妖しく月は光る

文字数(空白・改行含まない):7836字

 月は輝き、妖しく光る。

 春の夜は、暖かく人を抱き、滴る液体の上を滑る。



 ふわぁぁぁ。今日は月曜日だ。学校だな。

 トントン。

「入るよ」

「うん」

 ガチャ。

 今日はちゃんと起きているみたい。

 ベッドに腰掛けている。

「ツェルドくん、今日はどうするの?」

「今日も行かない」

「そう。分かった。ゆっくりしてね」

「うん」

 着替えよう。

「朝ごはんはどうする?」

「食堂で食べる」

「分かった」



 今日は珍しく授業を受けたい気分だったのだが、毎年恒例の迷惑な仕事(イベント)で受けられない。

 全く、面倒くさい。

 何故、昼からの授業に合わせてこの迷惑行動(イベント)を行うのか。俺には分からない。

 さあ、お菓子でもつまみながら生徒会室に駆け込んでくる生徒を待つことにしよう。

 今年はどのアホ部活(どこ)がやるんだろうか。

 このイベントのことを考えたら、旅行には行かなくて正解だっただろうか。

 ドタドタドタ。

 ほら来た……!

「生徒会長!大変です!」

 中2の素朴な男の子だ。部活に行ってたんだろう。かわいそうに。このイベントの開始合図役に選ばれてしまったか。

「今年はどの部活がやらかしたんだ?」

「今年は、心理部が!」

 ドタドタドタ。

 ん?

「会長!」

 次は中2の女の子か。

「どうした?」

「今年、サバイバル同好会が、やりました!」

 今年は2部活同時開催か。

 チッ。

「分かった。2人とも帰っていい」

『はい』

 さあ、どうする。


「ということで、引き受けてくれるか?」

 本当に、ゼナイトが学園会中等部室にいてくれて助かった。このイベントを手伝ってくれるのだから。

「まあ、いいですが。パフェ3つおごってくれるんですよね?わざわざ、あなたがたのしょぼい会に協力してあげるのですから」

「ありがとう。もちろん、おごる。じゃあ、サバイバル同好会を頼む」

「……ちょっと待ってください。生徒会室に近いのはサバイバル同好会ですよね?2階は同好会室の階ですから。ここ3階は部室の階ですので、私が心理部に行くべきでは?」

「…………」

「あなたも分かってますよねぇ?」

「……ま、まあ、とにかくサバイバル同好会室を頼む。あっちの部活は力自慢の奴が多いだろうから、バリケードの規模が大きいはずだ。バリケードを崩壊させるのは俺よりも君の方が得意だろう?」

「確かに、そうですが。……ああ、なるほどぉ。フレインに会いたくないのですねぇ。分かりました。行ってあげましょう」

 図星なのだが。

「……助かる」

「では。行ってきます」

 何はともあれ、行ってくれたんだ。第1mission(ミッション) complete(完了)

 次は、第2 missionだ。


「予算、上げろ!」

「生徒会!予算を上げろ!」

「出来ることも出来ないぞ!」

 サバイバル同好会室の前がうるさいです。

 きっと部屋の内側では、ドアが開かないように机やら椅子やらが置いてあるのでしょう。

 このバリケードを崩壊させるには、まずは説得から。言わば、始まりの儀式ですね。意味はない。

「その予算は、今年の部員数、去年の活動内容、実績をもとに出されたものです!よって予算を上げることは不可能です!」

「うっさい!学園会は黙ってて!」

 はあ?

「こちとら、わざわざ生徒会のパシリで来たんだ!面倒事を起こすお前らに黙れ、って言われたくないわああああああ!」

 シーン……。

「ゼナイトがキレたぞ」

「ヤバイな。ここまで起こっていることって少なくないか?」

「でも、続けましょう。予算を上げてもらわないと、活動ができないわ!」

「そうだな」

「予算を上げろ!」

「生徒会!予算を上げろ!」

 はあ。

「強硬手段に移ってもいいんですね?」

「所詮、ハッタリでしょ?」

「ハッタリではありません」

「どうだか」

 しょうがない。あの術を使いましょう。

「デストロイ!」

「ちょ、ちょっと!」

「ヤバイじゃん!」

 私の目の前でユラユラと揺れ動くエネルギーが集まり大きな球体になっていく。

「早く、ゼナイトを止めるわよ!」

『おう!』

「机を動かして!」

「椅子!」

「よし、退けられた!」

「ドアを開けて!」

 バァーン。

「ルヌテ、エネルギーの周りをバリケード以上の強度で氷で覆って!」

「オッケー!氷よ!」

「クイレス!呪文を使って、ルヌテの手伝い!」

「おう!モデフリンズ・ギイ!」

 どんどん、エネルギーが氷に囲まれていきます。

 でも、エネルギーが集まりましたよ?

「クラッシュ!」

 ドゴゴゴゴォン!

 パリン!

「上手く、止めましたね。爆発を」

「怖かったわよ。上手くいかなかったら死んじゃうじゃない」

「生徒会や私たちに反抗したら殺される、ってこと分かりません?」

「殺さないでしょ」

「さあ、どうでしょう」

「こ、怖いわよ」

「まあ、あなたたちは出てきましたし、私は帰ります。この後は、6時間目を受けるか、部活を行ってくださいね」

 バリケードを破るのは中にいる人を外に出して、帰らせることが出来るようにするため。つまり―。

 mission complete!


 何故、部活予算発表日の昼休み終わりからバリケードを作って予算の値上げを訴えるのか。

 この学園が出来てから1度も、その訴えが生徒会に通ったことは無いはずなのだが。

 おかげで毎年、生徒会長はこれの対処をしなければいけなくなる。

 本当に迷惑だ。

 そろそろ心理部室前。

「予算を上げなさい!」

「予算を上げて!」

「生徒会!予算が低い!」

 うるさい。

 迷惑行為だな。

「生徒会です」

「生徒会!予算を上げて!」

「その予算は、今年の部員数、去年の活動内容、実績をもとに出されたものだ!よって予算を上げることは不可能!」

「でも、これじゃあ部活が続けられない!」

「なら、部費として部員から徴収すればいい!」

「部費にも限度があるでしょ!」

「なら、ちゃんとした活動をしてくれ!」

「してるわよ、ちゃんと!」

「してないから、予算が低いんだ!話していても時間のムダだ!今から、ドアごとバリケードを破る!修繕費用は自分で出せよ!」

「はあ?」

「レゼオ、氷塊(アイス)!」

「レゼオ?」

 「レゼオ」が何かを知りたいのか?

「ああ、俺の家系魔術。土と関係のあるものが自分の能力のようになる術。俺の場合は、土と関係のあるものが全て凍る。そして、強めに蹴れば割れる。つまり、木は土に関係あるからドアごと割ることが出来る」

「それ、ヤバくないですか?部長」

「そ、そうね。外に出るしか、なさそうね」

 ぞろぞろぞろぞろ。

「全員出てきたか?」

「……ええ」

「面倒事は起こすなよ」

「……分かった」

 さあ、帰ろう。

 第2mission complete!



「リク、おやすみ」

「おやすみ、リク」

「おやすみ」

「僕らも寝ないとね」

「うん」

「おやすみ、ツェルドくん」

「おやすみ」

 僕は今日もまた、ソファベッドで横になる。


「ルイ、ルイ」

 んー?

「ちょっと起きて」

 朝?

 それにしては暗いような。

「あ、やっと目を開けた」

「今、何時なの?」

「1時。深夜」

「どうして、こんな時間に起こしたの?」

「ちょっと考え事していて、眠れなくてさ。だから、解決したいんだよね」

「何を?」

「考え事を実行したい」

「今から?」

「うん。考え事って言っても単純だけどね」

「何をするの?」


「城に行って、クソ親父を倒す。それで、制服を弁償してもらう」


「倒すの?王を?」

「うん。準備を手伝ってくれない?」

 準備?

 僕は、ツェルドくんの王になる夢に協力する、って決めたんだ。

「分かった。何をするの?」

「魔力を分ける術を使って、僕の魔力を上げる。1回ルイに魔力を分けてから、僕に分けてもらうって感じ。この術、自分には分けられないから」

「オッケー。ツェルドくんの魔力が何になったらいいの?」

「王は聖剣を持っている可能性が高いね。王の魔力は98。聖剣で8割増になるから、98×(1+0.8)=176.4。176.4以上の魔力が必要だね。例えば、180にするとして、増やさないといけないのは95。……やってみるしかないか。そんな大きい魔力、分けたことがないんだけど」

 け、計算が速い。

「が、頑張ってね」

「うん。やるよ?準備はいい?」

「うん!」

 何の準備もいらないけど。

「エンテート・ジュンヴェルト!」

 特に何も起こってない……わけじゃない。

 確か、呪文を唱えないと分からなかったはず。

 拳を握りしめて。

 ……あれ?呪文を忘れた。

「拳、握っている?ツァダーラ・インテトート!」

『ルイ、魔力95増加。魔力115/115。全快。ツェルド、変化なし。魔力85/85。全快』

 あれ?最大値まで言ってる。

 前は言ってなかったような。

「前に使った魔力確認術とは違う魔術だけど、分かる?」

「うん」

「分かるんだ。前に使ったのは『ツァダーラ・インテートート』。今回は『ツァダーラ・インテトート』」

 あ、インテートートの「テー」が、「テ」になったのか。

「じゃあ、魔力、分けてくれない?」

「うん」

 …………。

「呪文って?」

「呪文は『エンテート・ジュヴェル』だよ」

「分かった。エンテート・ジュヴェル―」

「ありがとう。ツァダーラ・インテトート!」

『ツェルド、魔力95増加。魔力180/180。全快。ルイ、魔力95減少。魔力20/20。全快』

 あれ?最大値まで減っている。

 『エンテート・ジュヴェル』を使ったら、最大値から減らすのかな?

 僕としてはどちらでもいいんだけど。

「よし、上手くいっている。じゃあ、行こう。ルイ、ついて来てよ」

「もちろん!」



 こっそり抜け出してきて、バレてないかな?

 特にラージュさんとか。

 ツェルドくんのプライベートな時のボディーガードらしいし。

 これがバレたら、鬼のごとくとんできて回収されそうなんだけど。

 ウィーン、ウィーン、ウィーン―。

 不思議な、人間界で聞いたことのない音が聞こえる。

 ここの森林、綺麗なんだよな。エレエイユの森、って言ったっけ?

 ツェルドくんに朝、制服を届けに来たときに通ったけど、そのときは木漏れ日がキラキラと輝いていた。

 今、夜は月光が美しく空中を漂っていて、木の葉の隙間から自分で光り魅了する星が見える。

「綺麗」

 声が葉の間から抜けていく。

「でしょ?昔、母さんに連れてきてもらったんだよね。ああ、懐かしいな。もう、出来ないんだよね……あれ?ずーっと分かってたはずなのにな」

 もしかして、ツェルドくん、お母さんが亡くなっているのかな……?

「ツェルドくん」

「あ、ごめん。ボーっとしてた」

「大丈夫?」

「大丈夫。さあ、クソ親父のところへ行こう。絶対に弁償してもらうんだから」

 ツェルドくんが朱色の紐が垂れる刀を、トントンと叩く。

「うん」

 ザクザクザク。

 草の上を歩く音が心地いい。

 ……ウィーン、ウィーン、ウィーン―。


「おかえりなさいませ、ツェルド様」

「ロントさん、こんな夜まで待っていてくれたの?ありがとう」

「ツェルド様、私に『さん』などとおつけなさらなくて結構でございます」

「そういうわけにはいかないって。母さんにしつけられているんだからさ」

「分かりました」

「ロントさん。クソ親父をここに呼んでくれない?」

「分かりました」

「あ、呼んでくれたら下がっていてくれない?」

「分かりました」

 ロントさんが丁寧に頭を下げる。

「少々お待ちください」


「何だ?突然、俺を呼んで」

 大広間の端にいても、聞こえる声。よく通り、部屋に響き渡る。

「呼び出した理由、分かんないの?」

「分からないなあ」

「バカじゃないの?記憶力、悪すぎでしょ」

「そこまで、記憶力は悪くないはずなんだがなあ」

 王がニヤニヤと笑う。

 ハニーサックル色の目は全く笑ってない。

 窓から射し込む月光さえも、その瞳には映り込んでいない。

「制服だよ、制服」

「ああ。あれ。確かに俺が犯人だと分かれば来るよな」

「そういうこと。制服、弁償してくれない?」

「無理だ。他に買うものがあるのでな」

「なら、力尽くで!」

「そうするなら!」

「あーぁぁぁぁぁ!」

「バカか。冷静になれ」

 シュッ!

 王がどこからか大剣を取り出す。

 も、もしかして、聖剣⁉︎

「親父、どこからその剣を出してんだよ!」

「さあ、どこからだろうな。俺はマジックも嗜んでいるのでな」

「まあ、この際どっちでもいい!」

 ギィーン!

 聖剣と刀が交わる。

 ツェルドくんが身を横にずらして、刀をひく。

 シュッ。

 王の脇腹を狙って一突き。

「おっと。危ないなあ」

 ブンッ!

 聖剣が肩のあたりに向かって振り下ろされる。

「あんたの方が危ないでしょ!」

 キィーン。

 お互いに間をとっている。

 相手の出方を伺っている?

 ん?王が手を前に突き出している。

「ヤバイ!バリア!」

 おっと。どうして僕の周りにも?

「ふーん。俺の能力が効かないバリアを張ったのか。でも、バリアを張りながら俺と戦えるか?」

「もちろん!」

 ツェルドくんの額から汗が滴る。

「さあ、茶番は終わりだ」

「こっちこそ!」

 2人が走る。


 カチン。キーン。

 剣と剣がぶつかって何度も音を立てる。

 一々、聞いていられないほどに。

 ツェルドくんが、突こうとしてもヒラッとかわされて、決着がつかない。

 もちろん、王の攻撃もツェルドくんはかわしている。

「衝撃波!」

 ブンッ!

 グォォォォォォォ―。

 うわぁぁぁぁぁぁ!

 体がブルブル震えて、動けない。

 それどころか、膝をついたまま立ち上がることさえできない。

 ここは本当の威力の衝撃波が飛んできたわけじゃない。言わば「余波」だ。

 バリアが消滅している。

 ツェルドくんは⁉︎

「ううう……」

 右手に剣を持って立ったまま、壁にもたれかかっている。

 大広間の壁にぶつかって体を打ちつけたみたいで、動けないらしい。

 さっきまで、ツェルドくんは大広間の真ん中にいたのに、壁のところにいる。

 ……どれだけの威力だったんだ?

「さあ、決着をつけよう。こんなことになるなら、お前の意思を操っておけばよかったな」

 王が、ゆっくりとツェルドくんに向かって歩いていく。

「そんなことはないよ……!ぼくはぼくの人生を生きて、あんたの政治を変えるんだから……!」

「残念だが、その夢は叶わない」

「だから、言っているだろ……!『そんなことはない』って……!」

「……お前の本当の声を聞けるのは最後かもしれないな」

「はあ?ぼくはこれからも生きる……!」

 ツェルドくんは苦悶の表情を浮かべている。

 そして、王がツェルドくんの目の前で立ち止まる。

 ああ!王で遮られて、ツェルドくんが見えない!

「おやすみ、ツェルド」

 王が右手をツェルドくんの顔の前に突き出す。

 …………キラッ。

「……ウッ!」

 ツェルドくん⁉︎

 王の身体がふらっと揺れる。

 え?

 ……ドサッ!

 王の身体が崩れ、倒れた。

 王は目を閉じている。

 どういう、こと?

 近寄りたいのに、衝撃波の影響が残って動けない。それ以上に、何か近づいてはいけないという気持ちが出てきて動けない。

 王の白い服に、鮮やかな紅い液体がしみをつくる。

 しみがつくられている所は、細く切れている。

 その横に座りこんでいるのが、月光を反射し、紅き液体を滴らせる剣を持つツェルドくん。白くてきれいな顔にまで紅い液体が飛んでいる。

 ツェルドくんの目は窓の方を向いていながら、窓も、その向こうの月さえも見ていない。そして、無表情だ。その顔を、いつもより輝く妖しい月が照らしている。

 ツェルドくんが、ふらーっと、顔をこちらに向ける。

 その瞳には、僕が映っていない。

「……親父は死んでいないよ。痛みのショックで気絶しただけ」

「そう、なんだ」

「刺し、ちゃったよ。どうしよう……。ずっと、刺すつもりだったのに、刺しちゃうと気が引けて……」

「あーあ、血、出てる。頭も、ガンガン何かに叩かれているみたいだ。……ところで、悲しいなあ。刺した本人にも清々しい顔をしてもらえないなんて。どうせなら、もっといい顔しろよ。微妙に痛いし。……どうせなら、ちゃんと刺せよ。もしかして、刺していること、悔やんだの?」

 ツェルドくんの口角が少し上がる。

「ふざけんな。あんたを刺したことを悔やむヒマがあったら、あんたの愚痴を言うよ。てか、静かにしてろよ。ケガ人だろ?」

「お前のせいでな」

 王は、ハハハ……と笑う。

 それより、救急車的な物を用意した方がいいのかな?一応、ケガは見てもらった方がいいと思うし。

 バァーンッ!

 ドアが開いた?

 あれ?黒とピンクのモノが横切ったような。見間違い?んなわけないよね。ドアが開いたし。

「……さん⁉︎」

 ツェルドくんが叫ぶ。

 やっぱり、見間違いじゃない!

 黒にピンクのラインが入ったジャージを着て、紙ゴムでポニーテールにくくっている人が、ツェルドくんの目の前にいる!

 スパァーン!

「痛っ⁉︎」

 ビンタ⁉︎

 王子にビンタって一体、何者⁉︎

「何するのさ!ラージュさん!」

 ラージュさん⁉︎

「あなたのせいでしょ!王様を刺すなんて、何しているのよ!」

「王様、すみません。ラージュ様に、王族の決闘には手を出すな、口を挟むな。と言ったのですが……」

 執事のロントさんがペコリと頭をさげる。

「構わない。面白い展開だしな」

「本当にすみません」

 王様がロントさんに向かって、軽く手を振る。

「王様、医者を呼びましたので、しっかり診てもらってくださいね」

「そんなにする必要はないだろう」

「倒れておいて何を言っているんです?あなたは王様なんですよ?この国を代表する者としての自覚を持ってください」

「分かった、分かった」

「王子!たとえ、親でも刺しちゃいけないものはいけないんやで!それが、クソ親父でも、クズ親父でも!」

「ラージュ、それ結構、傷つくぞ」

 王様の顔が引きつっている。

 心中、お察しします。

「それに!」

 ……無視〜。ガン無視だ〜。

「刺したことが知れたら、あなたのイメージが下がる!そのようなことになったら、王様の地位が下がるんやから!ちゃんと考えて!」

「分かった、ラージュさん。これからはちゃんと考えるから!」

「分かったらいいわ。で?どうするの?アパートに戻るの?ここに帰るの?」

「今日はアパートに戻る」

「そう。じゃあ、戻ろう!私の大事な『男の子』くん?」

「ぼくはもう、13だ!小さい頃じゃないんだって!『男の子』って呼ぶな!」

「別にいいやろ?私からしたら、小さい坊ややねんから」

 ツェルドくん、気づいてないのかなぁ。

 ラージュさんが、「『私の大事な』男の子」って言ったことに。

 血はつながってないけれど、家族みたいだなぁ。



「俺とルイは、日曜日から旅行に行くことにした。2週間ほど―」

「あ、レネアさん。1週間ほどになったらしいです。観光を長くしたければ2週間にしてもいいが、ってリクが言ってました」

「ということらしい。その間、中等部、及び、生徒会を頼む」

「任せろって」

「頑張ります!」

「やるわよ!」

「ぼくもつれていって!」

 え?

「ぼくも、つれていって」

 ツェルドくん、どうして?

「色々な世界が見てみたいんだよね。だから、つれていって」

 えーと。旅行に行くって話、もしかして、僕たちの部屋にいた時に聞いたのかなあ?僕としては構わないんだけど、責任問題もあるし、訊いておかないと。

「王様にいいのか、って訊いた?」

「訊いた。行ってこいって言われた」

「分かった。リクに訊いてみる」

「お願い!」

 訊いてみよう。

 プルルルルルルル、プルルルルルルル―。

『もしもし?』

「あ、もしもし?」

『どうした?』

「旅行、ツェルドくんも一緒に行っていい?」

『……王子?……いいが。異世界に行くってことを伝えるのは帰ってからだ。いいな?』

「分かってるって」

『じゃあな』

 プツッ。

 絶対、アイツから切るよな。電話。

「いいって」

「やった!」

「なら―」

 レネアさんが口を開く。

「旅行は日曜日。会員全員、準備万端に迎えろ!」

「「「「「「オーッ!」」」」」」

 6人全員の声があがる。

 そして、天に向かって拳が突き上げられた。

 生徒会室は、青春色に染まっている。

こんにちは!

風葉ですー!

遂に、終わりですよ!第1章!

私自身、1章がこんな形で終わるとは思っていなかったのですが。

1章が終わりまして、1度でもこの話を見てくださった方にお礼申し上げます。


本当にありがとうございました!


また、2章、見てくださいね!

待ってまーす!

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