9.ユメは現実になる
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…………数年前のこと。王妃様が不治の病にかかった日のことである。
お城の図書室に1人の男の子が来ていた。
父と母が国内を訪問しているため、5歳の男の子は留守番をしているのである。
外に出てもいいのだが、城の外に出るとボディーガードがつくため遊びづらく億劫なのだ。
まあ、友達と呼べるような人もいないのだが。
「ん?この本は何?」
男の子が手に取ったのは、文章が書かれた少し古い紙である。
「『この国の名家には家宝が伝わっている。光の家系クォールにも、闇の家系ルビアにも、風の家系エヘントにも。その家系に伝わる家宝の中でトップに位置するのが宇宙の家系―つまり、王家に伝わる家宝の“聖剣”である。聖剣は万物を切り裂く剣といわれている。この剣は使い手の魔力を増幅させる。それも8割増になるという。聖剣はこの使い手の魔力よりも、持っている魔力が低いモノを切り裂くという。これが万物を切り裂く剣といわれる由来である』?」
男の子はわからないところもあったが、何故かこの文章に惹かれ、今も男の子の机の引き出しにしまわれている。
ふわぁぁぁぁぁ。
よく寝たぁ。
今日は何曜日だ?そして、何時?
えーと、水曜だ。6時40分。
今日の朝ごはんはどうするんだろう。
食堂?それとも、部屋?
とりあえず、着替えよう。
今日の授業はどうしようかなー。
時間割、どの順にしようかなぁ。
制服、制服。
ハンガーにかけてクローゼットに入れている制服〜。
クローゼットを開けて、制服を取り出す。
え……⁉︎
せ、制服がスパッと切られている⁉︎
ブレザーも、ズボンも、シャツも。
ネクタイは⁉︎
ああ……。ネクタイも切られている。
誰がこんなこと⁉︎
第一、どうやってこの部屋に入ったんだよ?
304号室のカギもしっかり閉めたはず。
……そうだ。とりあえず、リクを起こさないと‼︎
ドンドンドンッ!
「リク!リク‼︎」
「何だよ?朝から」
「誰かが僕の制服を切ったんだ」
「はあ?」
「これ見てよ」
僕は制服を見せる。
「確かに。切られているな。……レネアさんのところに行ってこい。レネアさんはどうかを訊け」
「分かった‼︎」
ガチャ。
廊下は走っちゃいけないけど……。
もう、この際、走ります!
3階の客室棟扉を開けて、階段に出る。
1階までダッシュ‼︎
管理棟のナミさんとレネアさんの部屋は、ここのはず!
コンコンコン!
「はい」
レネアさんの声!
「ルイです。開けてください!」
「ん?分かった」
ガチャ。
レネアさん、黒いジャージもよく似合う。
……じゃなくて!
「レネアさん!何故か僕の制服が切られていて、レネアさんはどうですか?」
「どう、って言われても誰も侵入していないはずだが」
レネアさんがクローゼットに向かって歩いていく。
レネアさんの目が大きく開く。
レネアさんの制服もダメだったのかな?
「ダメだ。俺の制服も切られている」
「どうしましょうか」
「とりあえず、制服を切った犯人がアパートの住人に対する犯行なのか、学生に対する犯行なのか、あるいは……生徒会に対する犯行なのか、をはっきりさせる必要がある」
「呼ばないとな。住人を、食堂に」
「はい」
「あ、ルイは、生徒会メンバーに連絡してくれ。制服が無事かどうかを」
「分かりました!」
「じゃあ、行って食堂から集合の連絡をかける。よろしくな」
「はい!」
レネアさんが走っていく。
さあ、僕は電話をかけないと!
まず、カルさんから。
プルルルルルルル、プルルルルルルル……。
『もしもし。ルイ、何だ?』
「実は、僕とレネアさんの制服が切られてまして、カルさんの制服が大丈夫かを知りたくて」
『切られた⁉︎分かった。調べてくるからちょっと待て』
しばしの沈黙。
…………。
『ダメだ。オレのも切られてる』
「そうですか……」
『オレはどうすればいい?』
「多分、レネアさんが後で連絡してくれると思います」
『そうか。それを待って家にいればいいってことだな。色々、よろしくな』
「はい!」
次は、エーナ先輩。
プルルルルルルル、プルルルルルルル……。
『はい、もしもしー?』
「エーナ先輩!大変なんです!」
『ん?どうしたの?』
「僕やレネアさん、カルさんの制服が切られているんです。エーナ先輩はどうですか?」
『調べてみてってことね。分かった』
「お願いします」
『うわっと!』
ドスン!
「せ、先輩?」
『ごめんごめん。こけちゃった』
「大丈夫ですか?」
『だいじょーぶ!私、丈夫なの!で、制服よね』
「はい!お願いします!」
先輩、さすがというかなんというか。
さすがのドジぶり。
『あー』
「先輩?」
『私の制服も切られている。全部、切られているじゃない。もう』
「先輩もですか」
『うん、そうみたい。とりあえず、今日は学校を休むわ。2週間以内に制服をもらうか買うかしないといけないのよね。買うにしても一人暮らししてるし、お金をもらいに家に帰るのが大変だなぁ』
「ですよね。今後についてもレネアさんとも相談して決めないといけないといけませんよね」
『レネアによろしく、言っといてね』
「はい」
次は、ティルにかけよう。
プルルルルルルル、プルルルルルルル……。
『もしもし!ルイくん!』
「もしもし」
『もしかして、ルイくんの電話の用件って制服?』
「うん。そうだけど?……まさか⁉︎」
『私の制服が切られていて。電話をかけてきたってことはルイくんもかぁ』
「うん。僕だけじゃないよ。レネアさんも、カルさんも、エーナ先輩も」
『やっぱり、これって生徒会に対しての嫌がらせなのかな。どんな方法を使ったのかは分からないけど』
「かもしれないね。今からツェルドくんにも電話をかけてみるから」
『分かった。じゃあね』
「バイバイ!」
さあ、ツェルドくんにかけよう。
プルルルルルルル、プルルルルルルル……。
「もしもし」
『もしもし。どうしたのさ』
「制服が切られていてね」
『⁉︎』
「ツェルドくんの制服は大丈夫かな、って思って」
『大丈夫じゃない。見事に切り裂かれてる』
「そうかぁ」
『切られていたのはルイだけ?』
「ううん。生徒会メンバーは全員」
『……ふーん。分かった。で?僕はどうしていたらいいのさ』
「とりあえず、レネアさんからの連絡を待ってて」
『分かった。じゃあね』
「バイバイ」
やっぱり、生徒会メンバーの制服が切られているらしい。
生徒会に対する犯行なのか、学生に対する犯行なのか。
……とりあえず、食堂に行こう。
「おはようございます」
「おはよう」
「おは」
「おはよう、ルイくん」
今日は、食堂がちょっと静か。
「ごめんね。ルイくん。私が気をつけていなかったばっかりに」
「ち、違いますよ。ラージュさん。ラージュさんのせいじゃないですって」
「いや、でも私は王子のボディーガード。王子の友達の身を守ることも任務の1つ。本当にごめんね」
「いや、本当に気にする必要はないですって」
「ルイ、話が長くなりそうなので割り込ませてもらったが、フヌさんの制服は切られていない。見ての通り、アパートの住人の服も。つまり―やはり、生徒会に対してのようだ」
割り込んでくれて、ちょっとありがたい。
「そうですか。あ、レネアさん、生徒会メンバーは全員、制服を切られていました。それと、この後の対応はレネアさんから電話が来ると思う、って言ったんですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。後で、電話をかける」
「お願いします」
「アパートの皆さん、集まっていただきありがとうございました。食堂で料理をお楽しみください」
こんな事件なのに、レネアさんの言葉がパーティーの言葉に聞こえるのはどうしてなのかな。
「レネア!」
「はい、何ですか?ラージュさん」
「中等部の時の制服を貸すで。生徒会メンバーに女の子が2人もいたやろ?ダサ男の制服も借りたら、2人分カバーできるし!」
勝手にルノウさんのことを出してる。
「ありがとうございます。いいんですか?」
「もちろん!せめてもの罪滅ぼしってことで!」
「じゃあ、私も貸す!」
「姉さんは当たり前だ」
「何が当たり前なのよ!」
ブニィー。
レネアさんがほっぺたをつねられている。
ほっぺたをつねられても尚、イケメンってどういうことだ?
「俺も貸す」
「ケルタヴさんも!」
あ、思わず声をあげちゃった。
「兄の分も」
「ありがとうございます」
レネアさんが丁寧にお礼を言う。
僕も。
「ありがとうございます」
しっかり、貸していただける人に礼を。
「顔、あげろ」
僕達は顔をゆっくりあげる。
「これで5着や。後で、ここに持ってくるから、待っててな」
ラージュさんが5本の指を立ててニヤッと笑う。
ラージュさん、ありがたいです!
「「お願いします!」」
僕達は叫んだ。
「私の制服がワミトルちゃん行き。リボンは、赤。だから、初等部のリボンを使ってね、って言っといて」
ラージュさんが次々に指示を出す。
「ナミさんの制服がクティルヴィアちゃん行き。リボンは青」
レネアさんのメモを取る速さもなかなか。
「ケルタヴさんの制服はルイくん行き。ネクタイは青。ケルタヴさん兄の制服は王子行き。ネクタイは赤。初等部の時のネクタイを使ってもらおう」
ラージュさんがため息をする。
「そして、問題はダサ男の制服。ネクタイは赤。あとコイツの制服しかないやん。どうしよう」
「どうしましょうか」
コンコン。
「はい?」
ナミさんが食堂のドアをあける。
「あらあら、皆さん、おそろいですか」
「ゼナイト⁉︎」
え?
本当だ!ゼナイト代表が!
「ここでフリーマーケットをやっていると聞いたのですが、まだ、間に合いますよねぇ?」
「フリーマーケットなんかやってないわよ!」
ナミさんが食ってかかる。
「えーっと、フリーマーケットに出すのはこれですねぇ。兄の制服が1番場所をとりますから」
制服!
ネクタイは赤だけど、制服だ!
「さあ、こんなところに長居していても私には何のメリットもありません。アパートなんてマンションになれなかった落ちこぼれ、嫌ですからねぇ」
「そんなに思うなら出ていけ。早く」
「あれ?言いませんでした?すぐ出る、と。あー。聞けていなかったんですかぁ。かわいそう」
「かわいそう、って君が言うな」
「では」
代表はスタスタと歩いてアパートを出て行く。
「そろったな、制服」
「ですね」
「これは俺が着る」
「え?」
「何か問題か?」
「いえ、特には」
そんなにパッと敵の物を使えるんだ。
敵に塩をおくる、の精神?
「1つ言っておこう。ゼナイトは敵ではない。反対側の人間ってだけだ」
反対側の人間?
よく分からないけど、敵ではないらしい。
「服を届けに行くぞ」
「分かりました!」
「さっき言った通り、2年生の分の制服はルイが、3年生の分は俺が配って回る。また後で、学園でな」
「はい!」
さあ、ティルの家から行こう。
ピーンポーン。
「はい」
「ルイ・サトーです。クティルヴィアさんいますか?」
「今、出ます」
ガチャ。
「会長から電話来なかったけど、どうしたの?」
「その必要がなくなったから。あ、これ。ティルの、代わりの制服。レネアさんのお姉さんに借りている物だよ。リボンも青だから、何もしなくて大丈夫」
「分かった。ありがとう」
「教室で授業を受ける必要がなかったら、この後、制服で生徒会室に来てくれ、ってレネアさんが言ってたよ」
「分かった。後でね」
「後でね」
次はツェルドくん。
きっと、お城だよね。
あれ?あの紫のローブ、学園会の人だよね。
でも、中等部の人じゃなさそう。
「生徒会メンバーでしょう。あなたは」
「うわっ!」
話しかけられた!
「…………。私、お化けじゃないですよ?一応、女子高生です。私達、初めましてじゃないですよ?サトーくん。一昨日の戦いで会ったはずです」
「あ、あの時の!学園会長!」
「だから、私はお化けじゃないですよ?」
「あ、すみません」
「あなた、お城に行くのでしょう?ゼナイトから報告を受けてあります。リアートならこう動くだろう、と。近道を教えてあげます。ついてきてください」
「お、お願いします」
学園会長、優しい。
代表も少し優しい?
スタスタ。
あれ?学園会長が道を曲がった。
細っ!
この道、普通の道じゃないでしょ!
体を少し横に向けて。
ヨイショ、ヨイショ。
抜けた!
えええ⁉︎
メインストリートに出た!
「今から行くのはフィールの塔の裏です」
「はい」
お客さんが行き交う中で、紫のローブを着た人と一緒に歩いているって目立つなあ。
学園会長は迷いなく歩いて行くけど。
…………。
ついた!フィールの塔だ!
裏だよね。
ええっと。この辺かな。裏って。
「来てください。早く」
「そこですか?ちょっと待っていてください!」
学園会長は何をするんだろう。
ここからはお城が見えないけど。
「ここにワープホールがあります。この円の中に入って2秒待つとエレエイユの森というところに着きます。先に行きますので後から来てください」
「分かりました」
学園会長が円の中に立つ。
……1……2!
消えた!
なるほど。
じゃあ、僕も行こう。
円の中に立って。
……1……2!
……あれ?森?
もう、着いた。
一瞬。本当に一瞬。
「さあ、行きますよ」
「はい!」
門番さんがいる。
城を取り囲む大きな白い塀に付いている青銅の門の前に。
「おはようございます。私はフウジュ・クォールです。こちらはルイ・サトーくんです。王子様に会いに来ました」
「お通りください」
お城のドアの前にも見張り。
「名前をお書きください」
うわっ。学園会長、達筆ー。
僕も書かないと。
「お入りください」
ギイーッ。
開いた。
って広っ!もしかして、ここは大広間?
広すぎでしょ!
「フウジュお嬢様。ルイ様。私は執事のクルエセ・ロントです。王子様のもとへお連れいたします。ついてきてくださいませ」
執事⁉︎
「「お願いします」」
スタスタ。
絨毯、フカフカ。
綺麗だなぁ。
コンコン。
「王子様。お客様をお連れしました」
「ありがとう。今、開ける」
ガチャ。
白い長袖Tシャツに黒いズボンを履いたツェルドくん。
「おはよう、ルイ。と、あんたは学園会長?」
「そうですよ?何か?」
「特に。制服は、これ?」
「うん。僕の住んでいるアパートの住人さんのお兄さんに借りた」
「ありがとう。で?僕はこれからどうしたらいいのさ」
「教室で授業を受ける必要がなかったら、この後、制服で生徒会室に来てくれ、ってレネアさんが」
「分かった。後で」
「後でね」
「さあ、帰りましょう」
「失礼します……」
あれ?何で「失礼します」って言ったんだろう。
ここは僕らの生徒会室。
不思議だ。
レネアさんとカルさんがいる。
あと3人を待とう。
「ルイ。ソファに座っとけ。そして、学園会長からもらったブールドネージュを食べとけ」
「あ、はい」
あの学園会長から……。
ガチャ。
「こんにちは」
「ヤッホー。ってわあああ!」
エーナ先輩、またこけている。
このドジさ、治らないのかな。
「ティル、ワミ、ソファに座っとけ」
「「はーい」」
ガチャ。
「こんにちは。……ぼくが1番遅かったか」
「全員、そろったな。ソファか椅子に座ってくれ」
って言われても、ツェルドくん以外座っているんだけど。
「今から、生徒会臨時会議を始めます。起立」
ザザッ。
「礼。着席」
ザザッ。
「今回の議題は言わなくてもわかるよな?」
コクッ。
皆、無言でうなずく。
「制服が切られたのはどうやら生徒会だけらしい。犯人に心当たりはあるか?」
僕は、手を挙げる。
「ルイ」
「学園会はやっていないと思います」
「どうして、そう思う」
「ゼナイト代表がお兄さんの制服を貸してくれましたし、僕、お城に行くのに学園会長に案内してもらったんです」
「なるほど。他は」
『…………』
誰も何も言わない。
「他にはないか?」
「切った犯人……」
ツェルドくんが机の角を見つめ、ため息をつきながら声を絞り出す。
「クソ親父だ……。それ以外に考えられないし……」
王⁉︎
「……どうして、そう、思う?」
「クソ親父は魅力分野だよ。新しくできた魅力分野の魔術ぐらい簡単に使える」
「新しくできた魔術って、人の心に入って、その人とつながる人の心に入って、その人のいる場所に出る、って魔術?」
ティルが聞く。
「そう、それ。その魔術を使えば鍵とか開けずに侵入できる。しかも、制服なんか切れるはずがないだろ?なのに、切れた。聖剣で切ったとしか考えられない」
「聖剣って王家の家宝で、全てのものを切る剣じゃなかったか?」
全てのものを切る剣……⁉︎
「ああ。その推測のつじつまは合うな」
「クソ親父は、ぼくが生徒会に入るのを嫌がってた。でも、ぼくが生徒会に入ったから……」
「生徒会に対しての嫌がらせってことか」
カルさんが、腕を組んで鋭い目をしている。
「そうなると、やはり王が1番怪しいな」
「だな」
「今日はこれで解散だ。この後は好きにしろ」
『はい』
何もする気が起こらないんだよな……。
「ルイ、一緒に帰らない?」
「うん。オッケー。ティルもいい?」
「うん」
「ツェルドくん、大丈夫?」
ツェルドくんって、変に素直じゃないところがあるからなあ。
「大丈夫。……今日、ルイの家に泊めてくれない?」
「え⁉︎」
「ルイくんの家⁉︎セキュリティーとか大丈夫なの?」
「多分……」
「ルイの家、ラージュさんがいるんでしょ?」
「う、うん。僕の部屋の近く」
「なら大丈夫」
「そうなの?」
「大丈夫なのかなぁ?」
「ラージュさん、ぼくのボディーガードだからさ。大丈夫。命に賭けても守ってくれるよ。任務には忠実だもん」
「分かった。多分、大丈夫。5歳の男の子と住んでいるから、ソイツのお許しが出たら」
「ありがとう。でも、今日だけじゃないかも」
「あー」
そりゃあ、制服を切った犯人と一緒にいたくないよね。
「どうにかする」
「じゃあねー」
「また明日ね、ルイくん、ツェルドくん」
「じゃあね」
さあ、リクにお許しをもらわないと。
「ルイの部屋はどこなの?」
「ついてきて」
階段を3階まで上がって。
客室棟のドアを開ける。
右側の、手前から2番目の部屋に入る。
「ここなんだ」
「そう。ここだよ」
あれ?リクがいない。
「リクー」
「あ?」
ガチャ。
バタン。
「あ、リク」
「おかえり。で?そっちは王子だろう?」
「あまり驚かないんだ」
「お前が王子と仲が良いことぐらい知っている。で?どうしたんだ?」
「リク、ツェルドくんを泊めてくれない?」
「別にいいが。今日だけか?王子」
「いや、今日だけじゃないかもしれないけど」
「おそらく、日曜日からは泊められない。旅行に行くからな。それまでで良ければ泊まっていけ」
リク、案外優しい。
「「ありがとう。リク」」
「あ、リクって呼んでもいい?」
「どっちでも」
「ありがとう」
「王子はルイの部屋を使ってくれ。ルイは部屋なし」
「は?ちょっと待てって。おかしいだろう!僕の部屋がないって」
「しょうがない。客人だ」
「しょうがなくない!」
「寝るときはソファベッドをベッドの形にすればいいだろう?着替えだけお前の部屋ですればいい」
あれ、ソファベッドだったの⁉︎
って、そういうことじゃなくて。
「なんで、リクの部屋があるんだよ!」
「俺の方が荷物、多いから」
「知らないよ‼︎」
「ルイ、うっさい」
「王子の言う通りだ。ルイ、うるさいぞ」
何なんだ、これ……。
「おはよう!」
結局、リビングで寝たから思わず、起きた拍子に「おはよう」って言っちゃったよ。
着替えよう。着替え。
トントン。
「ルイだよ。入ってもいい?」
「うん」
ガチャ。
ツェルドくん、まだ、布団に入っている。
「ねえ、ルイ。今日、学校を休むよ」
「分かった。ゆっくりしてね」
ちょっと、心配だなぁ。
「着替えるね」
「うん」
「そうか。王子が」
「はい。カルさん、どう思います?」
「どう思います?って言われてもな。心配だな、ってことしか」
「休んだら大丈夫なのかなぁ。ちょっと違う気もするんだけど」
ティルも不安そう。
「でしょう?大丈夫かな、って」
「1人じゃないんだろう?」
「一応。5歳ですけど」
妙に大人っぽい5歳がね。
「話し相手がいればマシだとは思うが」
「どうだろうね。いい方に転ぶといいけど」
「だね」
「王子。入るぞ」
「リク?どうぞ」
「目玉焼きだ。ナミさんが作ってくれたぞ」
「ナミさんって、レネアさんの姉のナミヌさん?」
「そう。ついでに、みかんだ。ラージュさんが買ってきていたみかん。食パンでよければ焼くが、どうする?」
「もらう。ありがとう」
「分かった。……登校しなかったのはどうしてだ?」
食パンをトースターに入れる。
3分だな。
「こうなったのは元々、ぼくが生徒会に入ったから。生徒会に入らなくったって王には慣れたし、ぼくの反抗心で入っちゃっただけだからさ。そのせいで迷惑かけているって思ったらさ、一緒に行けないな、って思って」
「ここに来たら、一緒じゃねえの?」
「だね。でも、昨日はそんなこと思ってなくて、今日、ふとそう思ったら行けなくなったんだよ」
ふーん。俺には関係ねぇな。
「まあ、俺的にはここにはずっといてもらっても構わねえけど。ルイといてもボケそうだし」
「言うね、あんた。てかあんた、変に上から目線だな。5歳なのにリクの先輩とか上司みたいじゃん」
「いいだろう?別に」
「いいよ」
元気だな、不登校の割に。
「この目玉焼き、美味しいじゃん」
「もちろんだ。ナミさんが作ったんだから」
チン。
「パンが焼けた。持っていくぞ」
「ありがとう」
ツェルドくんは、今日も学校に行かないらしい。
金曜日だし。
日曜日どうしよう。
「ルイ」
「はい!」
レネアさんが―というか―他学年が、2年生教室棟に来るのは珍しい。
「ツェルドはどうしている」
「ツェルドくんは今日も来ていません」
「そうか。……日曜日の旅行、延ばせないだろうか。ツェルドもあの様子だと行くあてがなさそうだし。ツェルドの気持ちに決着がつくまで。リクに頼んでおいてくれ。あの、ガキに」
おー、また出た!レネアさんのガキ発言!
「分かりました」
7時だ。
日曜日の旅行がなくなったから、ゆっくりできるな。
「おはよう。ツェルドくん。昨日の夕食で今日の10時から共有スペースのリビングで道化引きをすることに決まったんだけど来る?」
「道化引き?」
「うん、そうだよ」
ババ抜き、苦手なんだけどな。しょうがないよな。
「顔が歪んでいるけど?」
「あ、バ―じゃなかった―道化引き、苦手だから」
「なるほどね。ルイは苦手そうだね。いいよ。やろう」
「じゃあ、朝ごはんを食べに行こう」
「オッケー」
「リク!朝ごはん、食べにいくぞ」
「分かった。着替える」
「ぼくらも着替えない?」
「あ、うん」
「配るよー」
『はーい』
「いち……に……さん……」
フヌさん、手際がいい。
「好きなところに座ってね」
『はーい』
このトランプの山の場所にしよう。
「隣、いいか?」
あ、ケルタヴさん。
「もちろん、いいですよ」
さてさて、ペアを探さないと。
剣の3。あった!貨幣の3。
捨てて。
まだまだ、ある。
…………。
「始めるよー」
『はーい』
「じゃーんけーんぽーん!」
僕はグー。
リクはパー。
あれ?リク以外、皆、グー。
「リク、1人勝ち⁉︎」
「「「「うわー」」」」
「時計回りだから、王子!リクから1枚引いてね!」
「オッケー!」
僕は王子の左隣だから、王子から引くんだね。
で、ケルタヴさんに引いてもらう、と。
右が道化。
左が聖杯のQ。
アルトさんがジョーカーを引いて、僕が今アルトさんが持っているQを引けば、上がり。
アルトさんにQを引かれたら、僕の負け。
アルトさん!お願い!ジョーカーを引いて!
「さあ、どっちにしようかな。右かな?左かな?」
僕から見て左、アルトさんから見て右を引いてください!
「こっちだっ!」
どっちを引いた?
目を少しずつ、開ける。
描いてあるのは、球に乗った、悪魔のようなカラフルな服の男。
道化師だ。コイツ。
……負けた!
「弱いね、ルイは」
「お前さあ、透視の能力あるんだから、引かないようにできただろう」
ケルタヴさんにも言われるけど。
「だって、最初から持ってたんですもん。僕、他の人に引かせられないんですよー」
「ずっと、持ってたのか」
「それは、それは」
「ドンマイ、だな」
「Don’t mind!」
クレクトさん、発音いい。
じゃなくて、はあ……。
もう、やだ……。
「じゃあ、順位を発表するよ!」
フヌさんが、声高らかに宣言する。
『はーい』
「1位、ケルタヴさん。2位、レネアくん。3位、ラージュさん。4位、王子。5位、ユズフさん。6位、マイセさん。7位、クドバートさん。8位、リク。9位、私。10位、モクレユさん。11位、スレンさん。12位、ナミさん。13位、アリツさん。14位、アルトさん。15位、ルイくん。でした。お疲れ様でした!」
ツェルドくんがラージュさんに負けている。
そういえば昨日、ラージュさんが人間観察が一時期趣味だったって言ってたような。
人間観察の力、すごい。
そして、ケルタヴさん、強い。
僕から1回もジョーカーを引かなかった。
ケルタヴさん、ポーカーフェイスだし。すごいなぁ。
こんにちは!
風葉です!
本編、ちょっとわけのわからないところで止まってるんですけどね。理由は元々、次の部分と合わせて1部分だったから。
とりあえず、恒例の姓名占いをしましょう!
今回は、ゼナイト代表とアユミ先輩ですよ!
サイトは、『みんなの名前辞典』、URLはhttps://mnamae.jp/です。
まずは、ノルテー・ゼナイト代表!
『56点。
前世から受け継いだ運 10画(最大凶)
盛衰が激しい家系。一代で天下をとったり、滅びてゆく傾向があります。
他人はどう見る? 5画(大吉)
いつもニコニコ。反面、人を見る目が厳しい。損をする人とは付き合わない,というように見られています。
性格 3画(大吉)
世話好き。本心は寂しがり。丸顔で笑顔がさわやか。
あなたも知らない裏の顔 7画(吉)
義理がたい。口は悪いが温かい心の持ち主。楽器や歌,踊りなどが得意。親との絆が強い。
まとめると 17画(吉)
責任感が強い。正義感があり、意志が強い。面倒見がよい。短気なのが悪いところ』
なんか、結構合ってますね。
少しレネアさんと似ていますねー。
これは、偶然ですよ?一応、言っておくと。
面白いですね!
次はケイ・アユミ先輩。診断は、阿弓圭で診断しますからね。
『56点。
前世から受け継いだ運 11画(大吉)
女系の家系。男性は絶える傾向にあります。養子を迎えて家名存続してきました。
他人はどう見る? 14画(凶)
オドオドしている。人見知りをする。警戒心が強く目立たない。控え目。一度気を許すと一心に世話をやく人、というように見られています。
性格 9画(最大凶)
口が災いして人を不幸にすることがある。観察力があり、ものごとを瞬時に判断できます。努力家。まじめで。自分にも他人にも妥協を許しません。
あなたも知らない裏の顔 6画(最大吉)
負けず嫌い。根性がある。にぎやかなことが好き。親に期待され、両親の面倒を見ます。
まとめると 17画(吉)
責任感が強い。正義感があり、意志が強い。面倒見がよい。短気なのが悪いところ』
これは微妙ですね。
当たらずとも遠からず、って感じ?
さあ、ここで終わりです。
次も見てねー!




