8.嘘と真実〜そして来たる鬼〜 日本編
文字数(空白・改行除く):1,493文字
「ただいま」
「ああ、おかえり。人間界の方の課題をやれ。レポートだったか?」
「レポートかワーク」
「そう。で、お前は?」
「ワーク」
「じゃあ、やれ」
「やってるけど。で、どうするんだよ?」
「今から、白流学園に提出しに行く」
「え、マジで⁉︎」
やったー。久しぶりの人間界ー!
「ただ、基本、誰にも会わせないぞ」
「えー」
「早く荷物をまとめろ」
「はーい」
「そして、半袖に着替えろ」
「はーい」
「<,#|*#;*#.|\}.<,#;}_€$+%%#^{>€@?&.(.(?」
1週間前に聞いた呪文だよな?あの異世界への穴を開けた時の。
うわっ!穴が開いている!
って2回目だよな。そして、大袈裟。
真っ暗。
「行くぞ」
「はいはい」
アスファルトの道がドアに向かって続いている。
確かここを踏み外したら、永遠にさまようことになって、永遠の苦しみを味わうことになるんだったっけ?
落ちちゃダメだな。
日本に帰ることができる扉はどれだ?
「手前から2つ目の扉に入る。行くぞ」
「はーい」
それにしても暗いなー。
グレーのアスファルトが白く見える。
「開けるぞ」
あ、まぶし。
なんでだろう。こういうことに関して、僕って反応が薄いんだよな。
暑い。
8月だから?
暑い。
非常に、暑い。
暑い。
今日は2日。8月上旬ってこんなに暑かったっけ?
春の世界から来たから暑いのかな?
えっと、ここはどこ?
図書館の近くだな。
一瞬、記憶が飛んだ。
白流学園はまだ、遠い。
そういえば、皆、夏休みなんだよな。
白流の通信教育には基本、夏休みはないけれど。
はあ。
夏バテかな?来てすぐだけど。
それにしても、魔界の服がこの世界の服と似ていて助かったな。
違ってたら浮いてた。
一言も発していないから喋るか。
「なあ、リクの家ってあるのか?」
「え?俺の家?あるよ。お前と会った日に『陸の家』のことを言っただろ?なかったらバレるだろ」
「そうか。で、『陸』は誰がやってるんだ?リクじゃないだろう?5歳だし」
「それは、アルバムから俺―じゃなくて―俺の友達の兄弟の分身を作って使わせてもらっている。中3だが、中2の時のアルバムから分身を作ればいい話だし、その友達と兄弟、この辺に住んでいないからな」
なるほど。
「早くしろ。行くぞ」
久しぶりの学校。
久しぶりの職員室ノック。
職員室に来たのは、提出物を出しに来たことぐらい。
そして、今回も提出物。
さあ、ノックしよう。
コンコン。ガラガラガラ。
「失礼します。中等部第2学年の佐藤流射です。通信教育の課題のワークを提出しに来ました」
「おお、佐藤。久しぶりだなー」
「あ、黒木先生。お久しぶりです。そして、相変わらずですね」
黒木先生は相変わらず、色白で細い。そして、黒縁眼鏡。イケメンだけど、ニートっぽい。年齢不詳。
「変わらないだろう。佐藤が通信に変えてから2週間もまだ、経っていないんだからな」
「確かに」
「部活で会うクラスの皆が寂しそうだったぞ。担任しているとそれが分かる」
「本当ですか?」
「まーな」
「また、顔を出しに来いよ」
「もちろんです。さようならー」
「バイバイ」
先生にペコッと頭を下げよう。
「失礼しました!」
ふう。
また、ここに来るのは約2週間後。
黒木先生にしか会えなかったけど、楽しかった。
黒木先生ってニートっぽいけどいい先生なんだよな。
でも人間界も落ち着くけど、この部屋も落ち着くよなー。
優しい木の温かみ。包み込んでくれるみたい。
「もうそろそろ、下に降りるか?」
「うん」
……唯一、落ち着けないのはリクがいること。
「あ、トイレに寄るから先に行ってて」
「分かった。てか、お前を待つ気なんか更々ないし」
あ、そう。
「じゃあ、行ってくる」
3階のトイレはどこだっけ。




