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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第1話 親子の紅(あか)
24/67

8.嘘と真実〜そして来たる鬼〜 鬼とダサ男編

文字数(空白・改行含まない):4542字

 今日も食堂はガヤガヤしてる。

 いつも騒がしいのかな?この食堂。

「こんばんはー」

『こんばんは』

「おはよう。あ、間違えた」

「レヴェスタ、なんでこのタイミングで間違うのよ」

 ぺちっ。

 スレンさんがレヴェスタ・ユズフさんの頭を叩く。

「いやさー」

 ユズフさんは天然って感じ。亜麻色の髪と目。

 珍しく、皆、早めに揃っている。

 いつもと違うのは2()()、空席があること。

 あれ?来るのは「大臣」さんだけじゃないのかな?

 ガタガタタッ。

 お、来たっ。

「お待たせー!」

 ぉわあ、元気だなぁ。

 黒いツヤツヤの黒髪を白いシュシュでくくっている。目の色も黒。

 この女の人が大臣?

 白のシャツの上に白地に金縁のブレザーのようなものを着て、裾が金で縁取られている白のスカートを履いている、この女の人。明らかに格の違う服だと思うけど。

 肩からかけている、キャラメル色の革の、下向きに尖っているポーチ?ってなんだろう。かなり長いし、持ち手みたいな棒が付いているものが入っているっぽいけど。

 そして、後ろにいる男の人はラフな格好。黒い目と黒髪。瑠璃色より濃い瑠璃紺色のフレームの眼鏡をかけている。両手にはバッグ。白に青いラインの入った長袖。

 なんか、すっごく不満そうなんだけど。

 ていうか、誰?

「ようこそー」

「久しぶりー」

「遅いよー」

「ごめんねー。ちょっと仕事が押してねー。遅くなっちゃった。それより、ナミさん。新入居人がいるんだって?」

「そうそう。ルイくんよ。あの、リクとフヌちゃんの間に座っている子」

「はじめまして!私はヴェリア・ラージュ。能力管理省の大臣よ。よろしくね。こっちが私の直属の部下のアルバレト・ルノウ。コイツとも仲良くしてやってね」

「誰がお前の直属の部下やねん」

 ボコッ。

 ルノウさんがラージュさんの左足を蹴る。

 関西弁⁉︎

「イッタ。いいやん。ダサ男。ほぼ、本当のことやろ?」

 グリッ。

 ラージュさんが右足で、強めにルノウさんの右足を踏む。

 ダサ男?

「イッタァ。違うわ。全然違う。しかも、ダサ男ちゃうし」

「どこが違うん?ていうか、ダサ男やろ。世界一ダサい男」

「お前の部下じゃないことぐらい、お前も分かってるやろ。……だから、ダサ男ちゃうって」

「さあねー、どうやろな。私は、ルノウはダサいと思うで」

 この話し合いに割り込んでもいいのかな?

 いいや。割り込んじゃえ。

「あのー、ラージュさんとルノウさんってどこ出身なんですか?」

「え?あー、サヒア地方よ」

 サヒア地方。

 どこかはわからないけど、遠いところらしいね。

「みっともないところを見せちゃったしなー。どうしよう。自己紹介の続きでもしよっかな」

「お願いします」

「改めまして、私はヴェリア・ラージュ。能力管理省の大臣をしてます。あとは、王子のボディーガードなんかもしてます」

 ボディーガード⁉︎

「あれ?でも、学園には来てませんよね?帰る時も会ってませんが」

「ルイくんは生徒会員だったやんな。確かに思うよな。私、おらへんもんね。学園にいるときはボディーガードをする必要がないねん。『蹴撃の鬼神』と『執念の男』がいるから。ねー、鬼神さん」

 蹴撃の鬼神がいるの?

 ラージュさんの目線の先にいるのは……。

 目を逸らしているレネアさん。

「ええええええええ⁉︎」

 蹴撃の鬼神ってレネアさんのことなの⁉︎

 執念の男というのは、もしかしてカルさん⁉︎

 なんか、すごい⁉︎

「ラージュさんのせいですからね。『蹴撃の鬼神』って呼ばれ出したのは」

「いやいや、私は何もしてへんって。情報通の友達にレネアの蹴りがすごいねんで、って言っただけやし。そうしたら、情報通の友達が『裁きの鬼女』って呼ばれてる私が認めた男やから、『蹴撃の鬼神』ってつけちゃったんやから」

「知りませんよ。第一、蹴りがすごいって言わないでくださいよ」

 なんか、すごい。「裁きの鬼女」とか「蹴撃の鬼神」とか。考えた、「情報通」さんもすごいような。

 そして、訊こう。

「あの、『裁きの鬼女』って何ですか?」

「あー、私の二つ名。能力が『闇の裁き』やから、『裁きの鬼女』。でもさー、鬼神の方が強そうやん。何でよなぁ」

「確かに、鬼神の方が強そうですよね。確か、鬼女って鬼ば―」

「あー!あー!あー!」

「ダメダメ!ルイくん、ダメだよ!」

 ムグッ。

 口を塞がれて息ができない!

―ばの若い頃のことだったような。

「あら、ルイくん。何か、言った?」

 こ、怖い!

 目が笑ってない!

 な、何故?若い頃だ、って言おうとしたのに!

 老けてるって言ったつもりはないのに!

「鬼婆の若い頃やなんて言わんといて。あんな、怒りっぽい人と一緒にせんといてよ」

「ルイくん、ルイくん。耳貸して」

 フヌさん?

 耳?ああ、内緒話ですね。

「実はラージュさんの母親は『鬼婆』って裏で言われていてかなり怖いの。ラージュさんはそんな母親が苦手なの」

 なるほど。

 それでカチンときてたのか。

「話を戻すんやけど、王子が学園にいるときにボディーガードをしない理由はもう1つあるねん。それはな、王子がそこそこ強いからやねん」

 そこそこ?

「そう。そこそこ。一応、王子は剣士なんよ。バッグには、短剣が入っているし、休日は刀を持ってる。ヤワな奴なら、王子は余裕で倒せるで」

 なるほど。そこそこ強いのか。

「まあ、ボディーガードとして同じ剣士の私がついてるけど」

「ラージュさんって剣士なんですか?」

「うん。このホルダーに入っているのは剣やで」

 なるほど。細長いポーチに見えたのはホルダーで、中に入っていたのは剣だったのか。

「そうや!ナミさん、着替えたいから部屋、借りていい?」

「もちろん。あ、ラージュさん、ここによく来るんだから1部屋、借りたら?」

「でもねー」

「管理はしっかりするし、お風呂付きの1番景色のいい部屋を他の部屋の家賃と同じ値段で貸すから!」

「いいん?」

「いいよ!もちろん!」

「ありがとう!じゃあ、部屋の鍵を借りるね!」

「はい。306ね」

 306ってことは3階の角部屋で1番広い部屋のはず。

 僕らの部屋が304だから右斜め向かいの部屋だね。

「じゃあ、ちょっと待っててねー」

「……はあっ」

 ルノウさんの盛大なため息。

 疲れているんだねー。精神的にも?

 そういえば、ルノウさんって何の仕事をしているんだろう。

「ルノウさんの職業って何ですか?」

「俺はゲームクリエイターやで。売れるゲームには全く関わってへんけど」

 なるほど。それでラフな格好?

「夢見る男なんだよな!アルバレトは!」

 クドバートさんがニヤッと笑って声を発する。

「やる時はやる男、だもんねー」

 ナミさんも机に料理を並べながら話す。

「ルノウさんとラージュさんってどんな関係なんですか?見たところカレカノじゃないっぽいですし」

「俺とアイツがカレカノ?やめろって。それはない。アイツが彼女やったら俺は死ぬで。しかも、アイツに俺のこと、『好きか嫌いかで言ったら嫌い』ってはっきり言われたし。第一、俺は結婚してるしな。アイツは単なる幼なじみ。サヒア地方にあるレイネス学園の姉妹校に行ってたときも、小5でクラスが一緒になって。レイネス学園に中等部から転校したときもアイツが一緒やったし、中1、中2で同じクラスになるし。ずっと一緒やねん、アイツと」

「へえー」

 それにしても『好きか嫌いかで言ったら嫌い』ってキツイな。

 ていうか、サヒア地方にレイネス学園の姉妹校があるんだ。

 でも、何故、2人とも中等部で転校したのかな?

「つぶやきが声に出てるで、ルイ。中等部で転校したのは成績優秀者やったからや。アイツは今、大臣やろ?」

「はい」

「レイネス学園は、そういう人を育てる学園でもある。特に生徒会長や学園会長・代表になる人は将来、高い地位につく。現に、アイツも確か37代目中等部生徒会長、40代目高等部生徒会長を経験してる」

 なんか、すごい。

 レネアさんの先輩だ。

 そして、転校してきたラージュさんが、中等部の生徒会長になれたのがすごい!

「まあ、アイツも1人、勝てへん人がおるって言ってたけど」

「勝てない人?」

「あのラージュさんが?」

 フヌさんも驚いている。

「そうやで。今のレイネス学園のプログラミング同好会会長でレイン・シュキザって子がおるやろ?その子の母親のセイン・リューズってやつに勝てへんって言ってた」

「何で勝てないって言ってたんですか?」

 フヌさんが興味津々だ。

「詳しくはわからへんけど、勉強やと思うけどな。リューズはテストの点数がすごい良かったから」

「なるほど。勉強かー」

 思わずつぶやいてしまうのは、勉強が苦手だから?

 いや、運動も出来るわけじゃないけど。

「そうや、俺のことも自己紹介しとこう。このアパートの人、俺に何も訊いてくれへんからな」

「あ、お願いします」

「はい、どーぞー」

「勝手にして下さい」

「なるべく巻きで」

「どーでもいい」

「一応、聞きます」

「進めてください」

「勝手にやれ」

「お前ら、ルイとフヌちゃん以外、俺の自己紹介をしっかり聞く気ないやろ」

「「「「「「「「「「「ない」」」」」」」」」」」

 いやー、11人のハモりは素晴らしいですなー。

 はー、感動で汗が止まらないー?

 ……いや、待て。この汗は何だ?何の汗だ?

「お前ら、いい加減にしろよ!」

「そっちこそ早く進めてよ。一応、聞いてやるって言ってんだから」

 クレクトさんが、睨みつつ、ルノウさんに催促する。

「チッ。……俺はアルバレト・ルノウ。闇属性、闇分野、防音能力やで。魔力は85。趣味はドラムと歌。ダンスも割と好き。あとはホラー映画鑑賞。27歳や」

 防音能力ってちょっとしょぼい?

「こらこら、ルイ。つぶやきが声に出てるで。しょぼいけど便利やで、防音。分かってへんなぁ」

 はあ、そうですか。

「ついでにアイツの紹介もしておいてやるわ」

『お願いします』

 あ、全員ハモった。

「なんや、お前ら。俺の自己紹介の時は話を聞く気無かったくせに、アイツの自己紹介に変わった途端に興味津々になって。何で?」

「「「「「「「「「「「だって、お前じゃないから」」」」」」」」」」」

 また、僕とフヌさん以外がハモった。

 ……なんで、こんなに息がぴったりなんだ?

「アイツはヴェリア・ラージュ。闇属性、闇分野、能力は闇の裁き」

 闇の裁き?

「父親が闇属性闇分野、母親が光属性清光能力だ」

「ルイ」

「なんだよ」

 いきなり、内緒話のトーンで話しかけてきて。

「能力が『裁き』の人間の説明をしておいてやる。裁きの能力が出るのは、闇属性闇分野の人間と光属性日光・清光分野の人間の間に生まれる子だけだ。そして、その子が闇属性闇分野なら闇の裁き、光属性日光・清光分野なら、光の裁きの能力が出る」

「例えば、闇属性水分野ならどうなるんだ?」

「その場合は裁きの能力は出ない。闇属性日光・清光分野の場合もそうだ」

「なるほど、分かった」

「好きな食べ物はコーンポタージュ」

 あ、自己紹介はまだ、続いてる。

「いつも持っている物は、消毒用アルコール。ってところやな」

 あ、終わっちゃった。

「ヤッホー」

 ラージュさんが戻ってきた。

 ラージュさんの服装は白いTシャツに明るい色のジーパン。ラフだな。

「待たせちゃってごめんね。ダサ男も早く座って」

「ダサ男ちゃうし」

「ダサ男や。アルバレトは世界一ダサい男やろ?」

「はあ?」

「ナミさん、コイツはもういいから」

「分かった。じゃあ、いただきまーす」

『いただきまーす!』

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