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怪しいイケメンくんと異世界旅行〜目指せ、世界征服〜  作者: 風葉 千尋
第1話 親子の紅(あか)
21/67

8.嘘と真実〜そして来たる鬼〜 始まり

文字数(空白・改行含まない):4461字

「おはよう」

 珍しい。リクが起きてきている。

「おはよう」

 うーん?どうしてだ?どうして起きてきたんだ?

「今日は食堂で朝ごはんを食べるぞ」

「オッケー」

 なるほど。そのために早く起きてきたのか。

 道は覚えたから1人で食堂まで行ける。

「リク、先に行ってて」

「言われなくてもそうするつもりだけど」

 あ……、そう…………。

 じゃあ、僕は着替えよう。

「ここに鍵、置いておくからな」

「はーい」

 着替え、着替え。

 ワイシャツを取り出して着る。

 確か、中等部のブレザーが1番落ち着いた色だったはず。それでも、群青色。

 初等部は、ピンクベージュ。

 高等部は、ラベンダー。

 大学は、ホワイトグレー。

 高等部のブレザーの色は、強い色じゃないけどラベンダーだから目立つ。

 このブレザーの下に、男子は白いワイシャツと白地に黒のチェックのズボンにベルト。女子は白いワイシャツと白地に黒のチェックのスカートを履いているから余計に目立つ。

 でもって、学年カラーのネクタイやリボンをするからブレザーの色に合わなかったら変な感じ。

 僕の学年カラーは青だけど、一体、似合ってるのかな?

 多分、似合ってないんだと思うけど。

 さあ、着替え終わったし、食堂に行こう。


「おはようございます」

「おはよー」

「おは」

「おはよ」

 朝の食堂は空いてるのかと思ったけど結構、いる。

 座ろう。とりあえず、昨日と同じ席でいいか。

 クレクトさんは私服だけど、あの長い髪を一つにまとめてキリッとしている。

 ジーンズを履いている、その足がとても細い。

 それでいて、しっかりしている。

 朝は酔ってないみたい。

 レネアさんも座っている。

 制服を着たレネアさんのオーラはここにいるメンバーと違いすぎる。

「おっはよー」

「おはようございます」

「おはよー」

「おは」

「おはよ」

 ガタン。

 フヌさんが僕の右隣に座る。

 あれ?皆、昨日と席が一緒?

 そういえば、リクがいない。

「リクはどこに?」

「ああ、トイレよ」

 このアパートは、トイレはそれぞれの階にあって部屋にはなかった。

 リクがいるのは1階のトイレかな。

 朝は、制服の人が多いな。

 フヌさんも緑のブレザーを着て、グレーのスカートとベストを着ている。

 アルトさんは作業服を着ているし、ケルタヴさんはスーツ。

「アルトさんって何の仕事なんですか?」

「俺の仕事は運送業だ。平社員だな」

 へえー。

 この世界にも運送業はあるのか。まあ、そりゃそうだよな。

「ケルタヴさんは?」

「設計だよ。機械の。点検する時は作業服だけどね」

 なるほど。

 ……ガチャ。

「リク!早く座って」

 ナミさんが頬を膨らましながら、怒った。

「ご飯が冷めちゃうでしょ?」

「あ、すみません」

「レネア、手伝って」

「はいはい」

 ……コトン。コトン。

 お皿を丁寧に置いていく。

「茹でたニンジンとサラダ。目玉焼きは後で受け取りに来てね。ヨーグルトと全粒粉パン。ジャムはストーチ(イチゴ)、ブルーベリー、柑橘系の3種。砂糖もあるからね」

『いただきまーす』

 わあ、ニンジン、甘い!

「クレクトさんは何の仕事をしてるんですか?」

「私の仕事は介護士よ。おじいさんやおばあさんがありがたい、って顔をしてくれるのがやりがいかな」

「へー」

「そういえば、ソルフェイン、今日は仕事か?」

 ケルタヴさんがパンにブルーベリージャムを塗りながら訊いている。

 ソルフェイン・クドバートさんは細くしなやかな指の持ち主で、茶色に近い色の柴染色の髪と日の出数分前のような空の色に近い青のペルヴァンシュ色の目がかっこいい男性。

「ああ、仕事。仕事用の服を着てるでしょ?」

 クドバートさんが歓迎会のときに着ていた作務衣みたいな服は紺。

 今は緑。

 あ、なるほど。緑が仕事用か。

「何の仕事をしてるんですか?」

「ボクの仕事は陶芸家。この通り、能力が水だから割と珍しい陶芸家だよ」

 自分で珍しい、って言えるってすごい。

 自信がある人なんだな、自分に対して。

「そうだ!聞いた?今日、大臣が来るってさ」

 クドバートさんが皆を見て言う。

 大臣?

「本当ですか⁉︎」

 フヌさんがとても嬉しそう。

「ルイは大臣のこと知らないだろ?」

 アルトさんが訊いてくれる。

「はい」

「能力管理省の大臣だ。ここの住人じゃあないんだが、よくここに来るんだよな。怒ったらすごい怖い。一回、他省の中で黒い噂が絶えなかったときにその省に乗り込んで『白黒つけようじゃありませんか』って言って犯人を辞任させたからな。()えーぞ」

 『白黒つけようじゃありませんか』って怖すぎる。

 そんな人が来るのか。

 今日の午後はきっと波乱だな。

 パン食べよ。

 おわ、フワッフワ。

 全粒粉パンだからか、外はカリッカリ。

 美味しい!

「このパン、すごく美味しいですね、ナミさん」

「でしょ?何しろ、私の作ったパンだからね」

「ナミさんが作ったんですか⁉︎」

「もっちろーん!ここで出す食べ物はほとんど私が作ってるわよ」

「すごい‼︎」

「それと、ルイ」

「はい?」

「目玉焼き、取りに来てないわよ」

「あ、すみません」

 もらいに行こう。

 これかな?

 ルイ、って彫られたハンコが押してある紙が名札みたいに立ててある。

 つやつやの目玉焼き。

 座って、と。

 美味しい!

 硬さは好みの硬さではないけれど、卵のコクがすごい!

 白身の端のパリパリした部分は、ちょうどいい香ばしさ。

「ルイ、もうちょっと半熟のほうがいい?それとも硬いほうがいい?」

「僕は硬いほうがいいです」

「オッケー。明日からそうする」

「お願いします」

 どうやら、人によって黄身の硬さが違うらしい。

 リクなんかは、黄身がトロトロだ。

「レネアはヨーグルトのジャム、何がいい?」

 クドバートさんがジャムを持ってレネアさんに聞いてる。

「あ、柑橘系で」

「はい、どうぞ。好きだよね、このジャム」

「さっぱりしてて美味しいじゃないですか」

「まあ、確かにね」

「生徒会はどうだ?」

 アルトさんが口を挟んだ。

 レネアさんは、ヨーグルトを口に入れたところ。

 少しの間、沈黙。

「……ルイを会員にしました」

「おー!やるじゃないか、ルイ」

「ルイ、君、すごいな」

「すごいじゃん」

「すごいね」

「このレネアに認められるとはね」

「あ、ありがとうございます」

 顔が火照る〜。

「他のメンバーは?」

「中2の女子と王子を」

「王子⁉︎マジか⁉︎」

 皆、目が丸い。

 クレクトさんにいたってはスプーンを落としそう。

「はい、マジです」

「すげえな」

「まあ、そのおかげで学園会とはバトルになりましたがね」

「やっぱりなー。いつの時代も生徒会と学園会の関係はそうだよなぁ」

「はい」

「まあ、思っていることが違う集団だからな。自分のことが正しいといつも思っている。そのせいだな」

「気をつけないといけませんね」

「ああ。生徒会も、学園会もな」

「話はそこまで!皆、食べ終わった?」

『はい』

「じゃあ、皆で」

『ごちそうさまでしたー』


「いってきまーす」

「はい、勝手に行け行け」

 リクが僕を追い出そうとしてくる。

 まあ、いいか。

 階段を降りて、っと。

 3階だから1階までが長いなあ。

 よし、降りられた。

 えーっと、ティルを迎えにいくから、まずは左に曲がらないと。

 曲がったら、2本目の道だったよね。

 この道じゃなくて、この道か。

 曲がったら、青い屋根の家?

 あ。あの奥の家か‼︎

 えーと、どうやって呼ぶんだろう。

 ……インターホンがある。

 ポチッ。

 ピーンポーン。

 ……ピーンポーン。

 家の中でのインターホンの音。

「あ、ルイくん。ちょっと待ってて」

 ……ガチャ。

 今日はポニーテールのティルが出てくる。

 ポニーテールだと、より快活さが伝わってくるな。

「お待たせ。飴、どうぞ」

「飴?いいの?」

「うん。この学校は朝、何を食べていてもいいから。学校でも食べてていいんだけどね」

「ありがとう」

「どういたしまして。ところで、ルイくん。今日はどの授業を受けるの?」

「どうしようかな?」

「6時間授業だから、割とたくさん受けられるけど。まあ、途中で部活に行ってもいいけどね」

「そうなの?どうしようかなぁ?」

「そんなに悩むのなら一緒の授業にする?私の時間割は、『国語、美術、数学、体育、魔術知識、理科』にしてあるけど」

「そうする」

「じゃあ、決まりだね」

「うん」

「あ、中等部の授業は何科目あるか知ってる?」

「知らない」

「10科目だよ。国語、数学、理科、社会、外国語、魔術知識、技術・家庭科、保健・体育、音楽、美術。ちなみに技術と家庭科の授業は別」

「へえー」

「2日間、同じ授業をするから、2日連続で同じ授業は無理だよ。課題も出るし」

「課題⁉︎頑張らないと」

「学校に着いたら職員室に行かなきゃね」

「どうして?」

「昨日、部活のプリント出してないでしょ?それと、教科書をもらいにね。教科書は学校に置いていていいから」

 置き勉オッケーなのか。

「ねえ、ルイくんの母方の従兄弟さんの誕生日とか訊けた?」

「うん、訊けた」

 いつのまにか、住宅街だ。

 時間が早くなったなぁ。


 キーンコーンカーンコーン―。

 1時間目が始まったか。

 まあ、校舎の裏側の日陰で校舎の土台の出っ張りに腰掛けている俺には関係ないんだが。

 ここにきたのは少し休みたかったからだ。

 アパートから出てきて学園に来ておいて、何を言っているんだ、と他人は思うだろうが。

 授業を受けたくなかったんだから、しょうがない。

「―レネア?」

 ……カル?

「どうした?」

「授業を受ける気分じゃなくてさー」

「そうか」

 逆にその理由じゃない方が珍しいよな。

「なあ、レネア」

「なんだ?」

「オレたち小3の時に喧嘩しただろ?」

「したな。ボコボコにしあって」

「もう1回やらね?」

「は?」

「あの時、負けたのオレだろ?なんかずっと悔しくてさ。リベンジってことで」

「別にいいが。いつするんだ?」

「今。場所はここでよくね?」

「別にいいが。姉さんや、保健室の先生じゃないと治癒魔法はかけられないから、前の学園会との戦いでゼナイトがかけた体力ゲージを出し、ケガを負わないようにする」

「オッケー」

「シュレイル・ファノラー」

 成功。体力ゲージが頭の上に表示されている。

「終わったらクリーン魔法をかければいい。始めるか?」

 数歩下がってカルから遠ざかる。

「ああ!スタートだ!」

 カルから体を入れたパンチがとんできた。

 避けて、腹部に足をつけてカルを吹っ飛ばす。

「ううっ……」

 また、威力の強そうなパンチが顔に向かってくる。

 腕を掴んで受け流す。

 ……くっ!

 俺の左横腹に当たったカルの右足が、地につく。

 俺を蹴ったのか。

 とりあえず、腹部を蹴るため、間をとる。

 カル、当たり前だろうが、君は強くなってる。


 キーンコーンカーンコーン。

 6時間目も終わって、皆、部活に向かってる。

 でも僕はオカルト・伝説研究会会長のアユミ先輩に会わないと。

「ルイくん、生徒会室に一緒に行かない?」

「ごめんね、ちょっと用事があって。先に行ってて」

「うん。分かった。後でね」

「後でねー」

 アユミ先輩、僕に何の話があるんだろう。


「失礼します」

 ガチャ。

「やっと来たか」

「はい。遅くなってすみません」

「まあ、いい。話は早く終わらせたい。単刀直入に言おう」

 いきなり、本題か。

 なんだろう。

 アユミ先輩が口を開く。


「君は、この世界の住人じゃないだろう?異世界から来たんじゃないか?」


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