6.王と私と僕とドジっ子 前編
文字数(空白・改行含まない):2229字
意外と良い人っているよね。
態度が悪くても、根が良い人。
この人は、そういう人なんだ。
王に、王子が生徒会に入ることを伝えにいかねばなりません。
私は学園会長としてメンバーを守らないといけない。
…………私の姿が目立っている。
まあ、街中で、紫のローブをまとった女子高校生の姿は異様すぎるでしょう。
ただ、このローブは我が会の象徴。
脱ぐわけには行きません。
確か、城まではメインストリートを通ったはずですが、甘党のゼナイトに何か買っていってあげましょうか。
必死に働いてくれている、ご褒美です。
キノルエが美味しい、とリアートが言っていた気がします。
キノルエ、キノルエ。
……ここでしょうか?
どうやら、パフェ専門店のようですね。持ち帰るのは難しそうです。
あら、このお店はクッキー専門店でしょうか。
……あまり、客はいませんが。
このブールドネージュ、美味しそう!
ブールドネージュはホロホロとした食感のクッキーですよね。
「試食されますか?」
「ええ。お願いします」
「少々お待ちください」
美味しそうね。
味も3種類。プレーンとライセンドとストーチ。
ゼナイトはストーチが好きです。
そして、確か、リアートはライセンドが好きだったはずです。
リアートにも買っていってあげましょうか。
…………美味しかった場合の話ですが。
「どうぞ」
「いただきます」
おわっ。
美味しい!
ほろほろとした食感、香ばしく甘い味、雪のような口溶け。全てが混じり合っておいしさを生み出している!
「美味しいです!」
「ありがとうございます!」
「3種類とも3袋ずつください」
高等部、初等部にも配りましょう。生徒会にも。
「90ヴェイルになります」
安い!
低価格すぎるでしょ!
「大丈夫なんですか?その価格で」
「え……。はい。気軽に買っていただきたいので」
「素晴らしいです。その心がけ。学校で紹介させていただきます」
「あ、お願いします」
「はい、90ヴェイルです」
「ありがとうございます。品物です。ありがとうございました」
「こちらこそです!」
寄り道の時間が少し長くなってしまいました。
フィールの塔を過ぎればあと少しです。
フィールの塔の裏にあるワープホールを見つけねば。
…………ワープホール、みぃつけた!
やっと、生徒会室に戻るらしい。
「することがないから生徒会室に戻ったら帰っていい」
「今、解散したらいいじゃん?」
「おそらくエーナが生徒会室にいる。君らを紹介しないといけないからな」
エーナ先輩は、確か、生徒会書記の先輩。
「そんなに時間、かかんないの?」
「多分。エーナが物を壊さない限りは」
「壊すんですか⁉︎」
「ドジすぎて、な。こけたり、手をついたり、よく、物を壊す」
「あらら」
そうこうしているうちに生徒会室のドアの前だ。
「さあ、覚悟しないとな」
ガチャ。
「かいちょお!」
ガタン。
茶色の丸メガネをかけたジョーヌ・ミモザの髪でカラメル色の目の女の先輩が立ち上がるときに机に膝をぶつけた。
「痛っ!」
「……」
「どこにいってたんですか。1人で寂しかったんですよ!」
パタパタ。
エーナさんが、レネアさんの方を見ながら走ってきた。
あ。
ドテッ!
「痛っっっっっっ!」
「レネア」
カルさんの冷たい声。
レネアさんに処分を求めている。
「早く、起きろ」
「はいいぃぃぃぃ……。立ちましたけど……」
「もう少し、周りに気を配れ!足元と進行方向を同時に気にせるぐらいにはなれ!」
「はぁぁい…………」
「……」
「自己紹介、どうするの?」
「そうだった。エーナ、聞け。新メンバーの紹介をする。君のことも知らない。しっかりな」
「はいっ!」
「まずは、エーナ。見本として紹介をしろ」
「はーい。えーと。ワミトル・エーナです。雷属性土分野造形能力です。魔力は69。よろしく〜」
すごい!レネアさんよりもカルさんよりも魔力が高い!
でも、ものすごいドジっ子らしいけど……?
『よろしくお願いします』
「ルイ、紹介よろしく」
「あ、はい。ルイ・サトーです。土属性闇分野透視能力です。魔力は、20です。よろしくお願いします」
「20⁉︎あ、ごめん。失礼だね」
「いえ、大丈夫です」
元々、魔力があると思ってなかったし。
「そういや、ルイ。魔力、10だったよな?増えてね?」
「あ」
これは、言っていいのかな?
「ぼくが魔力を与えたよ?王家の者のみ使える魔法である、魔力付与術を使ってさ。何?別にいいでしょ?」
「まあ、いいんだけどな。驚いただけだ」
「あっそ」
あっそ、って。
「ジョーノーヴ、次、君が自己紹介をしろ」
「あ、はぁい。クティルヴィア・ジョーノーヴです。魅力属性水分野放水砲能力です。魔力は56です。よろしくお願いしま〜す」
「よろー」
「次はジュンヴェイテ」
「だーかーらー」
「何が?だから、って、何が」
「……悪かったね。だから、の前を言ってなくて。つまり、ぼくが言いたいのは、クソ親父と同じ名前の『ジュンヴェイテ』でぼくのことを呼ばないでよね、ってこと」
「分かった。ツェルド、と呼べばいいのか?」
「うん。ぼくはツェルド・ジュンヴェイテ。宇宙属性清光分野バリア能力。魔力は85。よろしく」
「よろしくー。で、会長、何するの?」
「もう、帰ってもらっていい。解散だ。あ、ルイは残れ」
『はい』
「携帯の件だ。これだ」
四角い箱?
「開けろ」
分かりました……。
…………スマホみたいなのが入っている。
「それを使ってくれ。使い方は分かるか?」
「はい、多分」
スマホと一緒なら。
「じゃあ、ルイも帰れ」
「はい」
スマホの使い方が分からなかったら、誰かに聞けばいいよね。




