「私が」
晩餐が終わった後、リオたちは穏やかに談笑した。ロイズが臣下としてリオ以上に忙しい生活をしているため、ロリアスは久々のロイズとの食事が嬉しいようだった。
「陛下、そういえば今日はお話があるとおっしゃってましたが?」
ロイズがにこやかに問い掛ける。リオはロイズの“合図”を察して
「ああ。今度の政策の話だ。レディ達の前で仕事の話は無粋だからまたあとで話そう」
と返した。シャリナは少し淋しそうな顔をしながらも
「じゃあ、私達はこれで失礼します?ロリアス様」
と言った。ロリアスも同じような表情で頷く。
二人が出ていくとそれまで近くにいた側近達も部屋を出され、ゼム一人が扉に控える形をとる。
準備が整うと開口一番、リオは笑みを浮かべはロイズに尋ねた。
「国王陛下に嘘を言わせてまで何の話だ?ロイズ」
話があるそうですが、この言葉は密談したいの合図だった。家臣であるロイズが国王を呼び出すわけにはいかない。もう随分前からの二人の決まりだった。
ロイズは眉をひそめながらこう切り出した。
「兄様こそどういうつもりで?明日には宮中の皆が知ることになりますが?」
「何のことだ?」
ロイズの辛辣な口調にも動じた様子がなく穏やかである。
「婚約破棄の件です」
よくも知らない口調で言えたものだった。
「ああ…あれか」
悠長なリオにイラつきながらロイズは頷く。
「ええ。子供が産めない体だったからと聞きましたが、そんなこと婚約前にゼムが申し上げたでしょう。大臣の進言に従われたと聞きましたが?」
早口でまくしたてるロイズに今度はリオが頷いた。
「確かに大臣の意見は的を射ていたよ。今のシーモア家じゃだめだからとは言えないだろう」
そう言うとリオは残念そうに首を振った。
「先月代替わりした現当主は無能すぎる」
「それにしてもタイミングを考えていただきたい」
今度はロイズが首を振った。
「このままシャリナを王妃に担ごうとする輩も出ますよ…まさかあの女を王妃になさるおつもりで?」
皮肉たっぷりに言ってのけるとロイズはリオを睨んだ。そんなロイズにリオは穏やかに言った。
「まさか。大体話というのは尋問か?」
「尋問ではなく警告と言っていただきたいですね」
口ならロイズも負けてない。
「私にも考えがある」
一瞬、人をひるませるような鋭い目でリオはロイズを見た。それにロイズはひるまずまっすぐにリオを見返した。
「心配しなくともこのまま婚姻について家臣に付け入らせはしない」
やっと出た納得できる言葉にロイズは頷いた。そう、それでこそ私に陛下と呼ばせる方だとロイズは思った。
まだまだ序盤ですが気長に見守ってください。
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