三人の女
披露宴の後、マリアは城の侍女達に寝間着に着替えさせられた。
陛下は後からいらっしゃるとのことだったが、寝室に通されるとその豪華な調度品には目を見張るものがあった。自分は本当に王妃なのだと実感させられる。
マリアは大きなベッドに倒れこんだ。二人で寝るにも大きすぎる気もする。
この絢爛豪華な部屋で今後何があるのだろうかと考えると憂鬱さを感じた。何も考えないでおこう。そう思うとそのままマリアは枕を抱きながら目を閉じた。
これに驚いたような顔をしたのは30分もしてから寝室に入った彼である。
「…マリア?」
彼は確認のためマリアの名を呼んだ。
「…」
マリアは依然夢の中である。
「マリア」
「…」
「…効き過ぎだな」
彼はポケットから子瓶を取り出した。中に入っているのはどうやら睡眠薬らしい。
「お休み。王妃様」
彼はマリアの顔をじっと見た。何やら思うところがあるらしい。彼はマリアから目をそらすと小さな声で呟いた。
「…幼い、な」
彼はじっとマリアを見た。その目は慈しむようであり、憐れむようでもあった。
気がつくと朝だった。昨日のこともまったく覚えていない。横では陛下が寝ていたのだろうか。ベッドはまだ暖かい。
「お早うございます王妃様」
顔を上げると侍女たちがいる。朝の支度の手伝いだけでこんな人数が必要なのかと思うと面倒に感じる。
「陛下は?」
マリアは恐る恐る侍女の一人に尋ねる。ひょっとしたら陛下が怒っているかもしれないと思ったからだ。
「陛下はお先に朝食を召し上がられました。宮殿では王妃様と国王様がご一緒に朝食を召し上がることはない習わしですから」
侍女は丁寧に応えるがどこか白い目で見られている気がするのはマリアの被害妄想だろうか。
「そう…では私も朝食にするわ」
マリアがそう言うと侍女たちはかしこまりました、とうやうやしく返事をした。
朝支度を終えるとやっと朝食に向かえた。朝食をとる場所は決まっており、マリアは侍女に案内される。部屋に入ると自分の他に右隣りと向かい側に席が用意されていた。
誰のものだろうと思いながら席に着くとマリアを待っていたらしい。すぐに二人の女性が入って来た。
「お初にお目にかかります王妃様」
二人は異口同音に言う。




