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第52話 第七試合

 魔法大祭トーナメントも第一回戦最後の試合となった。

 ここまで数々の強者が勝ち上がってきた。

 残る最後の一枠をかけた戦い。

「第七試合!」

「一年・志水周平!」

「対するは!」

「二年・鳴神春香!」

 二人が闘技場へ入る。

 志水周平。

 一年生ながら教師推薦で選ばれた実力者。

 派手な魔法ではなく、状況に合わせた応用力を武器にするタイプだった。

 一方。

 鳴神春香。

 雷属性の名門、鳴神家の魔法使い。

 古代魔法を受け継ぐ雷の使い手。

 観客席からも期待の声が上がる。

「雷迅が見られるぞ!」

「鳴神家の古代魔法だ!」

 志水は術式紙を構える。

 鳴神も同じく紙へ魔力を流す。

「開始!」

 先に動いたのは志水だった。

「水流。」

 地面へ大量の水が広がる。

 しかし、それだけではない。

 志水はさらに土魔法を重ねた。

「泥化。」

 水と土。

 二つの属性が混ざり、足元が一瞬で泥沼へ変化する。

「なるほど!」

 実況が叫ぶ。

「足場を奪う戦術だ!」

 鳴神が踏み込む。

 しかし。

 足が沈む。

「動きが止まった!」

 志水はさらに追撃する。

「水圧。」

 泥の中へ水流を流し込み、相手の動きを完全に制限する。

「すごい……。」

 理人は感心した。

(単純な威力じゃない。)

(水と土の性質を理解している。)

(足場という環境そのものを魔法に利用している。)

 志水は一年生とは思えない判断力を見せていた。

 しかし。

 鳴神は焦っていなかった。

「面白い魔法だね。」

 静かに呟く。

「でも。」

「これじゃ私には足りない。」

 次の瞬間。

 雷が走った。

「雷迅。」

 古代魔法。

 魔方陣を必要としない特殊な身体変化魔法。

 身体そのものが雷の性質へ近づく。

 筋力。

 速度。

 貫通力。

 全てが大幅に強化される。

 泥に沈んでいた足が、一瞬で動いた。

 雷のような速度で飛び出す。

「抜けた!?」

 観客席が沸く。

 志水はすぐに対応する。

「風圧!」

 風を操り距離を取る。

 さらに。

「水壁!」

 防御を展開する。

 しかし。

 鳴神の速度は止まらない。

 雷を纏った拳が水壁を貫く。

 志水はギリギリで回避する。

「速い……!」

 雷迅。

 それは魔法使いの弱点である近距離戦を克服するための古代魔法。

 天城理人も以前、独学で再現しようとしたことがある。

 だが。

(本物は全然違う。)

 理人は目を細める。

(精度も威力も比較にならない。)

 志水は距離を取る。

 しかし鳴神は攻撃を続ける。

 雷。

 風。

 高速移動。

 完全に流れが変わった。

 志水は最後の手段として大量の水を展開する。

「水嵐!」

 水流と風を組み合わせ、巨大な渦を作る。

 だが。

 鳴神は止まらない。

「私も準備していたから。」

 その言葉に志水が反応する。

 鳴神の後方。

 試合開始直後から書かれていた魔法陣が輝いていた。

 理人は気付く。

(最初から……。)

(仕込んでいた。)

 魔法陣へ魔力が流れ込む。

「春嵐。」

 巨大な嵐が発生する。

 風。

 雷。

 二つの属性を融合した鳴神家の奥義。

 嵐の内部で空気摩擦によるエネルギーが蓄積されていく。

 雷の形へ収束。

 そして。

 解放。

 轟音。

 闘技場全体が白く染まった。

 雷撃が一直線に走る。

 志水は防御する。

 しかし。

 威力が違った。

 防御魔法は破壊され、志水は場外へ吹き飛ばされる。

 審判が旗を上げる。

「場外!」

「勝者!」

「二年・鳴神春香!」

 会場は大歓声に包まれた。

「すごい!」

「雷迅から春嵐の流れ!」

「完全に逆転した!」

 志水は悔しそうにしながらも笑った。

「ありがとうございました。」

 鳴神も手を差し出す。

「あなたの魔法、すごかったよ。」

「一年であれだけ考えられる人は少ない。」

 二人は握手を交わした。

 こうして第一回戦最後の試合は終了した。

 勝ち残った者は八人。

 天城理人。

 エリカ・ローズベルク。

 フィクアリー・パール。

 アイランド・アームストロング。

 石破武。

 アイザ・エレスト。

 鳴神春香。

 そして――。

 次の試合へ進む最後の一人。

 魔法大祭トーナメントは、いよいよ準々決勝へ突入する。

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