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第33話 剣か杖か

 魔道具製作実習、第二日目。

 工房の中央には、完成見本が並べられていた。

 剣。

 槍。

 杖。

 盾。

 様々な形状の魔道具が展示されている。

 先生が口を開いた。

「今日は、採取した魔鉱石を武器の形へ加工します。」

「自分の戦闘スタイルに合ったものを選びなさい。」

 生徒たちは思い思いの武器を選び始める。

「俺は剣!」

「私は短杖かな。」

「弓もいいな。」

 その時、一人の生徒が長い武器を手に取った。

 先生は頷く。

「最近の主流はそれですね。」

 武器の先には刀身。

 柄の部分は魔法の杖。

 まるで薙刀のような形状だった。

「接近戦も魔法も両立できます。」

「空中へ直接魔法陣を描けるため、近年最も人気のある形式です。」

 理人も自分の片魔岩を見つめる。

(この大きさなら……。)

「俺もこれにしよう。」

 先生は少し驚いた。

「片魔岩で薙刀型か。」

「加工はかなり難しいぞ。」

「やってみます。」

 炉に火が入る。

 理人は青い片魔岩を熱し始めた。

 不思議なことに。

 一見するとダイヤモンドのような結晶なのに、高温になると金属のような粘りを見せる。

 ハンマーで叩く。

 カン。

 カン。

 カン。

 少しずつ細長く伸びていく。

「魔鉱石って金属みたいに伸びるんだ。」

「鍛造できる素材なんだよ。」

 先生が説明する。

「内部のMTPが結晶構造を維持しながら変形する特殊な鉱物だからな。」

 理人は集中していた。

(日本刀は何度も折り返し鍛錬する。)

(強度を均一にして、不純物を取り除く。)

 もちろん、この世界の魔鉱石は鋼とは違う。

 それでも理人は、前世で見た日本刀の製法を思い出しながら、一打一打に心を込めた。

 熱して。

 叩く。

 冷やして。

 また熱する。

 何度も何度も繰り返す。

 工房に金属音が響き続けた。

 数時間後。

 ようやく形が完成する。

 長い柄。

 先端には美しい青い刃。

 刃の根元には魔力回路が刻まれ、柄全体が杖として機能する構造になっていた。

「完成です。」

 先生は武器を受け取り、静かに頷く。

「見事だ。」

「重心のバランスもいい。」

「魔力の流れも綺麗に通っている。」

 理人は柄を軽く振る。

 青い魔力が刃から柄へ滑らかに流れていく。

「そういえば。」

 理人が尋ねる。

「どうして杖型なんですか?」

 先生は一本の杖を持ち上げた。

「今まで君は魔法筆で地面に魔法陣を描いていただろう。」

「はい。」

「だが実戦では、そんな時間はない。」

 先生は杖を一振りする。

 シュッ。

 空中へ青白い線が走る。

 一瞬で魔法陣が完成した。

「杖は魔法筆の代わりにもなる。」

「空中へ直接魔法陣を描き、そのまま発動できる。」

「だから現代魔法使いのほとんどが杖を使うんだ。」

「なるほど……。」

 理人は完成した武器を握り直す。

 魔法筆より速く。

 剣より自由に戦える。

 科学と魔法。

 そして武術。

 そのすべてを融合させた、自分だけの魔道具。

 青い片魔岩で鍛え上げられたその薙刀は、まるで持ち主を選んだかのように、静かに青白い光を放っていた。

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