↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/112

第29話 攻撃魔法

 二年生の「魔法開発」の授業。

 今日の課題は一つだった。

『自分だけの攻撃魔法を開発せよ』

 生徒たちは次々と魔法陣を書き始める。

「火力を上げよう。」

「氷槍を連射できるようにしよう。」

 そんな中、理人だけはノートを見つめていた。

(攻撃魔法……。)

(ただ威力を上げるだけじゃ面白くない。)

 ページをめくる。

 そこには一年生の授業で学んだ「基礎物質学」のメモが残っていた。

『魔力を物質へ込めると、一時的に磁石のような性質を持つ。』

「……これだ。」

 理人の目が輝く。

「磁力で物を加速できれば。」

「魔法で砲身を作らなくても、周囲の物を飛ばせる。」

 彼は校庭へ出る。

 地面には小石や鉄片が落ちている。

 魔法筆で新しい魔法陣を書き始めた。

「問題は磁束密度と加速距離……。」

 膨大な計算式が頭に浮かぶ。

 普通なら数十分はかかる計算。

 しかし。

「――叡智の瞳。」

 世界がゆっくり止まったように見える。

 磁束密度。

 ローレンツ力。

 魔力消費。

 飛翔角度。

 最適な魔法陣の形。

 数万通りの計算が一瞬で終わる。

「これならいける。」

 理人は魔法陣を完成させた。

 先生が近づく。

「できたか?」

「試します。」

 理人は落ちていた鉄片を拾わず、そのまま地面へ視線を向ける。

 魔法陣が青白く輝く。

「現代魔法、詠唱開始。」

 静かな声が響く。

「天弓。」

 鉄片が浮く。

「雷轟。」

 青白い電光が鉄片を包み込む。

「光の柱で貫きたまえ。」

 瞬間。

 バチィィィン!!

 轟音とともに鉄片が一直線に射出された。

 目にも止まらない速度で飛んだ鉄片は、数十メートル先の標的を貫通し、その後ろの岩にも穴を開ける。

 土煙がゆっくりと晴れた。

 教室が静まり返る。

「……速すぎた。」

「今、見えたか?」

「いや……。」

 先生は標的を見て目を丸くした。

「周囲の物質を弾丸にしたのか。」

「はい。」

「魔力を直接飛ばすより消費も少なく済みます。」

「材料も現地調達できます。」

 先生は感心したように頷く。

「発想が面白い。」

「普通は魔力そのものを飛ばそうとする。」

「だが君は、魔法を『加速装置』として使った。」

 理人は照れくさそうに笑う。

「物理の方が得意なので。」

 先生は壊れた標的を見つめながら呟く。

「これは……。」

「新しい系統の攻撃魔法になるかもしれない。」

 理人は魔法陣を見下ろえる。

 科学と魔法。

 その二つを組み合わせた魔法は、まだ始まったばかりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。