第27話 二年生
春。
校庭の桜が咲き始め、新学期を迎えた。
掲示板の前には大勢の生徒が集まっている。
「頼む……。」
「赤点だけは勘弁……。」
理人も自分の学籍番号を探す。
そして。
「……あった。」
進級者名簿に自分の番号を見つけ、小さく安堵の息をついた。
「よかったぁ……。」
「天城、おめでとう!」
「なんやかんや全部赤点回避したな。」
「危なかったけどな。」
理人は苦笑する。
「理科以外、本当にギリギリだった……。」
こうして無事、二年生へ進級することができた。
新しい教室。
新しい教科書。
そして最初のホームルーム。
担任が黒板へ大きく書く。
『二年生からは実習中心』
「一年生は基礎科目が中心でした。」
「ですが二年生からは違います。」
「実際の社会で働くことを前提とした授業になります。」
教室がざわつく。
「魔法研究所。」
「魔道具工房。」
「病院。」
「警備隊。」
「王国魔法局。」
「企業。」
「二年生では、それぞれの進路を見据えた実習が始まります。」
理人は目を輝かせた。
「面白そう……。」
続いて時間割が配られる。
「一年生より授業少なくない?」
「基礎科目が減ってる。」
「代わりに選択科目が増えてるんだ。」
先生が説明する。
「二年生からは、自分で選んだ専門分野を深く学びます。」
理人は自分の履修表を見る。
選択科目
・古代魔法
・魔法開発
「そのまま継続か。」
「天城らしいな。」
「古代魔法は昔の魔法理論を学ぶ授業。」
「魔法開発は新しい魔法を作る授業。」
どちらも理人が一年生の頃から特に力を入れていた分野だった。
先生は最後に教室全体を見渡した。
「二年生は、失敗しても構いません。」
「ですが、自分で考え、自分で行動してください。」
「それが実習です。」
理人は新しい教科書を閉じる。
(基礎は終わった。)
(ここからは、自分だけの魔法を作る時間だ。)
窓の外では桜の花びらが風に乗って舞っていた。
新しい一年が、静かに始まる。




