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第26話 映画鑑賞会

 冬休み前最後の授業。

 先生が教室へ入るなり、カーテンを閉め始めた。

「今日は授業はありません。」

 生徒たちがざわつく。

「映画鑑賞会です。」

「きたー!」

「先生の奥の手!」

「どの学校でも最後は映画なんだな……。」

 理人は苦笑した。

 スクリーンが下り、映し出されたタイトルは――

『終焉の光』

「この映画は神話の魔法史でも学んだ、『世界終焉戦争』を題材にした作品です。」

「史実をもとにしていますが、一部演出があります。」

 映像が始まる。

 世界を滅ぼそうとする禿光大御神

 その前へ立つ三人。

 勇者。

 魔王。

 賢者。

「来るぞ……。」

 戦闘が始まった。

 勇者は炎、雷、氷、重力、空間魔法を次々と放ち、神速で空を駆ける。

 理人は思わず呟く。

「強すぎる……。」

「授業で習った通りだ。」

「勇者は歴代最強クラスだからな。」

 敵の攻撃は山を消し飛ばし、海を割る。

 それを勇者は草薙神剣で真っ二つに切り裂く。

「草薙神剣……。」

 先生が補足する。

「能力は概念切断、魔法切断、空間切断、そして魔法陣そのものを切る。」

「……反則じゃないですか。」

 戦いは激化する。

 魔王は「消すもの」。

 あらゆる攻撃や呪いを消滅させる。

 賢者は「増やすもの」。

 一つの魔法を百、千へと増幅させる。

 勇者は「変えるもの」。

 炎を雷へ、重力を光へ、魔法そのものの性質を書き換えながら戦う。

「役割が全部違うんだ。」

 理人は食い入るように見つめる。

 しかし。

 ハゲテカルオオミカミは倒れない。

 絶望的な戦いの末。

 勇者は静かに剣を構える。

『これで終わらせる。』

 そして、防御を無視する禁断魔法――

『◼️◼️◼️◼️』

 名前は黒く塗りつぶされ、音声も消されていた。

 一閃。

 神の動きが止まる。

「え?」

「魔法名が消されてる……。」

 先生が静かに言う。

「現在でも秘匿指定されている魔法です。」

「だから映画でも伏せられています。」

 動きを封じられたハゲテカルオオミカミを中心に、三人は巨大な魔法陣を展開する。

 空を覆うほどの光。

 三人の魔力が一つになる。

『終われ。』

 光が世界を包み込んだ。

 神は静かに消滅する。

 しかし、その直後。

 魔王が膝をついた。

『……役目は、終わったか。』

 魔力を使い果たし、その場で静かに倒れる。

 勇者も賢者も何も言えなかった。

 ただ雪だけが降り続いていた。

 映画が終わる。

 教室はしばらく誰も話さなかった。

 やがて理人がぽつりと呟く。

「魔王って……悪者じゃなかったんだ。」

 先生は頷く。

「歴史は立場で見え方が変わります。」

「この時代の魔王は、人類を守るために最後まで戦った英雄の一人でした。」

 理人はスクリーンを見つめたまま、小さく息を吐いた。

「神話って、思ってたよりずっと重い話なんだな……。」

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