第11話 自宅学習日
自宅学習日。
つまり学校は休み。
普通の学生ならゲームをしたり、友達と遊んだり、のんびり過ごす日だ。
しかし、天城理人の過ごし方は少し違った。
「うーん……」
机の上には大量の紙。
そこには魔法式や魔力変換式がびっしりと書かれている。
今日は自作魔法コンテストに向けた魔法開発の日だった。
「火を出す魔法、水を動かす魔法……」
理人は資料を眺める。
この世界では、基本的な属性魔法はすでに完成された技術だった。
火、水、風、雷。
生活でも戦闘でも使われる魔法。
そんなものを今さら作っても評価されない。
「もっと……普通じゃないやつ」
理人は考える。
しかし問題もあった。
空間魔法。
時間魔法。
高位属性魔法。
そういうものは理論が難しすぎる。
今の理人には扱えない。
「すごい魔法じゃなくていい」
「単純だけど強い魔法……」
そこで理人が目をつけたのは、電気だった。
電荷操作。
物質に電荷を与える。
ただそれだけ。
一見すると地味な魔法。
しかし理人は気づいた。
「電気って、移動そのものがエネルギーになる」
帯電した物質。
↓
電位差発生。
↓
放電。
つまり魔法で雷を作るのではなく、
雷が発生する環境を作る。
「これなら魔力消費も少ない」
理人は魔法式を書き換えていく。
完成した魔法。
《電荷付与》
対象に電荷を与え、電気的性質を変化させる魔法。
派手ではない。
しかし応用性は高い。
さらに理人は古代魔法の資料をめくる。
そこに書かれていた一つの魔法。
「身体変換系……?」
古代に存在した特殊魔法。
身体を一時的に電子状態へ変換する技術。
現代では失われた魔法。
なぜ失われたのか。
理由は単純。
制御が難しすぎるから。
しかし理人はそこに可能性を見つける。
「もし、これと電荷付与を組み合わせたら……」
身体を電子化。
↓
電荷による移動。
↓
高速移動。
理論上、
身体そのものを雷のように扱える。
「……できた」
理人は小さく呟く。
完成した魔法は、単純だった。
しかし戦闘では恐ろしい。
この世界の魔法戦闘には大きな弱点がある。
魔法陣を書く。
詠唱する。
魔力を集中する。
その数秒間。
相手が待ってくれる保証はない。
だから実際の戦闘では、近接戦闘能力の高い魔法使いほど強い。
魔法は強力。
しかし準備が必要。
ならば、
「準備がいらない魔法」
を作ればいい。
理人の考えはそこだった。
まだ名前のない古代魔法。
誰が作ったのかも分からない。
ただ、遥か昔に存在した天才が残した技術。
理人は知らない。
その魔法が、かつて世界を変えた存在によって作られたものだということを。




