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序章 思考の地図

本書は、一つのテーマを順番に論じていく評論集ではない。


日々のニュースや出来事に触れ、その都度思い浮かんだ疑問や違和感、あるいは思考実験を自由に書き留めた政治エッセイである。


そのため、ある日は安全保障について書き、次の日には教育や歴史認識について考え、さらに別の日には国家観やメディアについて論じることもある。同じテーマを異なる角度から何度も取り上げることも珍しくない。


そこで本書では、後から読み返しやすいよう、エッセイをいくつかのテーマに分類することにした。


この分類は、左派思想を厳密に定義するものではなく、本書で扱うテーマを整理するための便宜的な「思考の地図」である。実際の議論は複数の分野にまたがることも多く、この地図はあくまでも道しるべとして用いる。


① 平和主義・反戦


戦争や安全保障、抑止力、外交、国際協調、戦争責任などをめぐる話題を扱う。


② 人権の尊重


個人の自由、基本的人権、多様性、少数者の権利、表現の自由、人権論などに関する話題を扱う。


③ 福祉国家


社会保障、医療、教育、公的支援、所得再分配、税制、格差問題など、国家の福祉政策に関する話題を扱う。


④ 労働者保護


労働者の権利、最低賃金、労働組合、雇用制度、働き方、企業活動との関係などを扱う。


⑤ 環境・脱炭素


気候変動、再生可能エネルギー、環境保護、資源問題、環境政策と経済活動の関係などを扱う。


⑥ 多文化共生


外国人、移民、文化の多様性、差別問題、国際協調、国境や民族意識などをめぐる話題を扱う。


⑦ 憲法観


日本国憲法、憲法第九条、立憲主義、改憲・護憲、安全保障と憲法の関係などを扱う。


⑧ 歴史認識


歴史教育、戦争責任、歴史問題、史実の解釈、歴史をどのように現在へ生かすかという視点を扱う。


⑨ 教育


学校教育、道徳教育、家庭教育、教育制度、教育行政など、人を育てる仕組みに関する話題を扱う。


⑩ メディア論


新聞、テレビ、インターネット、SNS、報道のあり方、世論形成、情報の偏り、言論空間などを扱う。


⑪ 国家観


国家とは何か、国民とは何か、主権、国益、ナショナリズム、愛国心、国家の役割などを扱う。


本書の多くのエッセイは、最終的にはこの「国家観」というテーマへ帰着するだろう。国家をどのような存在として捉えるのかという違いが、安全保障、人権、福祉、教育、多文化共生など、さまざまな問題に対する考え方の違いを生み出しているように、私には思われるからである。


◆この地図の使い方


本書のエッセイは、以上のいずれか、あるいは複数の分類に属するものとして書き進めていく。


例えば、「①・⑦」のように平和主義と憲法観が重なることもあれば、「⑥・⑪」のように多文化共生と国家観が交差することもある。「⑧・⑩」のように歴史認識とメディア論が密接に関わることもあるだろう。


もちろん、この地図が完成形というわけではない。執筆を続ける中で、新たなテーマが必要になれば、地図そのものを書き換えることもある。


読者には、この思考の地図を片手に、一人のナショナリストが日々の出来事から何を考え、どのような疑問を抱いたのかを、一編ずつ気軽に読み進めていただければ幸いである。

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