鍛冶屋と燃える物作り
広場の演説の次の日は畑で持ってきた落ち葉の下の土と
乾燥した糞尿を混ぜ合わせた、所謂腐葉土、肥料を元土に混ぜ合わせて
畝を作り作業終了。なんだかんだで一日仕事だった。
町は一日では流石に変化はない。
演説から二日後に、北の村へやってきた。
『セバス、村長を呼んできてくれるか?』
「承知いたしました。」
セバスは素早い動きで村の中へ消えていった。
周囲を見渡すと、領都なんて比にならないくらいの
ひどい生活が送られていた。
まず家自体が非常に少ない。ほんとに遊牧民の様でテントで生活をしている。
人口は120人程度らしいが、そんなにいるように思えない。
食料についても深刻な状況になっている。
こちらには元々畑なんて物は無く、狩猟で食い扶持をたてていた。
実際には領都から畑でとれた野菜の配給があったが、今は途絶えている。
「ビクトル様、村長をお連れしました。」
セバスに連れられてきたのは思ったよりも若い40代くらいの男だった。
「お初にお目にかかります、北の村で代表を務めております、ロブといいます。」
『うむ、早速だが村の現状を伝えてくれ。』
ロブが語ったのは、前領主グスに売り物を徴収され、村の財政が立ち行かなくなり
坂道を転げ落ちるように村は急速に衰退して行ったという。
『それでこの村は他の村よりも鍛冶に自信があるということでいいか?』
ロブは笑顔で答えた
「この村の鍛冶屋は領内だけでは無く、領の外に出ても高いレベルだと自負しております!」
『よし!わかった!では早速作業場を見せてくれ!』
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一件の鍛冶屋に着いた。外観は他の建物よりは幾分かマシ
「中へどうぞ。」
ロブに促され、中に入ると別世界だった。
きちんと整理整頓された、作業場。鍛冶屋の誇りを感じられる
さしずめ聖域と言ったところか。
『すごいな。道具は取られなかったのか?』
ロブは微妙な笑顔で
「炉の中に入れて灰をかぶせて隠しました。
駄目かとも思いましたが、中まで確認はしなかったので
商売道具だけはなんとか死守出来ました。」
『それじゃあ、今からお手並みを拝見出来るか?』
「・・・材料がないのです。」
『なんだ、そういうことか。セバス!』
「はっ!」
セバスはそう言うとそのまま外へ出て行った。
「一体何を・・・」
ロブが心配そうに外を見ているとやがて
「ビクトル様、お待たせいたしました。」
『ロブ、これを使って鍬を10本頼めるか?』
セバスが持ってきたのは鉄だった、形は悪いが紛れもなく鉄。
ロブは涙を流しながら良く通る声で返事をし
村の方へかけて行った。
『まだまだ、このあとに頼むことが本番なんだけどな。』




