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灰色大戦  作者: 灰色のネズミ
第一章 炎路のラスボス
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タールの光と闇

 タールくんには縋りたくなる“光”と、身を預けたい“闇”がある。

 しかし光は熱く痛く、闇は深く、どちらも強ければ強いほど、光は白く輝き前が見えなくなり、闇は黒く沈み前が見えなくなる。そして人は、あるいは生き物は、前が見えなくなると途端にもがいて苦しむ。早く楽になりたい。そうして滲み出てくるのが自分達の中にある自身でも知らなかった光や闇。もしくはずっと隠してきたものたち。


 炎路君が恐ろしい力をいきなり出して、自分を殺せとまで言ったのもタールくんに影響されて自分も知らない自分の本音や本質が出てきてしまったから。

 島君が暴走したのも、タールくんを相手にしてもがき苦しみ、自分も知らない能力の開花と理性を失った暴走を引き起こした。

 むらくも———真田村雲も……襲撃されて助けたり一緒に寝たりしたこの私には言わなかった事情を、タールくんには自然にすっと吐き出していた。


 タールくんには縋りたくなる“光”と、身を預けたい“闇”がある。それをカリスマと呼ぶのでしょうね。

 タールくんの生き方は至ってシンプル。使命と隣り合わせになっていても、それでも、好きなように生きているだけ。服が好き、甘いものが好き、猫が苦手、辛いの苦いのが苦手、歌や踊りが好き、みんなと友達になりたい、楽しい空間が大好き……それがタールくん。

 けれど苦しみもある。自分を産んだ両親のこと、産まれだけで蔑まれる日々、暴力に塗れた故郷、人間界の神の力や魔界の魔神の力によって弱体化した自身の体。さらにはタールくんの知らない部分にもタールくんを苦しめるものがある。

 雁字搦めにするしがらみを飲み込んで、その上でタールくんはこれから来る『大いなる敵』に対抗するため、自分の生き方を曲げずにそれでもみんなを守るために行動している。その抱えた物の大きさと、タールくんの責任感の強さと、それでも自分なりに生きようとする自由な姿勢は見る者を魅了する。


 ヒーローと魔王の息子という唯一無二の貴重な存在であり、過ごした苛烈な日々から培った経験と知識、そして育った心………それらがタールくんの魅力となって、カリスマ性を引き立たせている。

 タールくんに惹かれるものは多い。敵の世界である人間界にまで着いてきた魔界からの仲間もそう。私たちもそう。

 魔界に行った時同行した相方もそう。私もそう。私は母親からの厳しい教育に怯えていた、『自分』を削って無くしながら生きていた。でも魔界に行ってタールくんの木漏れ日のような温かみと何者も侵食できない笑顔に触れて、私は私を取り戻したような気がする。だから私はタールくんが大好き。

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