第九話 面倒くさいことに巻き込まれそうだ
少し仕事も落ち着いてきて投稿できました。簡易的な理由は活動報告をご覧ください。
今回は登場人物の人となりを少し知ることができる回です。少しのお時間お付き合いください。
目の前には閉まった大きな扉がそびえ立っていた。門と言っても過言ではないだろう。屋敷の中に更に門?と思うかもしれないが、実際に屋敷の前の門よりも豪華であった。そして何故かはわからないが、中から圧を感じた。敵意がないことは勘で理解できた。
「ソレイユ・ド・サリーレ及びショーリー参上仕った」
だから違うって。
「入るが良い」
サリーの言葉に対して中から威厳のある声が聞こえる。同時に大きな扉が開かれる。
「よく来た客人よ。そしてサリー」
見た目は40代くらいだろう。ひげを生やし、睨んだように鋭い目。椅子にどっしりと構えて座る様は王の風格があった。俺が見てもこの人が今ここでのトップということがわかる。というより、今までの流れからこの人がトップだということは確実なのだが、影武者ということもありえる。まぁ、これで影武者であったら本物はどんな雰囲気をかもし出すのか分かったものではないが。
「はっ!ソレイユ・ド・サリーレただいま、御屋形様の命により帰還しました!」
そう言い、跪いた。それをみて俺も慌てて跪く。
その様子を見て御屋形様は手をあげひじ掛けに肘を着き、ため息を一つ着くとやれやれと首を横に振る。
「私はサリーが出かけていたことすら知らないのだぞ。まるで私が外に出ることを命じたみたいになるであろう」
そうするとサリーが唐突に顔を上げる。
「ち、違うのですか!?御屋形様!言っていたではありませんか!外の様子が知りたいと!」
「言った。確かに言ったが、そう言うことではないのだ。おぬしに命令したわけではない。すでに調査隊は組んでいたのだ」
何かしらあり、御屋形様と呼ばれる人物が外の様子を知りたかった。そしてそれを聞いたサリーが御屋形様のためにと早とちりしたってわけか。この騎士大丈夫か?と思ってしまった。
「ですが「もうよい」様の」
話している途中でサリーの会話は止められた。
「それよりも横にいる者の紹介をしてくれないか?」
やっと俺の紹介になるようだ。
「この者はそうです...はい。よし!ショーリー紹介を頼む!」
「ショーリー?」
だから違うって。
いいのか正体もわからない奴の紹介を自分にさせて。結局人任せなんだな。まぁいいか。
「私の名前は上村勝利と申します。」
「ショーリー?」
もういいよそのネタ。そんなに発音しにくいかこの名前。外国の人が日本語の発音が難しいのと一緒なのかもしれない。元の世界でも日本語は世界の中で上位での難しさと言う。まぁ同じ漢字等で意味が違ったり、動詞や形容詞等色々な使い方があるからであるが。
「しょ・う・りです」
「しょうりだな」
「その通りでございます」
このぐらいしなければ伝わらないのか。
「ショーリーは私がブラックナイトに襲われているところを助けて頂きました」
おい。お前は学べ。名前が違うぞ。
「なに!?あのブラックナイトか!」
気にしないのね。まあいいだろう。
「盗賊団の名前はわかりませんが、何者かに襲われているところを助太刀いたしました。勘違いされて私も盗賊団として処罰されそうになりましたが」
「ま、待てそれは!」
「あれほど現状をしっかり把握しろと言っていたであろう!はぁ…その件は後にしよう。とりあえず我が騎士を助けてくれたことに礼をさせてもらう」
御屋形様が頭を下げる。周りは驚いているものの何も言わないのは、御屋形様の器の大きさを知っているからであろう。
「助けてもらっておいてなんだが、更にもう一つお願いを聞いてくれはしないだろうか」
何故面倒なことがこうも立て続けに起こるのだろう。不思議だなぁという思いと、不敬だなと思いを抱きつつ天井を仰いだ。
面倒くさい事に巻き込まれそうだ。
ただただサリーの天然ぶりが伝わる回でしたね。大丈夫ですかねこの騎士は…
次回から物語は進んでいきます。御屋形様のお願いとは。勝利はお願いを聞くのか。
又、これからは色々な伏線も張っていきます。一見気づきにくいこともしれませんが、皆様見逃さないようにお願いします。もしかしたら物語の後半には大きく関わってくることも出てくるかも…しれませんね。