第十一話 こんなんで良いのか?
徐々に気温も下がり、虫の鳴き声も静かになり秋の訪れを感じている今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
期間が空いてしまいましたね。今回も少し話は進みます。
「まずは装備を受け取りに行こうではないか!」
サリーはそう言い駆け出して行ってしまった。俺もその後に続くも速すぎる。何故こんなにも速いのか。王の元を離れてから数秒で見失ってしまった。慌てても仕方がないため、とりあえず真っすぐ進む。辺りには豪華な甲冑や置物等様々な物が置かれている。周りの物に触れないように移動する。しばらく廊下を真っすぐ進んでいると向こうから人が駆け足でやってくる。
「すまない。気が焦っていた。おいていったことに気づかなかった」
気づくのが遅い。しかし、良い散歩にはなった。
「もういいよ。どこに行けば良いんだ?」
「こっちだ。今度はおいていかないぞ!」
当たり前だと思いながらも口には出さない。
サリーの後ろに付いて歩いて数分で目的地へたどり着いたようだ。サリーが小さな扉の前で止まった。扉にはいくつもの鍵が掛けられていた。
その扉の周りの空気が歪んでいる気がする。うまく説明はできないが、歪んでいる。蜃気楼をイメージするとわかるだろうか。ゆらゆら揺れているイメージだ。
「なんだか空気おかしくないか?」
「ん?それはなんだ。何も変なところはないぞ」
サリーがカギを一つずつ外していく。そして扉を開けると色々な荷物が積んである。しかし、汚くはなくきれいになっている。荷物は整っており、武器や防具その他の道具と種類別にも分けられている。
中を見渡すと一つの剣に目が惹かれる。質素な剣だ。装飾品など一つもなく、RPGでの初期装備のような剣。鞘や柄も木で出来ている。
その剣を手に取ってみる。
『汝 守りしものに出会いし時 我は解き放たれ力を与えん。されど 汝の身を守りし武器とならん』
脳に響いてくる。
意味が分からない。守りしものって自分の事か?なんだろう。わからない。
しかし、響きすぎて、まるで騒音の中に身を置いたような気分だ。頭が痛くなる。
「大丈夫か?」
頭を抱えて我慢しているとサリーが声をかけてくる。
「何も聞こえなかった?」
「何がだ?」
「何でもない」
どうやらサリーには聞こえていなかったようだ。
「その剣はやめた方が良いぞ。ただの模擬戦用の剣だ。丈夫だから仕舞ってあるが、実践では使えないぞ」
「それでもこれにする。何かあるような気がする」
「お前が言うならそれでも良いが。防具もその辺のを使え」
防具からは何も感じ取れないため適当に置いてあったものを使うことにした。
「それでは出発前に少し模擬戦をしよう。ただし、盗賊と戦った時のような力はなしだ。手加減でもなんでも良い。力任せではなく技術を見せてくれ」
難しいことを言ってくれる。剣なんて振ったことない上に手加減の仕方もわからないのに。
【手加減は簡単です。自身で力を封じ込めるイメージをするだけです。盗賊との戦闘では命の危機を察知して何も考えず力を出してしまったんでしょう。次はしっかりとイメージして戦闘を行うと、力の制御も可能となるでしょう】
なるほど。あの時は本能的に力を使ってしまったと。子供の癇癪と一緒だと。うん。なるほど。力ってなんだ?
疑問に思うもナビは答えてくれる気配がない。まぁ少し答えただけでも良しとするか。
《それではこれより、上村勝利とソレイユ・ド・サリーレとの模擬試合を行う!殺しはなし!どちらかが戦闘不能になる!もしくは降参することにより試合は終了とする!正々堂々とした姿を拝見できることを期待する!》
誰だお前は。初めて見る顔だぞ。
しかし、気にしている暇はない。
お互い向かい合う。サリーは光輝く剣を持ち、立派な甲冑に身を包んでいる。
それに比べ俺は、ただの木の棒かと思うぐらいの剣に最低限の身を守れる程度の防御しかできない防具を付けている。
これって試合だよね?死合いじゃないよね?殺されないよね?
武器も試合もこんなんで良いのか?
早く調査に行かなければいけないのに模擬戦なんてするんですね。急がせる割にはのんびりですね。
ちなみに書かれていないところでの剣の素振りで手加減を学んでいるので、力については大丈夫だと思います。多分...
そして剣は謎のままですね。力を使われる日は来るのでしょうか。続きも近々更新いたします。模擬戦どうなるのか期待してお待ちください。




