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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第1章 遺跡の攻略紀行
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第4話 ニースの町

やっとヒロイン登場

 野営地での酒盛りの後、俺たちは順番に見張りを立てて休むことになった。俺も見張りのローテーションに入れてくれるように頼んだが、命の恩人にそこまでさせられないとのことで、俺は朝までゆっくり寝かせてもらった。


 翌朝、日が昇り始めると騎士たちは野営地から撤収を始め、ニースの町へと進路を取った。何度か休憩をはさみつつも、特に問題なく旅は進み、空が赤みを帯びてきたころ、前方に町が見えた。


「見えたぜ、あれがニースの町だ。」


 完全にあたりが闇に包まれる前にニースの町に到着した。ニースの町は6mほどの塀に囲まれ、南側は海に面していた。町に入るには北側か、東側の門のどちらかから入らなければならない。俺たちはアルを先頭に北門へと到着した。その姿を見つけてか、門番の兵士がこちらに駆け寄ってくる。


「お館様、お帰りなさいませ。ご無事でのご帰還何よりです。」


「おう、ご苦労。まあ、無事だったのはこいつのおかげだがな。」


「こちらの少女は?」


……どうして俺はこうまで女に間違われるんだ。


「俺らの命の恩人だ。俺が後ろ盾ってことで町に入れてやってくれ。」


「わかりました。それでは、お名前をうかがってもよろしいですか、お嬢さん。」


「ミツキ・ハルノ…男だ…。」


「これは失礼しました。大和の方は性別がわからないことが多いので、本当に申し訳ありません。」


 門番の兵士は丁寧に頭を下げてきた。


「それではハルノ様、こちらの解析鋼に触れてください。」


 そう言って門番はB5くらいの大きさの黒い鉄の板を差し出してきた。俺は支持されたようにそれに触れた。すると、その板に文字が浮かび上がった。


ミツキ・ハルノ 

人族

15歳

考古学者

犯罪歴:なし


 どうやら、この板は俺の魔眼の劣化版みたく、名前、種族、性別、年齢、職業、犯罪歴が表示された。


「ミツキ・ハルノ様、ご本人でお間違いありません。…考古学者様でありましたか。今回はお館様の後ろ盾がありますので、通行税は免除させていただきます。今後はギルドに登録していただければスムーズに通行でき、通行税もかかりませんのでご登録をお勧めいたします。考古学者様であればギルドもすぐに対応するでしょう。」


 やはり、テンプレではあるが町に入るにはお金がかかったようだ。こちらのお金など持っていないので、アルに感謝である。

 それにしても、考古学者って職業はわけありなのだろうか。俺はこちらの世界に飛ばされた段階ですでに職業は考古学者になっていたので、普通の職業であると思っていた。シルヴィアから貰った知識の中にも、職業についての詳しい知識はない。


「なんだ、お前考古学者なのか?めずらしいな。」


 鉄の板を覗き込んだアルまでも、俺の職業に注目してくる。


「まあいい、詳しいことはまた後だ。シーナに言い土産もできたしな。」


 意味深な笑みを浮かべ、俺を見つつアルはそう言う。


 町の中に入ると、まず、畑が広がっていた。少し進むと建物があり、街並みが広がっている。


「よし、騎士どもはご苦労だった。お前らはここで解散だ。疲れただろう、ゆっくり休んでくれ。」


 周りと比べると二回りほど大きな建物の前まで来ると、アルは騎士たちに解散を指示した。


「ミツキは俺と一緒に来てくれ。ここがギルドだ。登録した方が何かと便利だからな。」


 どうやらこの建物はギルドらしい。アルがギルドに入っていき、俺もそれに続く。中にはカウンターが置かれ、カウンターの手前では冒険者と思われる集団が談笑していた。カウンターにはギルドの職員がおり、冒険者に対応しているものもおれば、書類を処理している者もいた。入って右手の壁には紙が貼られ、クエスト一覧と上に書かれている。


「すまんが、ギルド長呼んできてくれるか?それと、こいつをギルドに登録してくれ。」


 カウンターにいた20代と思われる女のギルド職員にアルは声をかけた。


「ようこそいらっしゃいましたニース卿。ギルド長は今出ておりまして少ししたら戻ってくると思われますので、先にそちらのかたの登録をさせていただきます。」


「おう、よろしく頼む。」


「かしこまりました。それでは、こちらにおかけください。」


 女性が俺に椅子を進めてくる。俺はそれに従い椅子に座った。


「私は今回担当させていただきます、メルティと申します。どうぞよろしくお願いします。」


「こちらこそ、俺はミツキ・ハルノです。よろしくお願いします。」


 相手が丁寧な対応なので、こちらも自然と敬語になる。メルティと名乗った女は茶髪の髪を後ろで結わえており、顔は綺麗系で、まじめなそうな印象を受けた。


「字の方は書けますでしょうか?書けなければ代筆いたしますが?」


 メルティは紙を一枚取出し、俺の前に置く。同じようにペンも取り出した。

 その紙を見ると、英語で書かれていた。


「大丈夫です。自分で書けます。」


「そうですか、それではご記入お願いします。」


 記入事項は名前、種族、性別、職業、武器、魔法である。


「あの、この武器と魔法の項目は?」


「武器の方はメインウェポンを、魔法は使える属性のみで構いません。」


名前:ミツキ・ハルノ

種族:人族

性別:男

職業:考古学者

武器:刀

魔法:回復魔法


「書けました。これで大丈夫ですか?」


 武器に銃は載せなかった。こっちにあるかわからないし、持ち込んだ弾にも数に限りがあるので、あまり使えないからだ。


「確認いたします……はい、結構です。それではこちらに手をかざしていただけますか?こちらはマジックアイテムになりまして、ギルドカードの作成する際、個人の魔力をギルドカードに登録するものです。」


 占いで使うような水晶に手をかざす。すると、メルティが手に持っていた白いカードに文字が浮かんでいく。


「こちらハルノ様のギルドカードになります。こちらのギルドカードもマジックアイテムになっていまして、今受けているクエストの進行状況の確認が行え、また魔物を討伐した際には討伐数が自動的にカウントされます。また、ギルドカードは身分証としても使用でき、町に入る際に通行税が免除されます。これは他の町でも同様です。このまま、ギルドについて説明させていただいてよろしいですか?」


「ああ、よろしく頼む。」


「ギルドは冒険者の方々が、安心安全に冒険を行うためのサポートをする機関になります。クエストの受注管理、素材の買い取りなどが主な業務になります。ギルドメンバーにはランクがありまして上からR,S,A,B,C,D,E,F,Gとなっております。初めは皆様Gランクからのスタートになります。ハルノ様もGランクからのスタートとなります。魔物の討伐数が一定数を超えるか、クエストの成功数が一定数を超えるとランクアップします。ただしCランク以上へのランクアップの際には試験を受けていただくこととなります。次にクエストですが、あちらにクエストが張り出されております。クエストには主に3つの種類があり、常時クエスト、通常クエスト、緊急クエストとなっております。詳しい区分に関しましてはクエスト受注の際のがわかりやすいと思いますので、その際に説明いたします。クエストを受注する際には壁から紙を切り取って、カウンターまでお持ちください。ここまでで何か質問はございますか?」


「Rランクというのは?」


「Rランクは国家直属の冒険者を指しております。Royalの頭文字をとりましてRランクとなります。Rランクの冒険者は、所属する国家の依頼しか受けず、緊急クエストなども他の冒険者の方と違って受ける義務はありません。現在Rランクを持つ冒険者は5人おります。しかし、我が国には1人もおりません。我が国では冒険者であっても貴族となることができます、なので冒険者を雇うことはしてはおりません。他に質問はありますか?」


「えーと、今のところは大丈夫です。ありがとうございます。」


「いえ、これが仕事ですので。ギルドに関する説明は以上です。今後のハルノ様のご活躍を期待しております。」


 メルティさんはクールな人である。もう少し愛想をよくすると男にもてるだろう。


カランカラン


 メルティさんからの説明が終わってすぐ、ギルドに老婆と12,3歳の美少女が入ってきた。老婆は150cmくらいの身長で、黒いローブを身に纏い、その手には身の丈の同じ長さの木でできた杖をついていた。杖の先には拳ほどの大きさの宝石が埋め込まれており、虹色に輝いている。パッと見魔法使いである。

 美少女は腰くらいまであるゆるいウェーブのかかった金髪と碧い瞳を持ち、140cm前後の身長である。体型も年齢からすると同性からは羨ましがられるプロポーションである。将来有望な少女だ。腰には剣を挿していることから、剣士であると推測できる。


「ギルド長お待ちしておりました。」


 アルが老婆に対し、丁寧な言葉で話かけた。ん?ギルド長。


「アル坊、戻っておったのか。」


「はい、先ほど戻ってまいりました。」


「お父様お帰りなさいませ。」


 今度は美少女がアルをお父様と呼んだ。


「シーナ、ギルド長と一緒にいたのか?」


「はい、お婆様に古代語について教えてもらってましたの。」


「そうか、お世話になりましたギルド長。」


「ほっほっほっ、こんな婆の話を聞きたがる小娘は他にはいないからね。わしも楽しませてもらったよ。」


「そんな、お婆様の話はとてもためになりますわ。」


「いい娘を持ったの、アル坊。中々将来が有望だのう。」


 やはりそうなのか!?この筋肉ダルマの娘なのかこの美少女は…一体どうしたらこんな娘が産まれてくるんだ?人間の神秘である。

 そして、魔法使いの婆さんがここのギルド長であるようだ。アルが丁寧に話しているところを見ると、よほどすごい人なのだろう。


「ところでギルド長、遺跡に関してお話があります。」


「ふむ、部屋で聞こうかの。シーナも一緒で構わないか?」


「問題ありません。それとこちらのミツキも同席させたく思っております。」


 ギルド長がアルの言葉を受け、俺を値踏みするかのように見てくる。その目はまるですべてを見透かしているようにも見える。

 俺もギルド長に鑑定を使おうと思い、左目の魔眼に魔力を集中させる。


「ほう、ずいぶんと面白い坊やを連れてきたじゃないか。魔眼持ちとは珍しい。」


「っっ!!!」


「ほっほっほっ、そう驚くでないぞ境界を超えし坊や。いいだろう3人ともわしの部屋に。メルティ、お茶を入れておくれ。」


「かしこまりました。すぐに準備します。」


 そう言い残し、ギルド長は階段を上り2階へと移動する。アルと美少女もそれに続く。俺も警戒しつつも後を追った。


 ギルド長室と書かれた部屋に入る。


「シーナはわしの隣に。アルと坊やは向かいの椅子に座っておくれ。」


 部屋には長方形のテーブルが置いてあり、4つの椅子が左右に2脚ずつ設置されていた。俺はシーナと呼ばれた美少女の向かいに腰を下ろした。


「まずは坊やに自己紹介さね。わしはこのニースの町のギルドを統括しているしがない婆さんじゃ。皆からはギルド長やお婆様、ババ様などと呼ばれている。それで、わしの隣にいるのが…」


「私はシスティーナ・フォン・ニースと申しますわ。名前からわかるようにお父様、アルバート・フォン・ニースの娘になります。」


「俺はミツキ・ハルノです。一応、考古学者です。」


 二人が自己紹介をしてきたので、俺も自己紹介をする。職業を述べた方がいいかと思い、考古学者を名乗る。


「考古学者!考古学者様ですの!」


 それを聞いたシスティーナさんが机に身を乗り出し、俺に顔を近づけてくる。


「私、ずっと考古学者様にお会いしてみたかったですの。夢が叶いましたわ。ミツキ様とお呼びしてよろしいですか?」


 先ほどまでの清楚なお嬢様然とした態度から一転、興奮したように捲し上げてくる。システィーナさんの顔が俺の目の前にある。少し動くと当たりそうである。何がとは言わない。


「あー、いいですよシスティーナさん。」


「ミツキ様、私のことはシーナとお呼びください。それで、ミツキ様はどうしてこちらに?今までどのくらいの遺跡を探索いたしましたの?何か珍しいものは見つけましたの?それと…」


「シーナ、少し落ち着きなさいな。」


「あっ、私としたことが少し興奮してしまいました。失礼しましたミツキ様。」


トントン


「失礼します、ギルド長お茶をお持ちしました。」


 そのタイミングでメルティさんがお茶を持って部屋に入ってきた。


「どうぞ。」


 俺たちの前にお茶を配膳していく。それと、クッキーの入った器も机に置いた。


「では、失礼します。」


 配膳を終えると、自分の役目はここまでとばかりに、メルティさんはその場を後にした。


「ギルド長、まず報告ですが遺跡は存在していました。そして、その遺跡の影響かはわかりませんが、危険度Aのシュリンプ・スコーピオがいました。その際の戦闘で数名が負傷したため、残念ながら詳しくは調査出来ませんでした。」


 森での出来事をアルが事細かに説明していく。森に入ってから遺跡にいたるまでに出会った魔物や遺跡の風貌、周囲の異変について様々な観点から詳細に分析している。アルは脳筋かと思ったが、思いのほか頭は回るようだ。きっとこのくらいできないと、領主として務まらないのであろう。


「なるほどのう、そこでこの坊やと出会ったのか。ふむ、魔眼だけでなく隠匿、いや隠蔽を有しておるのか。」


「よくわかりましたね。」


「わしも魔眼持ちじゃよ。観察眼という魔眼じゃ。坊やは魔眼を持っているにも関わらず、スキルに魔眼がなかったからのう。」


「魔眼持ちは珍しいのですか?」


「珍しいのう。ただ、坊やは考古学者。考古学者は魔眼を持つ者が多いと聞く。じゃから、坊やが魔眼を持っておっても不思議でない。」


 その話を横で聞いているシーナは「魔眼、魔眼ですの!?」と目をキラキラさせ俺の目を見つめてくる。

 アルは多少驚いてはいるものの、考古学者に魔眼持ちが多いことを知っているのか、平静を保っている。


「坊やの魔眼はなんなんじゃ?何、心配せずとも周りに言いふらしたりはせぬ。2人もよいな。」


「はい。」


「もちろんですわ。私がミツキ様の不利になることを広めるわけがありませんわ。」


 なぜだか、シーナからの好意がやばいくらい高い。もしかしてあれか、チョロインとかいうやつなのか?


「俺の魔眼は鑑定です。」


「鑑定か、わしより上位の魔眼じゃな。」


「上位?」


「わしの観察眼は人それも他人しか見えぬ。じゃが、鑑定は自分も他人も見え、魔物や植物なども有機物だけでなく無機物にたいして効力を発揮する。試しにこの杖に鑑定を使ってみよ。」


 ギルド長の持つ杖に鑑定を使う。


レインボーロッド

INTが倍になる。

先端の宝石に魔法が蓄積でき、蓄積した魔法の系統によって宝石の色が変わり、杖の付加属性も変わる。


 すごくチート臭い武器であった。


「レインボーロッドって出ました。すごい性能ですね。」


「ほっほっ、あたりじゃ。この杖はやらんぞ。」


「ミツキ様、次は私を鑑定してくださいな!」


 右手を両手で包み込まれ、先ほどよりキラキラした目で俺の左目を見つめてくる。もう目から星が飛んできそうである。


「いいんですか?」


 ギルド長に確認を取るように聞く。


「もちろんいいですわ!さあ、早く見てくださいまし!!」


俺の問い答えたのはシーナであった。ギルド長の方を見るとうなずいている。これはいいってことか。

 シーナに鑑定を使う。


システィーナ・フォン・ニース(Lv8)人族 女 12歳 貴族・魔法剣士

HP:66

MP:54

攻撃力:56+10

防御力:48+25


STR:18

VIT:15

DEX:9

AGI:10

INT:18

LUK:15


スキル

全魔法属性

火魔法:下級

魔法剣

剣術

属性付与


 上記のように出たことを3人に伝える。


「全魔法属性に魔法剣?属性付与ですの?私そんなスキルは使えませんのよ?」


「坊やの目は随分高性能じゃな。潜在的に持っているスキルまで見通すか。坊やがギルドで共感をしてくれると新人が効率的に成長するのう。どうじゃ?」


「いえ、結構です。」


 俺の魔眼はそんなに性能が高いのか。これはシルヴィアに感謝だな。


「坊や、その魔眼を使う時には注意するんじゃぞ。高位の魔法使いや同じ魔眼使いであれば、坊やが魔眼を持っていることに気付く。そうなると、いささか面倒になることを覚悟するんじゃ。」


「わかりました。みだりに魔眼は使わないようにします。」


「今日はもう遅い、坊やもわしに聞きたいこともあるじゃろうが、残りは明日にしよう。坊や、泊まる場所は決まっておるのか?」


「決まっていますわ。ミツキ様は私の部屋に泊まって頂きますわ!」


 なぜか、俺の今日の宿泊場所はシーナの部屋になっていた。


「よろしいですわよね、お父様?」


「シーナが今までずっと会いたがっていた考古学者であるし、俺の命の恩人だからな、ま、いいだろう。ミツキもそれでいいか?」


「まあ、泊まる場所もないし、俺としては泊めてくれるとありがたい。」


「決まりですわ。ミツキ様、今夜は寝かしませんわ!」


 今夜は寝かさないとか、エロいなシーナは。まあ、一晩中遺跡探索などについて聞かれることになるのだろうが。でも、少しは期待してしまう。俺だって健全な男だもの。


「随分とシーナに好かれましたな。坊や、まあ頑張るのじゃ。」


 ラッキーなことに今日の宿を得ることとなったが、寝れそうにはない。


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