第7話 クックタイム~醤油編~
さてさて、ようやくゆっくり醤油作りに励めるぞ。
まずは甕を作ろう。
地面に手を当てる。
「サンドクリエーション」
魔法を唱える。
ちなみに、この魔法はお風呂を作った魔法を効率化したもので、フラン曰く俺のオリジナルであるそうだ。
土を任意の形に作り替えることが出来る魔法である。
「うっし、成功!」
1mくらいの甕が出来た。
ここに大豆を入れて、水を張る。
「これを蒸煮しなくちゃいけないんだけど、火魔法でいけるか。」
甕に手をあて、水を沸騰させる。
「おし、後は圧力かけないといけないから、風魔法か…」
風魔法を使って、大豆全体に圧力をかける。
しばらく、魔法を使い続けて、大豆を蒸煮する。
「こんなもんか?次は小麦の焙煎か。」
袋から小麦と鍋を取り出す。
小麦を鍋に乗せ、その辺に落ちている枝を集め、ファイヤーボールで火をつける。
鍋を火にかけ、小麦を焙煎していく。
焙煎した小麦を、魔法で作った石臼で粉末状にしていく。
「小麦を甕の中に入れて、大豆と混ぜて…麹菌どうしよう、そういえば、パンの酵母をニースの町で貰ったな。それで代用してみるか。」
袋から、瓶に入ったパン酵母を取り出す。
それを甕に入れ混ぜる。
全体に行きわたるように、よく混ぜる。
「本当ならこれを3、4日置かなくちゃいけないんだけど。」
頭の中でイメージする。
食べ物が腐っていくイメージを。
「ウェザーウィング!」
風化という言葉を英語にし、魔法名にする。
甕の中のものがどんどん培養されていく。
「っし、キタコレ。ここに塩と水を入れてっと。」
甕の中でもろみを作り、混ぜながら、ウェザーウィングを使って発酵を促す。
「今のところはうまくいってるな。あー、これ絞らなくちゃいけないんだよな…甕もう一個作らないと。」
いったんウェザーウィングをやめ、サンドクリエーションを唱え同じような甕を作り出す。
その後、再びウェザーウィングを使いもろみを発酵させながらかき混ぜる。
1時間ほどかき混ぜていると、アルコールの発生が見られてきた。
「よしよし、順調順調。」
次に、これを圧搾しなければならないが、これも風魔法を使う。
圧搾し固体と液体に分かれ、液体の方を新たに作った甕に移す。
液体を指に付けなめてみる。
うん、しょっぱい。
生醤油にちゃんとなっている。
あとはこれに火入れをすれば醤油になるはずだ。
小麦を炒った時に付けた火に、甕をかける。
「後は待つだけか…」
それから待つこと1時間ほど、醤油が完成した。
すでに日が昇っており、朝になっていた。
「よっしゃー!流石俺!一発で成功だ、ふははははは!」
徹夜のため、テンションがおかしくなっている気がする。
「ミツキ、こんなところに居ましたのね。」
俺が1人で高笑いしているところに、シーナが声をかけてきた。
「そろそろ出発ですわよ。」
どうやら、村を出る時間になったようである。
「わかったすぐに行く。」
俺は完成した醤油を甕ごと魔法の袋にしまう。
そして、シーナと共に馬車へと戻った。
「ミツキ、今まで何をしていたんだい?」
すでに馬車で待っていたフランに声をかけられる。
「ちょっとした実験をしていただけだ。ふっふっふ。」
「あの、ミツキさん、昨日は失礼なことを言ってすいませんでした。」
今度はマリアが俺になぜだか謝ってきた。
「ん?何のことだ?」
「なんの事って、昨日、私ミツキさんにひどいことを言ったじゃないですか。」
「????そんなことあったか?」
昨日は村に着いて、大豆の存在を知ってから、醤油と味噌の事しか頭になかったので、正直何を話しかけられたか覚えていない。
「ミツキさん、昨日村で私とした話覚えています?」
「すまん、考え事していたから全く覚えてない。」
「考え事?ミツキの姿が今まで見えなかったことは関係あるのかい?」
「そういえば、先ほど呼びに行った時、なにやら大きな壺のようなものがありましたわ。」
「ご主人様、今度は何するつもり?」
訝しげな眼で3人が見てくる。
「そのことについては後で教えるよ。マリアも昨日のことはお互いなかったことにしよう。それでいいか?」
「何か釈然としませんけれど、ミツキさんがそういうのならもういいです。」
マリアの表情が微妙なものになっている。
「おう坊主、朝から羨ましいな。そろそろ出発だが、行けるか?」
「ああ、大丈夫だ。」
「よしなら、出発だ。」
ゴルディの掛け声で、商隊が村を出発する。
俺とリア、花凛がワゴンに乗り、シーナとフランが御者を担当する。
マリアには俺たちの馬車に乗車してもらっている。
村を出てしばらくは草原に囲まれた街道なので、魔物も出ず、俺たち護衛は特にすることがなく、順調にスクレクドへの旅路を進んでいった。
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