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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第2章 勇者と旅紀行
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第6話 ミツキは大豆を手に入れた

お気に入りの件数が100件超えましたありがとうございます。

 村の入り口では、シーナとフランに花凛、それにゴルディが俺たちのことを待っていてくれた。


「ミツキ、無事でしたのね。」


「遅いから心配したよ。」


「パパ、リアママ、無事でよかったです。」


 3人が俺たちを出迎えてくれる。


「ちょっと想定外のことがあってな。彼女、マリアっていうんだが盗賊に捕まっていたんだ。それで、ここまで一緒に来たんだ。」


「そういうことでしたのね。私はシーナですわ。」


「ボクはフラン、よろしくね。」


「私は花凛です。」


 シーナ達がマリアに自己紹介をする。


「私はマリアです。こちらこそよろしくお願いします。ところで、先ほど花凛さんがパパと呼んだのは?」


 俺と花凛を見て不思議そうにしているマリア。

 普通に考えたら俺にこんな大きな娘がいるわけないからな。


「花凛は俺の娘だ。それがどうかしたか?」


「えっ!?だって、ミツキさん、えっ?」


 何度も俺と花凛の顔をマリアの視線が往復する。

 かなり混乱しているようだ。


「よく戻ったな、それで盗賊どもは?」


 そんなマリアを無視して、ゴルディが話しかけてきた。


「しっかりとしばりつけて放置してきた。多分1日は目を覚まさないと思うぞ。」


「そうか、よくやった。流石はSランクだな。」


「うぇ、え、Sランク!?」


 俺がSランクと聞き、さらに混乱するマリア。

 もうすでにこの反応にも慣れたものだ。


「さて、エディさんがどこにいるか知っているか?」


 エディさんにはマリアのスクレクド行きの同行を伝えておかないと。


「エディさんなら村の中で行商していますわ。」


「わかった。俺はエディさんのところに行ってくる。みんなはマリアを馬車に案内してくれ。あと、詳しいことはリアに聞いてくれ。」


 そう言い残し、俺はエディさんを探しに向かった。

 エディさんは村の中央で村人相手に商売を行っていた。


「エディさん、今いいですか?」


「これはミツキ様、お戻りになられたのですな。」


「はい、先ほど村に着きました。盗賊は殲滅したので、襲われることはないと思います。」


「そうですか、流石はミツキ様ですね。私のところへはわざわざそのことを言いに?」


 俺はマリアのことについてエディさんに報告した。

 エディさんはマリアさんの同行について問題ないと言ってくれた。


「ところで、それはこの村の特産品ですか、豆のようですが?」


 俺はエディさんと話しながら、物々交換で取引される豆が気になっていた。


「こちらは大豆です。主に家畜の餌にされるものですので、一般の市場には出回りません。」


 なんだと、大豆だと、この世界にも大豆があったのか。


「エディさん、大豆を買うことできますか!」


「大豆をですか?私どもはかまいません。しかし、これは先ほども申しましたように、家畜の餌でございますよ?」


「いいです、どのくらい売って貰えますか?」


「お好きなだけお売りいたします。どのくらい御入り用ですか?」


「全部ください!」


「全部でございますか?」


「はい、全部です。」


「本当によろしいのですか?」


「ええ、全部買います。いくらですか?」


 俺の剣幕に、エディさんが引き気味である。

 だがしかし、大豆だ、大豆が手に入るのだ。

 うまくいけば、醤油や味噌、豆腐なんかが作れるかもしれない。

 そうすれば、基本的に塩で味付けだった食事が、もっと豊かなものになるはずだ。


「私どもが今回物々交換で手に入れた大豆は、全部で200kgになりますので、銀貨10枚での取引となりますがよろしいですか?」


「銀貨10枚ですね。はい、どうぞ。」


 銀貨10枚を袋からだし、エディさんに渡す。

 俺はエディさんから大豆を受け取り、袋の中にしまう。


「確かに銀貨10枚受け取りました。ところで、それだけの大豆、一体どうされるのですか?」


「ちょっと試したいことがありまして。」


 まだ成功するかわからないので、黙っておく。


「それじゃあ、俺は馬車に戻ります。」


 俺は意気揚々と馬車へと戻っていった。


「こ、これは、古代の書物!?これはどこで手に入れたのですか?」


 馬車に戻ると、マリアがシーナが日本語取得のために研究所から持ってきた、日本語で書かれた本を見て何やら驚愕していた。


「何を騒いでいるんだ?」


「ミツキさん、この書物は一体どちらで手に入れたのですか?」


 なんだろう、マリアからシーナと同じ匂いを感じる。

 さて、どう答えたものか。

 答え方を間違うと面倒なことになりそうな予感が。


「えーと、その…」


「その本はニース東部の遺跡から持ってきたものですわ。」


 俺がどう答えようか思案していると、シーナが正直に答えてしまった。


「ニース東部、最近攻略された遺跡ですか?」


「そうですわ。それがどうかしましたの?」


「私にその書物を売ってください!」


 マリアの目の色が変わっている。

 やはり、シーナの同類か。


「ダメですわ。これは私の勉強用ですのよ。」


「勉強用?」


「ええ、ミツキが言葉を覚えるのならこの本が一番簡単だとおっしゃいましたの。ですから、私はこの本で勉強をしていますわ。」


 あ、なんか嫌な流れになっている。


「え、もしかしてミツキさんは古代語が読むことが出来るのですか?」


「ミツキと花凛が私の教師をしてくださっていますわ。」


「俺はちょっとやりたいことがあるからこのあたりで…」


 面倒事に巻き込まれる前に逃げるを選択する。


「待ってください!」


 マリアに回り込まれた。

 逃げられなかった。


「えーと、なんでしょう?」


 なんとなく敬語になってしまう。


「ミツキさん、詳しくお話を聞かせてください。」


「嫌です。」


 俺の今の最優先事項は醤油や味噌が作れるのか確かめることである。

 なので、面倒事はきっぱりと断る。


「お願いします!」


「嫌です。」


「なぜですか!?」


「なぜって、面倒だから。」


「そう言わずに、お願いします。」


 マリア、思った以上にしつこい。


「嫌です。」


「お金なら払います。だから!」


「間に合ってます。」


「ならどうすれば教えてもらえるのですか?」


「俺がマリアに教えて何かメリットがあるのか?」


 逆にマリアに質問してみる。


「そ、それは、その、」


「俺にメリットないだろ?」


「ですが、ミツキさんの知識があれば遺跡研究がさらに進み、人々の生活が向上する可能性が…」


「そんなこと、俺には関係ない。」


 そんなことより、早く醤油作りに取り掛かりたい。


「そんなことって、ミツキさんはこの社会に貢献しようとか、そういった考えはないのですか?」


「ない。」


「私、ミツキさんのこと勘違いしていたみたいです。優秀な方かと思っていましたが、こんなに愚かな方だとは思いませんでした!」


 いつの間にか、俺は怒られていた。

 何が彼女の逆鱗に触れたのだろうか。

 俺の頭の中は醤油と味噌のことでいっぱいなので、今までの会話はほぼ惰性で答えていたから、なにが悪かったのかわからない。

 そうだ、醤油を作るのには甕も必要だよな。

 土魔法で作れるかな。


「社会に貢献できるだけの力や知識があるのに、どうしてそれを生かさないんですか?」


 お風呂を作った要領でやればうまくいくか。

 あとは、発酵を促進させる魔法とか作れれば、短期間で醤油が作れるな。


「あなたのような人がいるから、自分の事しか考えず、自分が良ければそれでいいとか、人として最低です!」


 問題は麹菌が上手くできるかどうかだな。

 麹菌が出来ないと発酵しないし、醤油にならないからな。


「聞いているのですか、ミツキさん!」


「…えっ、ごめん、聞いてなかった。」


「っ!」


 マリアの手が振り上げられた。

 え、なんで?


「ご主人様に何するつもり?」


 しかし、その手は振り下ろされる前にリアによって掴み取られた。


「さっきから聞いていれば、ご主人様を馬鹿にするようなことばかり。どういうつもりなの?」


 リアが静かに怒っている。

 軽く殺気まで放っていて、マリアは怯えるようにリアを見ている。

 まあ、盗賊のアジトからここまで来るまでにリアの強さを間近で見ていたからな、それが今自分に向けられているのだ、怖くないはずがないだろう。


「そうですわ。ミツキのことをよく知りもしないのにそのような言い方、不愉快極まりないですわ。」


「ミツキは時々突拍子もないことやるけど、君が言うような人ではないとボクは思うよ。」


「パパはいい人です。馬鹿にしないでください。」


 リアだけでなく、シーナ、フラン、花凛もマリアに対して怒りを露わにしていた。


「わ、私は、そ、その…」


 マリアが何か言おうと口を開くも、4人の迫力に圧倒され言葉が続かない。


「4人とも、俺は気にしていないから落ち着け。」


「だけど、ご主人様…」


「いいから。」


「ミツキがそう言うのでしたら。」


「ボクはミツキが気にしていないならいいよ。」


「ありがとな、俺のために。」


「パパのためなら当たり前です。」


「そうか、俺はやりたいことあるから後は頼むな。」


 そう言い残し、俺は醤油を作るためにその場を離れた。






「ごめんなさい、嫌な思いをさせてしまって。」


「謝る相手が違いますわ。謝るならミツキに謝ってくださいな。」


「マリア、一つ聞いていいかい、どうしてミツキにあんなことを?」


「それは、私ミツキさんの才能に嫉妬してしまったんだと思います。それで、あんな言い方を。」


「ご主人様はあなたが言うような人じゃないよ。あたしのことを呪いから救ってくれたし、ここに来る途中にも言ったけど、奴隷であるあたしにも優しくしてくれる。あなただってご主人様に助けられたじゃない。」


「パパは他人を蔑にするような人ではありません。」


「そうだね、ミツキは自分から他人に関わって、面倒事を背負い込んでくるタイプの人間だよね。お人よしというか、貧乏くじを引くというか。」


「ええ、冷静になって私がどれだけ酷いことを言ったのか分かっています。ミツキさんにはきちんと謝罪します。」


「それがいいですわ。ミツキは気にしていないと言ってましたが、けじめはつけるべきですわ。」


「でも、さっきのパパ、ずっと何か考え込んでいるように見えました。」


「確かに、マリアの話しもほとんど聞いていないようだったし、また何かとんでもないことを始めそうだよね。」


「ここに来るまではそんな様子なかったよ?」


「ミツキは突然思いもよらないことをやりますわ。きっと、村に着いてから何か思いついたに違いないですわ。」


「パパがやることなら悪いことではないと思います。」


「だね。ボクが思うに食べ物関連だと踏んでいるよ。」


「ありえますわね。食べ物のことになるとミツキは人が変わりますから。」


「ご主人様、たまに変な料理作るよね。あれ、おいしいけど、食べるのに勇気がいるよね。」


「えーと、ミツキさんってどんな方なんですか?私だんだん、ミツキさんがわからなくなってきました。」


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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