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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第2章 勇者と旅紀行
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第5話 盗賊の討伐

感想、評価、お気に入り登録ありがとうございます。

 リアが木と木の間を跳躍していく。

 時折、森の中に魔物がいるが無視して先に進む。

 俺はそんなリアに抱きついているだけだけど。

 ピクピクっとリアの耳が動く。


「ご主人様、この先に人の気配がするよ。声の反響から洞窟内にいるみたい。」


「洞窟の入り口には?」


「えーと……いない。洞窟の中だけみたい。」


「わかった、まっすぐ向かってくれ。」


 少しスピードを上げ、ピョンピョンと跳んで進む。

 はっきり言って、少し怖い。

 時速60kmくらいは出ており、その速さで空中の闊歩しているのだから。

 

「あれか…」


 少し先で森が終っており、その先に崖が見える。

 その崖には穴が開いており、そこが盗賊のアジトなんだろう。


「リア、少し手前で止まってくれ。」


 俺たちは森の中から洞窟が確認できる位置に隠れる。

 リアの言ったように、見張りはいないようだ。


「枯れ木を集めてくれ。」


「枯れ木?何に使うの?」


「洞窟の前で燃やして、盗賊たちをあぶりだす。」


「なるほど………待ってご主人様、中から女性の声が聞こえる。……話している内容から察するに、スクレクド方面から来て捕まった人みたい。」


 相変わらずリアの聴覚はすごい。

 俺には何も聞こえていないというのに、話の内容まで聞き取ってしまうのだ。

 そういえば、リアの耳を触らせてもらおうと思いつつ、未だにその機会がなかった。

 馬車に戻ったら触らせてもらおう。


「詳しい中の状況わかるか?」


「えーと、ちょっと待って……………盗賊たちは2か所に分かれているみたい。女性の方にお頭って呼ばれている人と後2人、もう1か所に10人いるみたい。」


「なら、まずは10人を無力化しよう。俺が盗賊たちを引き付けるから、リアは盗賊たちをしびれさせてくれ。」


「わかったよ。」


「いくぞ。」


 洞窟の中に入る。

 中に入ると、若干人の声が聞こえてくる。

 リアが手で盗賊のいる方を示す。

 なるべく音をたてないように、そちらへ向かう。

 炎の揺らめきが見えてきた。

 男たちの談笑する声がはっきりと聞こえてくる。


「あの女もお頭のおもちゃか。羨ましいぜ。」


「久々の上物だったからな。後で俺らにも回してくれるってお頭言ってたから、それまでの辛抱だな。」


「ああ、それに数日前にグランフィズを出発した商隊に上物が4人いたらしいぜ?そいつら連れてそろそろ襲いに行った連中が帰ってくるだろ?そしたら俺たちも楽しめるぜ。


 盗賊たちは俺たちに気付く様子もなく、卑猥な話題で盛り上がっている。

 俺はハンドサインでリアに合図を送る。

 こくりと頷き、リアが俺から離れる。


「残念だが、それは叶わない。」


「誰だてめえ!」


 俺は盗賊たちの前に姿をさらす。

 いきり立つ盗賊たちを無視して俺は抜刀する。


「さて、素直に降伏するか、死ぬか、どうする?」


「相手は1人だ、お頭には言うな、怒られっぞ!」


 全員が剣を抜く。


「サンドスピア!」


 一番近くにいた盗賊の足元に土の槍を出す。


「魔法使いか、全員でかこm、ぎゃっ。」


 バチバチ、バタン

 まず一人ご退場。

 リアが静かに後ろから忍び寄り、雷魔法を纏わせた雷光剣でちょんと触れる。

 要するにスタンガンである。

 リアは1人沈めると、すぐに姿をくらます。


「野郎、やりやがったな!」


 俺が魔法を使ったと思っている残りの盗賊たちの注意がさらに俺に向けられる。


「「ぐぎゃっ…」」


 その隙にリアが再び後ろから忍び寄り、2人を感電させた。


「ファイヤーボール!」


 俺は火球を盗賊たちの目の前で爆ぜるように放つ。

 突然の強い光で、盗賊たちの目がつぶされる。


「くそ…うがっ」


「ちっ、どこぎゃ…」


「みえ、ぐうっ…」


 さらに3人がリアの手で意識を刈り取られる。

 俺はその隙に残りの盗賊たちに近づき、みねうちで意識を奪う。

 リアが6人、俺が4人の盗賊の意識を摘み、この場の盗賊は全滅した。

 盗賊たちの持ち物を剥ぎ取り、魔法の袋からロープを取り出し、盗賊たちを縛り上げる。


「よし、残りもたたくぞ、まだいけるかリア?」


 リアはもともと魔力があまり高くない。

 森での戦闘と、今回の戦闘で魔力をほとんど使い切ってしまっているだろう。


「魔法は使えないけど、剣だけならまだ戦えるよ。」


「わかった、辛かったら無理するなよ。」


 それだけいい、女性が囚われている方へと向かう。

 そちらにいたのは、装備を外している禿のおっさんと、2人の盗賊であった。

 禿のおっさんの前には鎖に繋がれた女性がいる。

 服が若干はだけており、チラチラと肌が見え隠れしている。

 俺はすぐさま飛び出し、近くにいた盗賊を無力化する。


「ん、なんだてめえは!?」


 禿が俺を見てなにやらわめくが、気にせず切りかかる。

 足の腱を切り、立てなくする。

 禿の体が地面に横たわる。


「お前が盗賊の頭か?」


「てっめえ、こんなことしてタダで済むと思ってんのか!」


 腕で体を起こし、禿が睨み付けてくる。


「今のお前に何が出来る?」


「すぐに60人の部下たちが戻ってくる、そうなりゃお前なんぞおしまいだ。」


「そうか、それは残念だな。あんたの仲間はもういないよ。」


 それだけ言い、禿の頭を蹴り、意識を奪った。


「大丈夫か?リア、降ろしてやってくれ。」


「はい。」


 女性の方はリアに頼み、俺は盗賊の身ぐるみを剥ぎロープで縛りつける。


「あの、ありがとうございます。」


 囚われていた女性が、服の乱れを直し、お礼を言ってきた。

 歳の頃は20代前半で、青みがかった黒髪を肩口でそろえた知的な女性だ。

 服装はローブを纏っており、魔女といった感じだ。


「どういたしまして。俺はミツキ、こっちはリア。そっちは?」


「私はマリアです。あなたたちはどうしてこんなところに?」


「俺たちは商隊の護衛で街道を進んでいたんだ。そしたら盗賊に襲われて、返り討ちにしてここの場所を聞き出したんだ。マリアはどうしてここに?」


「私はニース東部の遺跡が攻略されたと聞いて、スクレクドからニースに向かう途中だんたんですが、森に入ったところを同じように襲われて、護衛を頼んだ冒険者は全員殺されて、私だけがここに連れてこられたんです。」


 並みの冒険者では、あの数の盗賊を撃退するのは不可能だろう。

 俺たちだって事前に盗賊を察知できていなかったら、被害が出ていたはずだ。


「そうか、なら俺たちと一緒に来るか?アジトを壊滅したら、森を東に抜けた先の村で商隊と合流することになってるんだ。」


「盗賊たちはどうするんです?」


「ああ、後でグランフィズ警備隊が回収してくれる。俺らは縛り上げるだけで、連れてはいかない。」


 このことは事前にゴルディがグランフィズで警備隊と話をつけていたそうだ。


「私がご一緒して迷惑ではないですか?」


「俺たちの目的地はスクレクドだから、マリアにしたら逆方向になるけど、それでも良ければだけど。」


「お願いします。流石に護衛も無しにニースへは向かえません。スクレクドまで同行させて貰えるなら、ありがたいことです。お礼はスクレクドに着いたらさせていただきます。」


「リア、そういうことだから、帰りは歩いていく。魔物に注意を払ってくれ。」


「はい、ご主人様。」


「よし、行くか。」


 俺たちは洞窟を出て、森に入る。

 来るときは10分ほどで来れたが、この分だと村に着くまで半日はかかりそうだ。

 森の中で何度か魔物と遭遇するも、リアソナーのおかげで事前に察知できるので、労せずに魔物を屠っていく。

 この森に出る魔物は危険度Eがほとんどで時々Dが出るくらいだ。

 俺にもリアにも敵ではない。

 街道までは30分ほどで出ることが出来た。


「ミツキさんたちお強いんですね。」


 街道に出たことで、気持ちにゆとりが出たのか、緊張を解いたマリア話しかけてくる。

 森の中ではこちらから話しかけてもビクビクとあたりを気にして、それどころではなかった。


「まあな。」


「ご主人様は強いんだから。」


「お二人は冒険者の方ですか?」


「いや、俺は考古学者。遺跡を巡って旅をしてるんだ。スクレクドには智の塔に行ってみようかと思ってね。」


「あたしはご主人様の奴隷だから、ご主人様の行くところにはどこまでもついて行くんだ。」


「リアさん、奴隷なんですか!?」


 リアが奴隷と聞いて、マリアが驚く。


「うん、そうだよ。ほら。それがどうかした?」


 リアが首に付けられた首輪をマリアに見せた。


「隷属の首輪、本当に奴隷なんですね。リアさん装備がいいし、髪や肌も綺麗だからてっきり二人は恋人同士だと。」


「ご主人様は優しいからね。奴隷の私にもみんなと同じように接してくれるんだ。」


「なあ、奴隷ってそんなにひどい扱いされるのか?」


 俺が奴隷を見たのはリアを買った時が最後で、以降は一度も見ていない。

 だから、他の所有者がどんな扱いをしているのかがわからない。


「そうですね、奴隷を使い捨ての道具としか考えずに碌な装備も与えず、狩りに連れ出したり、女性の奴隷だと性処理のために買われて、飽きたら捨てられるか、娼婦にされることがほとんどですね。だから、リアさんを見て驚きました。」


「ご主人様はそんなひどいことしないもん。……ご主人様、右から魔物が来るよ。」


「了解。」


 俺たちは街道を雑談をしつつ、時には魔物を狩りながらまったりと進んでいった。

 そして、休憩を挟みつつ日が暮れる前には森を抜け、村に辿り着いた。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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