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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第2章 勇者と旅紀行
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第4話 盗賊との邂逅

お気に入り登録ありがとうございます。

 ぞろぞろと、商隊の馬車が200mほどに延び街道を東に進んでいる。

 街道は森の中を通っており、この場所で多くの商隊が盗賊に襲われているそうだ。


「リア、何かいる気配はあるか?」


「今のところは特に感じないよ。」


「フランは?」


「人のいた気配はあるみたいだ。」


 今御者台には、俺とリア、フランが座っている。

 リアの索敵とフランの精霊の力で、いち早く盗賊の動きを掴むためだ。

 流石にこの規模の商隊を襲ってくることは考えづらいが、用心するに越したことはない。

 しばらくは森が続くので気は抜けない。


「ご主人様、1kmほど先に人の気配があるよ。」


 少し進んでいくと、何かを捉えたリアがそう言った。


「数はわかるか?」


「うーん、この距離だと難しいかな?」


「ならボクに任せてくれ。頼んだよ。」


 フランが虚空に向かって話しかける。

 きっとそこに精霊がいるんだろう。


「ゴルディ、この先に何かいるみたいだ。」


 俺は俺たちに馬車と並行して走っている、馬車に乗っているゴルディに声をかける。


「今正確な位置と人数を確認しているが、どうする?一度止まるか?」


「いや、森で止まるのはダメだ。危険が多すぎる。このまま進むぞ。」


「了解。」


「索敵は任せる。詳しくわかったら教えてくれ。」


 先頭の役割として、俺たちのパーティが索敵を担当し、このあたりの土地勘のあるゴルディがそれをもとに商隊全体の判断を行っている。


「ミツキ、前方の森の中に60人隠れているみたいだ。左に20人、右に20人、それより先に20人。全員武装している。」


「盗賊か…ゴルディ、聞こえたな?」


「ああ、最近ここらを騒がせている盗賊に間違いねえ。しかし、60人か多いな。」


「リアを先行させて左右に潜んでいる盗賊を戦闘不能にしようかと思うんだが、ゴルディの意見を聞きたい。」


「ウサギの嬢ちゃんを?大丈夫なのか?」


「こういったところでの戦闘なら、リア1人で遊撃させた方が効果が大きい。森の中を進めるし、木の上を跳んで行けるしな。」


「わかった。お前に任せる。」


「リア、頼んだ。」


「任せてご主人様。」


 リアが御者台から木へと跳躍する。

 そのまま森の中へと消えていった。

 リアのレベルも30まで上がったので、そんな簡単に心配するような状況にはならないだろう。


「フラン、弓矢を無力化できる魔法って使えるか?」


「そうだね、弓矢ならウインドカーテンを使えば無力化できるよ。」


「いつでもそれが使えるように準備しておいてくれ。」


「了解したよ。」


 そう言って、フランは腰に下げていた杖を右手に持った。

 それから進むこと数十分、俺たちの目の前に20人の盗賊が姿を現した。


「命が惜しかったら、荷物と女を置いていきな!」


 テンプレなセリフを吐く盗賊。

 20人のうち10人は弓を構えており、すぐにでも俺たちを射れる状況だ。


「てめえらが最近ここらを荒らしてやがる盗賊だな?」


 そんな盗賊をゴルディが睨み付ける。


「だったらなんだ?いいからとっとと荷物と女置いていきやがれ!


「そうかそうか、なら安心してぶちのめせるな。」


「ふざけたこと言ってんじゃねえ!てめえら、やっちまえ!」


 俺たちに向け前方から矢が飛んでくる。


「ウインドカーテン!」


 すでに詠唱を終えていたフランが、魔法を発動する。

 矢は見えない風に阻まれ、見当違いの方向へ飛んで行った。


「なっ!どういうことだ、俺の部下はどうした!?」


 盗賊の男が慌てふためいている。

 きっと今の合図で左右から仲間が襲う手はずになっていたんだろう。


「ご主人様、全員身ぐるみ剥いで木に縛り付けて来たよ。」


 そこへ、木からリアが跳びおり報告してくる。


「ご苦労様、よくやったな。」


 リアの頭をなでてやると、リアはうれしそうに眼を細めた。


「さて、他の仲間は無力化させてもらった。降伏するなら今の内だぞ?」


「ば、馬鹿な、くそ、ぶっ殺してやる!」


 盗賊が俺たちの方へと走り寄ってくる。


「ウインドカッター!」


 そこへ、フランが風の刃を飛ばす。


「ゴルディ、弓使いは俺たちの方で片付ける。他は任せた。」


「おう!任せとけ。」


 ゴルディたち4人は剣を構え盗賊に襲いかかっていく。


「サンドスピア!」


 俺は今まさに弓を射ろうとしていた盗賊の足元に、土の槍を出現させる。


「ぎゃっ!」


 土の槍は盗賊の持っていた弓と、左手に当たり、弓は壊れ、手からは鮮血が流れる。


「この野郎!」


 フランの放ったウインドカッターを抜けてきた剣を持った盗賊が俺に襲いかかってきた。


「遅い。」


 斬、居合で盗賊の腕を切り落とす。


「サンドウェーブ!」


 その間に詠唱を終えたフランが弓使いに向け、土の津波を放った。


「「「うわああああああ!」」」


 弓使いたちはその津波にのまれ、埋もれていった。


「おうりゃあ!」


 ゴルディの方も順調に盗賊を片付けている。

 盗賊たちはなすすべなくやられていく。

 数分もしないうちに、盗賊たちは全滅した。

 俺たちは手分けして盗賊を一か所に集めた。

 数は全部で60人、フランの情報通りであった。

 俺は、そのうちの1人に回復魔法をかける。


「おい、盗賊に回復魔法なんかかけてどうするつもりだ?」


 ゴルディが訝しげに俺を見てくる。


「何、ちょいと拷問でもしようかと。おい、起きろ。」


 ペチペチと頬を張る。


「うっ、動けな、てめえ、放しやがれ!」


 目を覚ました盗賊が騒ぎ出す。


「さて、お前にはいくつか聞きたいことがある。」


「はっ、誰がしゃべるか!」


「そうか、なら話しやすくしてやるよ。」


 ホルスターから銃を抜き、盗賊の耳元で引き金を引く。


「ぎゃああああああ」


 銃弾が耳を吹き飛ばし、また、音で鼓膜を破壊する。


「ヒール」


 すぐさま回復魔法をかけ、傷を治してやる。

 盗賊の目には涙が浮かんでいる。


「話す気になったか?」


「はあ、はあ、誰が話すか。」


「そうか。」


 再び引き金を引く。

 今回の狙いは足の甲だ。


「ぐぎゃああ。」


 今度は回復させない。


「どうだ?そろそろ俺の質問に答えてくれるか?」


「誰が…」


 バンバン、引き金を引く。

 狙いは手の甲。


「うぐっううう」


 バンバン、さらに撃つ。

 今度は太もも。


「ま、待って…」


 バンバン、もう一度、両肩を打ち抜く。


「話す、何でも話す、だから、もうやめてくれ。」


 痛みで泣きながら、男が懇願してくる。


「そうか、なら、お前たちのアジトはどこだ?」


「いてえ、いてえよ。くそお」


「聞こえなかったのか?」


 盗賊に銃口を向ける。


「ひっ!アジトは森を抜けた先の山のふもとだ。」


「本当か?」


「ほ、本当だ!頼む、殺さないでくれ。」


「正確な場所は?」


「ここから北に行ったところだ、本当だ、だから治してくれ、いてえよ。」


 銃を向けられている盗賊は震えながら俺の質問に答えた。


「ヒール」


 嘘を言っている様子はないので、回復魔法をかけてやる。

 同時に、顎に掌底を食らわせ、意識を刈り取る。


「だそうだが、ゴルディどうする?」


「…坊主、お前見かけによらず過激だな。」


 ゴルディは若干引きつった顔で、俺を見てきた。


「そうか?このくらいしないと素直に話してくれないだろう?」


 俺が初めに耳を打ち抜き、すぐさま治したのは、何度でも苦しめられるぞ、というサインである。

 その後、人体の中でも痛覚の強い場所を打ち抜いていく。

 なるべく無言で。

 そうすると、相手は恐怖と痛みで、ずっと同じことが続くと思い込み、心が折れやすくなるのだ。


「それで、盗賊のアジトはどうする?」


「少し待ってくれ、商人たちと相談する。」


 そういうとゴルディは後方の商人たちのところに向かった。

 少ししてゴルディが戻ってくる。


「商人たちに確認した。盗賊のアジトを殲滅して欲しいそうだ。これは別途報酬をくれることになった。」


 それはそうだろう。

 商人たちにしたら、自分たちを脅かす存在がいなくなるのだ。

 一刻も早く盗賊を滅ぼして欲しいに違いない。


「だれが行く?ゴルディたちが行くのか?」


「いや、お前たちに頼みたい。やってくれるか?」


「わかった。俺とリアで行ってくる。行けるか、リア?」


「もちろんだよ、任せて。」


「2人で行けるのか?」


「愚問だな。行くぞリア。フランは馬車を頼む。」


「ああ、ボクがに任せてくれ。」


 俺はリアにだっこされる形で、その場を跳び去る。

 リアの跳躍力はすさまじいので、この移動の仕方の方が森を早く抜けられる。

 だから、リアと2人で行くことにしたのだ。

 俺とリアは盗賊のアジトを目指し、木の上を失踪していった。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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