第23話 護衛の依頼
ユニーク数が2000を超えました。
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東の遺跡へと旅立つ当日、俺たちはギルド前にきていた。
なぜギルドに来ているのかというと、昨日の夕方ギルドにその日の成果を報告に行った際、メルティさんからクエストの依頼が来ていると言われたのだ。
依頼者はチャン商会で、依頼内容はニースの町の東にある隣村までの護衛依頼である。
隣村と言っても、ここから4~5程離れていて、東の遺跡を探索するのに拠点にしようと俺たちが考えていた村である。
村の名前はミュレ、街道から少し外れた位置にあり、農業と林業を主産業とした村だ。
チャン商会はミュレに月1度、生活に必要な物資を運びに行っており、今回は俺たちがミュレに行くという情報をどこからか得たようで、俺たちを指名してきた。
どうやら、最近東の街道では盗賊による被害が頻発しているようで、腕に覚えのある冒険者に依頼をしたかったようである。
俺は3人と相談した上で、そのクエストを受領した。
チャン商会に貸しを作るのは、今後のことを考えてメリットが多いし、護衛というものを一度経験しておくことで、今後のためになると思ったからである。
ちなみにクエストを受領する旨を伝えた際、メルティさんからパーティの名前を決めてほしいと言われた。
いつも同じ冒険者同士でパーティを組む場合、パーティ名を申請することが多く、そうすることでギルドとしても管理がしやすいとのことだ。
俺はニースの町に戻ってくるまでには、パーティの名前を決めておくことをメルティさんに告げ、ギルドを後にした。
そして、翌日の今日、チャン商会と待ち合わせ場所であるギルド前に来ているのだ。
俺たちがギルドに到着した時には既に馬車が止まっており、2人の男性がそこにいた。
「遅くなり申し訳ありません。俺は今回護衛を依頼されたミツキ・ハルノです。後ろにいるのがパーティメンバーのシスティーナ、フランチェスカ、リリシアです。」
俺が4人を代表して商人に声をかける。
「いえいえ、時間より早く来ていただいてますので、遅いなんてことはございません。私はチャン商会で商人をしているエディと申します。隣が商人見習いのジェフです。」
30代後半の恰幅のいい、エディと名乗った男性が応える。
エディさんはいかにも商人といった風貌で、俺に対して丁寧に接してくる。
ジェフと呼ばれた、俺とあまり変わらない歳の男性はリアの胸を見て顔を真っ赤にしている。
「それでは早速出発いたしましょう。馬車にお乗りください。」
俺たちはエディさんに馬車に乗るよう勧められた。
御者にはジェフが座り、彼が馬車を操るようである。
町を出るまでは安全なので、俺たちは荷台にのり、エディさんと今後のことについて話し合った。
基本的に俺たちの出番はなく、むしろない方が良いらしい。
魔物が現れた際に、商品を守ることが主な任務である。
街道を幾分には魔物と遭遇することは少ない。
が、どんなことが起きてもすぐ対応できるように気を引き締めていかなければならない。
俺は3人と相談し、2人が御者のエディのところで前方を監視し、2人が荷台から後方を監視することにした。
前方の担当は俺とリア、リアにはもっぱら索敵を担当してもらう。
後方をシーナとフランに担当してもらい、後ろから襲ってきた魔物に対し、魔法を使って足止めをしてその隙に逃げ切ろうという考えである。
そうして、作戦を立てている間に東門へとやってきた。
エディさんが門番にミュレの村に商売をしに行くことを告げ税金を払う。
俺たちはギルドカードを見せ、護衛としてエディさんたちと共にミュレの村に行くことを告げた。
特に揉めるようなことも無く、東門を通過する。
俺たちは街中で決めた通りのフォーメーションを取る。
ジェフが右に座り、馬の手綱を引いているので、俺はその隣に腰かけ、リアは俺の左隣に座る。
「俺はミツキ・ハルノです。よろしくお願いします。」
「あたしはリリシアです。よろしくお願いします。」
とりあえず、ジェフに挨拶をする。
さっきは挨拶をする前に、移動することとなったため、ジェフと会話するのはこれが初めてである。
「俺はジェフって言います。こちらこそよろしくお願いします。」
流石はチャン商会というべきか、商人見習いであっても言葉遣いが丁寧だ。
ただし、ジェフの視線はチラチラとリアの胸に向いているが。
そんな視線を気にせずリアはウサ耳をピクピクさせ、早速辺りを警戒している。
「ジェフはいくつなんですか?俺は15なんですけど。」
「えっ、ミツキさん15なんですか!?」
俺の歳を教えたら、ジェフに驚かれた。
「そうですけど、どうかしました?」
「いえ、俺も15ですけど、すごくしっかりしているし、うちの商会が直々に依頼するくらいなので、年上だとばかり。」
なるほどなー、Cランク以上のベテラン冒険者ってたいていが20代以降だからな。
俺の場合はいろいろの特殊な部類であるため、冒険者になって一週間程度でCランクまで上がってしまったが、ほとんどの冒険者は10年以上かかるそうだ。
「そうですか?俺としては商人目指して働いているジェフのことを尊敬しますよ。俺はなんとなく冒険者やっているだけですから。」
「俺は怖くて冒険者なんかできませんよ。俺に家は農家だったんですが、兄が家を継ぐので俺は家を出なくちゃならなくて、チャン商会に弟子入りをしたんです。商人になれれば、算術や文字も教えて貰えますから。」
こちらの世界では、12歳で成人し大人の仲間入りとなる。
なので子どもは12歳になると、家を継ぐ者以外は家を出て働きに出る。
冒険者になりたいものはギルドに登録し、商人や職人になりたいものは弟子入りをする。
中には官吏を目指して王都に試験を受けに行くものや、騎士団見習いになるものもいる。
そうやって手に職を付けて、自立していくのだ。
俺はその後もリアとジェフと話をしつつ護衛任務を行っていき、ときおりリアが魔物を感知するものの、街道まで出てくることはなく、戦闘らしい戦闘もなく、夜を迎えた。
夜の移動は危険なため、街道のすぐそばに少し開けた場所で今日は野営をすることとなった。
周りに背の高い草木がなく、見通しがいいため比較的安全な場所だ。
俺はフランに手伝ってもらい、早速テントを張る。
エディさんとジェフは馬車の中で夜を明かすそうなので、テントは馬車のすぐ隣に張った。
シーナとリアには夕食の準備をしてもらっている。
材料はここ一週間で取った動物や魔物の肉、森で採取した果物や町で買ったパンである。
「エディさんとジェフも一緒にどうですか?」
俺は2人に夕食をごちそうすることにした。
彼らの夕食は保存食のようで、あまりおいしそうに見えなかったのだ。
こういう時に魔法の袋の存在がありがたくなる。
2人には大変感謝され、6人で火を囲み夕食を食した。
夜の間は俺とシーナ、フランとリアの二組に分かれ、順番に見張りをすることにした。
1人ずつより、2人でやった方が退屈しないし、何か起こった時に対処がしやすいと思ったからだ。
話し合った結果、俺とシーナが先に見張りをし、4時間たったら2人と交代することとなった。
4時間をどうやって図るのかと思ったら、フランが袋から一本のたいまつを取り出した。
そのたいまつはマジックアイテムで、最初は赤い炎であるが2時間後には黄色に変わり、さらに2時間後に緑に変わり、最終的に火をつけてから6時間後には青くなるというたいまつである。
冒険者が見張りをするときによく使うものだそうだ。
俺は2人がテントで休むのを確認してたいまつに火をつけた。
赤い炎がゆらゆらと揺れる。
「今日は何事もなく終わってよかったですわ。」
俺の隣に腰かけたシーナが話しかけてくる。
「そうだね。でもまあ、この一週間でシーナとリアのレベルも上がったし、この辺の魔物に後れをとることはないと思うけどね。」
「当たり前ですわ。私もフランさんを見習うことにしましたの。」
「フランを?」
「はい。実を言いますと、ミツキと婚約といわれた当初はミツキに対して抱いている感情が、男の人として好きなのか、考古学者だから気になっているのか分からなかったんですの。」
「それで、」
俺は相槌を打つだけで、余計な口は挟まない。
「ですが、北の遺跡に行って以降、フランさんがミツキに積極的に行くようになったのを見て、胸がチクチクしたり、イライラしたりするようになりましたの。そのことをお母様に相談しましたら、それは嫉妬だと言われましたわ。」
確かに、俺とフランが仲良くしているときやリアの胸に目を奪われているとき、シーナの表情が硬かったり態度が刺々しいことが多かった。
「お母様に言われて、やっと気づきましたわ。私もミツキを1人の男性としてお慕いしていると。ですが、その、私このような性格ですので、どうしたらいいのか分からず…」
「ありがとうシーナ。俺、正直シーナが俺のことをそこまで考えてくれているとは思わなかった。はっきり言ってすごくうれしい。」
自分の気持ちを素直に伝えてきたシーナに、俺も自分の想いを吐露する。
「みんなにキスしておいて今更かもしれないけど、俺はシーナに出会ってから、どんどんシーナに惹かれていった。でも、それと同じくらいフランにも惹かれてった。リアも最初は助けようと思って買ったけど、今では好意を抱いている。俺な、向こうの世界にいた時、妹以外の女性と接する機会があまりなかったんだ。」
接する機会がないといっても、学校ではクラスの女子と話をするし、遺跡探索に連れていかれれば、現地の女性と触れ合うこともあった。
しかし、俺に好意を向けてくる女の子と一緒の部屋に泊まったり、狩りをしたりなんて経験はない。
「それに、俺の住んでいた日本は一夫一妻が常識だったんだ。だから、シーナとフラン、それにリアの3人を同時に好きになることに抵抗もあった。」
「私としては、強い男性が何人もの女性と関係を持つのは当たり前ですから、ミツキのいうことはよくわかりませんわ。ですから、ミツキが私を見てくれさえすれば、ちょっぴり嫌ですけれども、妾を増やしても文句は言いませんわ。」
「いやいやいや、今でも3人で精一杯なのに、これ以上増えたら俺が持たないよ。」
別に3人と身が持たなくなるようなことはしていない。
本当にキスくらいしかしていない。
自分に自信がなかったということと、童貞の俺にはどうしていいかわからないということもある。
「その言葉信じますわ。ミツキ、もしよろしければミツキの世界のことを教えてくださらない?」
俺はシーナの要望に従って、たいまつの炎が緑に変わるまで、地球についてのことや、日本での生活のことをシーナに語って聞かせた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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