第22話 東の草原での過ごし方
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キスをフランの店でしまくった俺たちは、みんなが我に返り、若干の気恥ずかしさを感じ、微妙な空気になった。
そのまま、フランの店を後にし、俺たちは東門から町の外に出て近くの狩場に来ていた。
新しく仲間に加わったリアの闘い方を確認することと、薬草の採取をすることが目的である。
ここまで来る間に、リアには俺が異世界から来たことは説明しておいた。
驚くかと思ったが、獣人たちの間でも、いきなり人がどこからか現れるという現象が言い伝えられていたため、すんなりと俺のことを受け入れた。
そして、今現在はゴブリンと戦闘中である。
5体のゴブリンが、俺たちに襲いかかってくる。
俺はあまり手を出さず、シーナとリアになるべく相手をさせ、レベリングをするつもりである。
出来れば、一週間後までに最低でも20にはあげたい。
「やああああ!」
リアが剣を振りぬき、ゴブリンを1匹袈裟切りにする。
「ファイヤーボール!」
切り裂かれたゴブリンに、シーナの魔法が炸裂し、崩れ落ちる。
他のゴブリンが、リアに対しその手に持った木の棒を振りまわす。
それをリアは華麗なステップで避け、躱しては避け、態勢を崩した相手に一撃を入れるという戦法を繰り返しており、今のところ被弾はゼロである。
一撃を入れた相手に対しては、シーナがすかさず魔法を放ち、ダメージを蓄積させていく。
2人のコンビネーションは中々のものだ。
順調にゴブリンの数を減らしていき、10分ほどですべてのゴブリンを屠った。
「やった!やったよご主人様!」
リアがぴょんぴょんと飛び跳ねて、少し離れたところで見ていた俺に駆け寄ってくる。
ぴょんぴょんと跳ねるものだから、プレートメイルに守られているにもかかわらず、その胸が揺れる。
「ああ、よくやったなリア。体の調子はどうだ?」
今のがリアの呪いを解いてからの初戦である。
「すごいの、体が今まで感じたことがないくらいに軽い!」
俺の目の前で体の軽さをアピールするように再び飛び跳ねる。
胸がすごいです。
ピクピクっと、ウサ耳が反応している。
「ご主人様、また魔物が来るよ。」
リアは耳がよく、魔物の接近に早い段階で気が付く。
森が傍の時はフランがその役目を担っていたが、今いるのは草原である。
そのため、フランの方法では索敵が行えないという問題があったのだが、フランの耳がソナーの役割を果たし、索敵を行っている。
それと、この索敵の高さは野生の勘のスキルも関係していると思われる。
「どのくらいだ?」
「んー、たぶん、ウォルフが8体。その後ろに、ゴブリンが6匹いるみたい。」
合計14匹か。
「方向は?」
「あっち。」
リアが指したのは北だった。
北側は背の高い雑草が多く、視界が悪い。
そのため、俺の目からは魔物がいるか確認できない。
「シーナ、北から魔物が来る。数は14。フランはシーナのサポートに回ってくれ。」
「「わかりましたわ(わかったよ)。」」
14体の魔物を2人に相手させるのは不安なので、今回は俺とフランも戦闘に参加する。
といっても、サポートをする程度で、直接魔物に攻撃するようなことはあまりしない。
魔物を倒したとき経験値が入るのだが、複数人で魔物を倒した際の経験値の分配が、その魔物にどの程度ダメージを与えたかに比例する。
だから、なるべく2人に攻撃をさせ、経験値を獲得させるのである。
「来るよ!」
リアの言葉と同時に3体のウォルフが襲いかかってくる。
俺は刀の峰でウォルフの爪をいなす。
リアは華麗に避けながら、相手の側面に回り攻撃を入れる。
シーナが隙のできた相手に魔法を当て、フランは足元を狙い、魔法を放つ。
足の止まった相手に、リアが畳み掛けるように攻撃をする。
俺はその際に他の2体がリアに行かないように相手取る。
「きゃうん!」
リアの猛攻にさらされていた1匹が、しびれたように動かなくなる。
感電したようだ。
それを見たリアはすぐさま首を刎ね、ウォルフを絶命させる。
シーナはその間にやってきた後続の先頭に魔法をぶつける。
「マッドプール!」
シーナの魔法で出鼻をくじかれ、足の止まった5体の地面がフランの魔法により泥沼と化し、足を取られ行動が制限される。
俺は自分が受け持っていたうちの1体をリアに回す。
リアがそのウォルフに対し、フェイントを混ぜながら確実に攻撃を当て、相手の体力を削っていく。
「ファイヤーストーム!」
後方で呪文の詠唱をしていたシーナが、中級の火魔法を泥沼にはまっているウォルフに放つ。
シーナはついこの間まで下級魔法しか使えなかったが、北の遺跡に行き戦闘を経験したことでレベルが上がり、中級魔法が使えるようになっていた。
ただ、中級魔法になると呪文の詠唱が長く、覚えたてのシーナにとって初の実戦使用である。
炎の竜巻がウォルフたちを襲う。
もがき苦しみ、その場から逃げようとするが、泥沼に足を取られて動けず、5体のウォルフそのまま焼け死んだ。
「てえええい!」
リアは5体が焼却処分されている間に、自分と対峙していたウォルフの心臓を突き刺しその命を奪うと、俺が受け持っていたウォルフを後ろからの一撃で打ち取った。
その耳がピクピクと動いた。
「ご主人様、ゴブリンたちが逃げたみたいだよ?どうする?」
ゴブリンたちは勝てないことを悟ってか、この場から脱出したようである。
「いったん休憩にしよう。リアも初めての戦闘で疲れただろう。」
「うううん、そんなことないよまだ頑張れる!」
よほど自由に動くからだがうれしいのか、剣をブンブン振りながらアピールしてくる。
「なら、少ししたら再開しよう。」
その後、俺たちは休憩をはさみながら魔物の討伐を続け、合間に薬草採取をはさみながら空が赤くなるまで、草原で過ごした。
翌日も同じように東門から出て、草原へと来た。
昨日のように、リアが索敵を行い魔物を見つけ、リアとシーナの2人に相手をさせる。
数が多いときは俺と、フランも手を出すが、それ以外は極力2人に任せている。
俺もただ、見学しているのではなく、フランから魔法を教わることにし、今は火魔法を教わっている。
「ミツキは回復魔法が使えるから、回復魔法を使う要領で掌に魔力を溜めるんだ。後はイメージして、その魔力を火に変換するんだ。」
言われたように右掌に魔力を集中させる。
右手に魔力が集まっていく。
その魔力が燃え上がるのを想像する。
パン
失敗。
魔力が霧散してしまった。
「まだイメージが足りないね。火をつける道具をイメージするとわかりやすいと思うよ?」
失敗した俺にフランがアドバイスをくれる。
火をつける道具か。
俺は頭の中でライターをイメージする。
今度は掌全体ではなく、人差し指に魔力を集中させる。
しゅぼっ
すると、指先から5cmくらいの火を出すことに成功した。
「やるじゃないか、成功だよミツキ!」
フランがまるで自分のことのように喜んでくれる。
「今度は今の火を一点に集中させて、そうだな、泥団子を作るイメージで火を丸く形作るんだ。」
指先の火を丸める。
丸まらない。
炎がくるくると回転する様をイメージする。
すると、火が回転を始め、徐々に丸みを帯びていく。
「ミツキ、そこに魔力を注ぎ込んで、火球を大きくするんだ。」
フランの指示に従い、ピンポン玉くらいの火球に魔力を込める。
魔力を注ぎ込むと火球が大きくなっていき、バスケットボールくらいのサイズになった。
「それを前に飛ばすんだ。」
飛べ、と念じると、火球が勢いよく前方に飛んでいき、すこし飛ぶと、地面に落ちて火が消えてしまった。
「今のがファイヤーボールだよ。あの工程をもっと早くやることで、戦闘中に使えるようになるよ。後は反復練習あるのみだね。でも、ミツキならすぐマスターできるんじゃないかな。」
フランに言われ、今の感覚を忘れないうちに何度も火球を作り出す。
その日、俺は一日中火球を作る練習をし、町へと戻るころには、スキルに火魔法が増えていた。
翌日以降も草原に行き、シーナとリアが魔物の討伐をし、俺はフラン先生の魔法講座に参加する。
一週間後には、俺のスキルに火、水、土、風の魔法が増え、シーナとリアそれぞれレベルが上がり、シーナがレベル25、リアが23まであがった。
そして、東の遺跡に行く日を迎えることとなった。
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