第20話 呪いと祝福
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「ミツキ、6番目の彼女を気に入りましたの?」
「なるほどね、彼女、胸大きかったからね。」
俺が6番目の奴隷を選んで以降、2人の機嫌が悪いような気がしたが、勘違いではないようだ。
言葉にどことなく棘がある。
別に胸で選んだわけではない。
「いや、胸で選んだわけじゃない。彼女のステータスが気になってな。」
「胸が大きいという身体的ステータスかい?」
フランの態度がかつてないほど刺々しい。
やはり、胸が小さいことを気にしているのだろうか。
「そういえば、フランには魔眼のこと話していなかったよな。」
「そうだね。ボクも魔眼持ちだから、ミツキが魔眼を持っていることは知っているけど、どんな魔眼かはわからないよ。あれかな、胸の大きさを正確に測る魔眼かい?」
本当に、フランの態度が毒々しい。
「フラン、胸から離れてくれ。俺の魔眼は鑑定で、相手のステータスが見えるんだ。」
「本当かい?」
「ミツキの言うことは本当ですわ。」
「…ニース嬢がいうなら信じよう。」
「それとフラン、女の価値は胸じゃない。」
「………。」
「………。」
2人して黙ってしまった。
なぜだ。
「ミツキ、昨日ボク達がしたことにあれほど喜んでいながら、よくそんなセリフが言えるね。」
「そうですわ、昨日お風呂でとても気持ちよさそうだったじゃありませんか。」
…そうでした。
昨日2人に胸で背中を洗ってもらいました。
とても気持ち良かったです。
胸が好きと思われても仕方がないです、はい。
「いやいやいや、あれは2人にしてもらったからであって、誰でもいいわけじゃない。」
「本当ですの?」
「もちろんだ!」
「ミツキがそこまで言うなら信じよう。それで、話を戻すけど、おっぱいの彼女、どんなステータスだったんだい?」
おっぱいの彼女のステータス次のようだ。
リリシア(Lv10)獣人族 女 14歳 奴隷
HP:12(112)
MP:6(56)
攻撃力:14(140)
防御力:11(102)
STR:3(30)
VIT:2(26)
DEX:2(25)
AGI:4(40)
INT:0(3)
LUK:30
スキル
月の祝福
呪・死神の息吹
肉体強化
全武器特性
野生の勘
雷魔法
俺がその中で気になったのは3つ。
1つ目が、
「彼女、呪われているみたいなんだ。」
「呪いですの。」
「ああ、死神の息吹って見えた。何か知っているか?」
そう、呪われていることである。
呪いのおかげで彼女のステータスは、十分の一まで低下していた。
「昔、何かの書物で読んだことがあるよ。確か、いくらレベルが上がっても強くならないんだ。それに、寿命も短いと聞く。」
寿命云々はともかく、強くなれないというなら、呪いを解くことが出来れば、彼女のステータスは飛躍的に上昇する。
俺の見た感じでは、隣に見えたステータスが本来のステータスなのだろう。
「月の祝福っていうスキルは?」
気になった2つ目のスキルである。
「祝福持ちなのかい?」
フランが目を見開く。
やはり、レアなスキルか。
「祝福は各種族で頭につく言葉が違うんだ。ボク達エルフなら妖精、人族なら聖なる、ドワーフが大地母神、そして獣人が月なんだ。歴史に名を残す人物が保有しているスキルと言われている。大長老様も妖精の祝福を有しておられる。人族だと、伝説の勇者が持っていたとされているね。その種族の限界を超えることが出来ると言われている。」
なるほど、彼女の本来のステータスが、レベルに反して高いのもそれが理由か。
やはり、ネックは呪いだろう。
「もう一つ気になったのが、雷魔法だ。」
「雷魔法ですの?」
「そんな魔法は聞いたことがないな。」
「やはりそうか…」
この世界の魔法は7属性である。
しかし、俺としては元の世界の知識があったためか、いくつかの疑問があった。
よく、魔法で空を飛んだり、ワープをしたりという描写がされることがある。
空を飛ぶのは風魔法を応用すれば出来るのだろうが、ワープといった魔法はどの属性にも当てはまらない。
また、勇者召喚も魔法の位置づけであるのならば、どれかの系統に属するはずである。
しかし、魔法の効果的にどの系統とも合致しない。
ここから導き出されるのは、未発見の魔法があるか、魔法は新たに作り出すことが出来るということである。
「なんにせよ、彼女と話してみて、2人に問題がなければ、俺は買ってもいいと思う。呪いが解けさえすれば、かなりの戦力になるはずだ。」
「呪いを解く手立てはあるのかい?」
問題となるならそのことだろう。
買っても呪いが解けなければ、戦力にならず、単なる足手まといになってしまう。
「多分だけど、俺の回復魔法でいける気がするんだ。」
先ほどの理屈から言えば、魔法は新たに作ることが出来る。
なら、回復魔法を応用し、解呪の魔法も作れるのではないかと、俺は想像している。
「ミツキに考えがあるのでしたら、私は賛成しますわ。」
「ボクもミツキの判断に従うよ。」
「ならあとは彼女と値段次第か…」
トントン
「ミツキ様お待たせして申し訳ありません。こちら、ミツキ様がご所望になりました、奴隷になります。さあ、入りなさい。」
ノックと共に、セバスが奴隷を連れてやってきた。
「し、失礼しましゅ。」
あ、噛んだ。
「本日はあたし、じゃなかった私にお目を掛けていただきありがとうございます。」
「申し訳ありません、こちらの奴隷はまだ入ってきて日が浅いもので、何分教育が行き届いておりません。ご容赦のほどお願いします。」
セバスはそういっているが、ただ単に緊張しているだけだろう。
もう一度彼女をみる。
やはり、一番目を引くのはその胸だ。
メロン、いやスイカだ。
14歳でこれとは末恐ろしい。
しかも、身長は150cmくらいだから、ロリ巨乳というやつか。
「「ミツキ?」」
2人から冷たい視線が送られてくる。
胸を見ているのに気付かれた。
だって仕方ないじゃないか、俺だって思春期の男なんだから。
「ごめんなさい。」
「「わかればいいですわ(いいよ)。」」
素直に謝っておく。
女性は男性の視線に敏感だからな。
ちなみに、彼女は胸以外にも目を引かれるポイントがある。
それは頭だ。
正確には頭の上についている耳だ。
彼女にはウサ耳がついているのだ。
髪と同じ、真っ白なウサ耳である。
もふもふしていて、気持ちよさそうである。
「俺はミツキ・ハルノ。君のこと買おうかどうか話してから決めようと思ってね。」
「あの、あたしはリリシアといいます。見ての通り、ウサギの獣人です。」
ペコリとお辞儀をするリリシア。
その際、胸がたわわに揺れる。
「俺たちは冒険者をしていてね、君にもそれに同行してもらいたいのだけれど、問題ないかな?」
「えと、それは、その…」
なんとも歯切れが悪い。
「あたし、呪い持ちなんです。」
どうやら、リリシアは自分が呪われていることを知っているようだ。
俺は、先ほどステータスを確認しているから、言われなくても知っている。
「うん、知ってる。」
「え、知って?」
「魔眼持ちなんだ。だから、君が呪い持っていることはわかっているんだ。」
「でしたら、なぜあたしなんかを?あたしがウサギの獣人だからですか?ウサギの獣人は、愛玩奴隷として人気があるそうですから。」
リリシアの表情が悲しげにゆがむ。
言葉も自嘲気味である。
まあ、呪い持ちであることがわかっていて買おうとするのは、基本そう言った手合いだからな。
「貴様、奴隷風情がお客様に向かってその態度はなんだ!」
「ひっ!」
そんなリリシアの態度に、傍で控えていた従業員が鞭を振り上げる。
その従業員にセバスさんも何も言わない。
言うことを聞かない奴隷はきちんと躾けますよ、というパフォーマンスもかねているのだろう。
「俺は別に気にしていませんから、その鞭降ろしてください。」
「ミツキ様はお優しいですね。おい、鞭を下ろせ。」
「はっ!」
セバスさんは俺の言葉を聞き、鞭を下ろさせた。
なるほど、俺がいい主人であるという印象を、奴隷に対してつける効果もあるのか。
あの短時間で俺の人物像をはかり、今の状況を作り出し、俺の言葉を引き出す。
セバスさんはかなりのやり手だ。
「失礼しました。」
ボヨンと胸の揺れと共に、頭を下げるリリシア。
耳がぴくぴく震えている。
「こんなことを言って信じてもらえるかわからないが、俺は君を愛玩動物にするつもりはない。今回は戦力になる奴隷を探しに来たんだしな。」
「でしたら、なぜあたしを?」
「君なら戦力として申し分ないと思ったからだよ。」
「ですが、あたしは呪い持ちで…」
「まあ、なんとかなるだろう。セバスさん、彼女を買います。いくらですか?」
俺は彼女を買うことにした。
話してみた感じ、素直な子だと思ったし、なにより、呪い持ちであることを自分から話してくれた。
俺はそんなリリシアを信用してみようと思う。
それに出来ることなら、彼女の呪いを解いてあげたい。
「ありがとうございます。ウサギの獣人、特に女性は人気が高く、白金貨1枚ほどで取引されております。しかし、彼女はまだ教育が不十分であることと、呪いを受けていることがデメリットとなりますので、その分を引かせていただきまして、金貨80枚となります。ミツキ様に置かれましては、システィーナ様の婚約者であること、また、私にお見せ下さったその才覚に敬意を表しまして、金貨70枚に負けさせていただきます。」
「わかりました。」
袋から金貨70枚を取り出す。
「金貨70枚です。確認お願いします。」
「失礼します。1,2………はい、確かに金貨70枚あります。それでは、主人登録をいたします。身分証明書はお持ちでしょうか?」
「ギルドカードでもいいですか?」
「もちろんでございます。」
今度はギルドカードを袋から取り出す。
「確認いたします。それと、血を一滴いただいてもよろしいですか?」
セバスさんが綺麗に装飾されたナイフを渡してくる。
「血?」
「はい。奴隷を隷属させるマジックアイテム、首輪になりますが、そちらにミツキ様の血を組み込むことで、正式に奴隷の主人となることが出来ます。」
「なるほど、わかりました…っつ。」
「ありがとうございます。」
指先を渡されたナイフでちょっと切った。
傷口から出ている血を、リリシアの首輪の宝石部分に付ける。
すると、透明だった宝石の色が七色に変わり、宝石の中に何やら紋様が浮かび上がった。
「ヒール。」
すぐに、魔法で傷をふさぐ。
「これで、こちらの奴隷は正式にミツキ様のものになります。お買い上げいただきありがとうございます。ミツキ様が亡くなられるか、自主的に手放さない限り、一生ミツキ様の所有物となります。ほら、お前の新しい主人だ。」
「はい、ご主人様、これからよろしくお願いします。」
「ああ、よろしくなリリシア。」
こうして、俺はウサ耳の女の子を手に入れた。
「セバスさん、ここって服飾品も売っているんですよね?」
「左様でございます。」
「なら、3人に似合いそうな服をお願いできませんか?」
リリシアの服は今着ている白いワンピース一着だ。
他にも服は必要だろう。
それに、リリシアだけでなく、2人にも服をプレゼントしようと思う。
別に、ご機嫌取りってわけじゃない。
ないと言ったらない。
「かしこまりました。すぐに用意させます。」
傍にいた従業員をセバスさんが一瞥すると、従業員は部屋から出て行った。
数分後、戻ってきた従業員は数人を連れ、服を運んできた。
「3人とも、好きな服を選んでよ。俺がプレゼントするから。」
「よろしいのですの?」
「いいのかい?」
「もちろん。」
2人は服に目を移す。
「あの、あたしもですか?」
「うん、その服だけじゃ足りないだろ?」
「ですが、あたしは奴隷なのに、こんないい服…」
そういえば、奴隷には中古の服を与えるのが一般的だそうだ。
「俺は奴隷だからって、仲間のリリシアを他の2人と区別したりしないよ。」
「ですが…」
「なら、命令だ。好きな服を選びなさい。」
「わかりました。ご主人様ありがとうございます。」
リリシアもうれしそうに服を選びだした。
やはり女の子だから、可愛い服にあこがれはあるんだろう。
誤算があるとしたら、この後3人が服を選び終えるまで長い時間を有したということだけだった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。




