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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第1章 遺跡の攻略紀行
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第19話 チャン商会

評価していただきありがとうございます。

すごく励みになります。

「んー、もう朝か?」


 部屋の中が明るい。

 どうやら、朝になったようだ。

 でも眠い。

 今日は特にやることも無いはずだから、二度寝をしよう。


「ん、zzzz」


 俺は、腕の中に心地よい温かさを感じたまま、再び夢の中に旅立った。



「…キ、…な……い。」


 体が揺さぶられる。

 まだ眠いんだ。

 寝かせておいてほしい。


「ミ…キ、…きて…い!」


 しつこいな。

 昨日なかなか寝付けず、寝不足なんだから、静かにしてほしい。


「ん、ううん。」


 腕の中にいるフランも、その声にうるさそうにしている。

 ……腕の中?

 意識が急浮上する。

 目を開けると、すぐそばにフランの顔があった。

 俺の両腕はフランの体に回されており、フランの手も俺に抱きついている。


「ミツキ!いい加減起きてください!これはどういうことですの!」


 頭の上からシーナの怒鳴り声が聞こえる。


「…やあ、おはようシーナ。」


「おはようございます…じゃありませんわ!どうして2人が同じベッドで寝ているのですの。説明してくださいな。」


「うぅぅん、朝から騒いでどうしたんだい?」


 シーナの大声にフランも目を覚ます。


「フランさん!なぜ、ミツキのベッドにいるのですの!」


「ミツキのベッド?…ああ、昨日そのまま寝ちゃったのか。」


「そのまま!?一体お2人で何をなさっていたんですの?」


 なぜだか、シーナの顔が真っ赤になる。

 絶対勘違いしている。


「違うシーナ、何もしてない。一緒に寝てただけ。本当にそれだけ!」


 まるで、浮気現場を妻に見つかった夫のようないいわけだ。

 いや、浮気したことないから、単なる想像だけど。


「何もって、ひどいじゃないか、ボクのファーストキスをあげたのに。」


「き、キスですの!」


「ちょ、確かにしたけど。」


「しましたの!?」


 どんどん収集がつかなくなっていく。


「ミツキ!詳しく説明なさい!!」


 かくかくしかじか、シーナに昨夜のことを説明する。

 説明をするにつげ、シーナのボルテージが徐々に下がっていく。


「なるほど、お二人が同じベッドで寝ていた理由はわかりましたわ。ですが、き、キスしたとはどういうことですの?」


「それは、ボクからミツキへの宣戦布告だよ。」


「宣戦布告ですの?」


「うん、ミツキを絶対虜にしてみせるってね。」


 フランは最初からあまり遠慮がなかったが、さらに遠慮がなくなっているような気がする。


「そう、ですのね。そういうことでしたら、私は何も言いませんわ。」


 シーナはフランの言葉を聞き、思いの外あっさり引き下がった。


「えと、そのすまないな。」


「どうしてミツキが謝りますのよ。」


「あー、なんでだろう?」


「はあ、本当にもういいですわ。それよりも、着替えて食堂に行きません?私おなか空きましたわ。」


 俺たちはシーナの提案を取り入れ、着替えて食堂に向かうことにした。



 食事を終え、俺たちは宿を出た。

 今日はまず、奴隷商に行くことになっている。

 てか、昨日の夜、衝撃的なことがありすぎて、奴隷を買うのかどうするのか、まったく考えていなかった。

 

「こちらですわ。」


 シーナに案内されたのは、街中にある一際大きな建物だった。

 ギルドよりも大きく、他の商店と比べても規模が全然違う。

 それに、見た目も綺麗で、奴隷商という感じがしない。

 まあ、俺の知っている奴隷商は主に偏見が入っているのだが。


「こちらの商会は、奴隷以外にも日用品から武器防具まで取り扱う、ニースの町どころか、王国内でも有数の規模を誇る商会ですわ。」


 商会について説明しながら、シーナは扉を開け、店の中へと入っていく。


「これは、システィーナ様、ようこそいらっしゃいました。すぐに、主人を呼んでまいります。」


「いらっしゃいませ、奥の部屋にご案内させていただきます。こちらへどうぞ。」


 中に入ると、何名か燕尾服をきた従業員がおり、シーナが入ってきたのを見てすぐさま従業員が2人こちらにきた。

 1人は主人を呼びに行き、もう1人はVIPルームと思わしき部屋に俺たちを案内してくれた。

 椅子を勧められ、お茶と茶菓子まで提供された。


「お待たせしましたシスティーナ様、本日はどのようなご用件ですか?」


 すこし時間をおいて、1人の男性が部屋へとやってきた。

 執事服をびしっと着こなした、50代くらいのダンディー男性だ。

 やせ形で、歩き方や、目の使いかたから、そうとうな数の死線を潜り抜けてきたのではないかと思われる。

 セバスチャンという名が頭の中に浮かぶ。


「お久しぶりですわね。今日は私ではなく、こちらのミツキが用がありますの。」


「こちらは?」


 男性が値踏みするように俺のことを見てくる。


「私の婚約者ですわ。」


「なんと、てっきり、従者の方かと。大変失礼しました。私はこちらの商会、チャン商会の代表を務めております。セバス・チャンと申します。どうぞ、今後ともよろしくお願いします。」


 洗練された、話し方の間、お辞儀の角度、すべてが一番きれいに見える挨拶をされた。

 にしても、セバス・チャンって。


「俺はミツキ・ハルノです。考古学者をしながら冒険者をしています。こちらこそ、よろしくお願いします。」


「そちらの女性もお名前を伺ってよろしいですかな?」


「ボクはフランチェスカ。ミツキの第二夫人候補さ。普段は町はずれで鍛冶屋をやっている。」


「ほほう、ミツキ様は中々の度量をお持ちのようですな。して、本日はどのような御用むきですかな?」


 2人が俺の嫁候補と聞いて、感心したように頷くセバスさん。


「あーその、奴隷を見せてもらおうと思いまして。」


 買うと言い切れないところが、まだ俺の心が定まっていない証拠だ。


「奴隷ですか。どのような奴隷をお探しで?」


「戦えて、一緒に冒険が出来る奴隷をお願いします。」


「かしこまりました。それでは条件に合致する奴隷を紹介いたしますので、少々お待ちください。」


 そういうと、セバスさんは傍らにいた従業員に、二、三言話しかけると、従業員は部屋を出て行った。


「さて、ミツキ様とフランチェスカ様は当商会のご利用が初めてですので、奴隷の準備が整うまでに、説明させていただきたく存じますが、よろしいでしょうか。」


「お願いします。」


「当商会はこの町、ニースに拠点を置いており、王国内にいくつかの支店を持っております。もともとは日用品を取り扱う小さなお店でしたが、その後次第に業務を拡大させ、武器防具、服飾品、食べ物に奴隷まで取り扱う商店となりました。私自身はもともと冒険者をしていまして、その際に稼いだお金を元手にお店を持ちました。」


 やはり、セバスさんは只者ではないと思っていたが、冒険者であった。


「システィーナ様のお父様、アルバートとは冒険者時代に一緒にパーティを組んでおりまして、その頃からの付き合いになります。また、私もニースの町出身でして、その縁でこちらに本店を置いております。」


 なるほど、アルの関係者か。

 アルの顔の広さには脱帽だ。


「次に奴隷について説明させていただきます。奴隷は主人の所持品でありまして、人権はありません。首にマジックアイテムを付けることで主人の命令には絶対服従になり、主人を害する行動をとることが出来ません。また、主人は奴隷に衣食住を提供する義務がございます。さらに、故意に奴隷を殺害することも禁じられています。もし、奴隷が必要なくなったならば当店にお売りください。奴隷には奴隷税が王国より掛けられておりまして、主人がこれを払えない場合、奴隷の所有権がはく奪されますので、年1度忘れずにお納めください。もし、当店で奴隷をお買い上げいただければ、私たちが代理で税金の管理も行っております。」


 トントン


「失礼いたします。準備の方が整いました。」


 ちょうど奴隷についての説明が終わった段階で、従業員が戻ってきた。


「そうか、お待たせしました。ご案内させていただきます。」


 セバスさん直々に案内される。

 階段を上り、3階へ。


「こちら部屋に条件にあった奴隷を集めさせております。どうぞ、お入りください。」


 部屋には10名の女性が集められていた。

 20代から10代くらいの女性たちで、全員が白いワンピースのような服を着ている。


「こちらの奴隷たちは全員戦闘が可能です。また、全員処女でございますので、もし夜伽を申し付けましても病気の心配はございません。まあ、ミツキ様には必要ないと思いますが。」


「えーと、2人はどの人がいいと思う?」


 見ただけでは、よくわからないので、2人も意見を求める。


「ミツキの魔眼を使って、ステータスを確認すればいいのではないですの?」


 …そういえば、魔眼なんてものがあったな。

 左目に魔力を集中させ魔眼を発動。


「ほう。」


 セバスさんが感心したように俺の目を見てくる。

 それを気にせず、手前から順番に見ていく。

 1人目の女性はステータス普通、スキル普通。

 2人目も同じく、3人目は魔力が若干高く、魔法のスキルも持っているが、後衛はいらない。

 4人目、5人目も大したことはない。

 6人目に目が止まる。

 7人目、8人目、9人目、10人目の4人も魔法使いであったり弓使いだったりして、今回の戦力補充の目的には合致しなかった。

 奴隷たちは、俺に見られている間一言も言葉を発しなかった。

 きっときちんと躾けられているのだろう。


「どうですかな?御眼鏡に叶う奴隷はおりましたかな?もし気に入った奴隷がおりましたら、個別に面談できますが。」


「そうですね、6番目の彼女をお願いできますか?」


「かしこまりました。それより魔眼でございますか。流石は、システィーナ様が見込んだお方ですな。それほどの方を一目で見抜けぬとは、このセバス衰えたものです。おっと、これは失敬、すぐさま準備いたしますので、下の部屋にてお待ちください。」


「わかりました、下で待っています。」


 俺たちはその部屋から出て、最初にいたVIPルームへと移動した。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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