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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第1章 遺跡の攻略紀行
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第18話 お風呂回

書いてるうちに、フランの評価が自分のなかでどんどん上がっていくのを感じています。

 風呂の時間が長くなったので、2人が特にフランが先に入るように進めてきた。

 女の子だから、なるべくゆっくりしたいのだろう。

 そう思い、俺は先に風呂に入ることにし、湯船につかっている。

 しかし、どういうことだろう。

 脱衣所から声が聞こえてくる。


「ミツキ、失礼するよ!」


 脱衣所の扉が開かれると、タオルを巻いたフランが風呂場に入ってきた。


「その、失礼しますわ。」


 続いて、シーナもタオルを巻き、恥ずかしそうに入ってくる。


「ミツキ、背中を流そうじゃないか!」


 くそ、フランの言うことを、素直に聞いたさっきの俺を殴ってやりたい。

 フランは初めからこうするつもりだったのだ。

 出会ったときは裸を見られることを気にしなかったり、遺跡では恥ずかしがったり、今回また特に気にせず風呂場に入ってきたり、フランの考えていることがよくわからない。


「俺はすぐにでる!」


 流石にこれはヤバい。

 理性を持たせる自信がない。

 なにせ、嫁候補の女の子2人が、ほぼ裸で目の前にいるのだ。

 逆に、タオル一枚という格好は全裸よりエロいかもしれない。

 はだけそうではだけない。

 男の情欲を掻き立てる格好だ。


「お待ちになってください。お母様から、殿方の背中を流すのは女の役目であると教わりましたわ。」


 フランだけでなく、シーナまでやる気だというのは予想外である。

 てか、セレスさん娘にあまり変なこと教えないで!


「…わかった。背中だけだぞ。」


 観念して浴槽から上がり、備え付けられていた椅子に2人に背を向け座る。


「よし、ミツキ、出来るだけ後ろは向かないでくれ。」


「ん?なんでだ?」


「私からもお願いしますわ。」


「わかった。後ろは向かないようにするよ。」


 2人がどうしてそんなことを言い出したのかわからないが、とりあえず了承する。

 まあ、俺としても2人の姿が見えない方が、理性を失う可能性が減る。


「では、失礼するよ。」


「失礼いたしますわ。」


ぷにん、むにゅん


 温かく、柔らかいものが背中に当たる。

 どうやら、手で直接洗ってくれるようだ。

 ぬるぬると滑って気持ちがいい。


「フランさん、本当にこれでいいんですの?」


「もちろんさ、ミツキも気持ちよさそうじゃないか。」


 確かに気持ちいい。

 ものすごく。

 マシュマロのようにふわふわした感触が堪らない。


「ん、わかりました、っわ。ん、ふっっ、んんっしょ。」


「ふう、ん、やはり、ニース嬢の大きさにはんっ、かなわないね、っしょ。」


 2人の吐息がやけに近い。

 それに、背中に何か突起が当たっている。

 もしかして、これって、


「2人とも、なにで洗ってる?」


「何って、ん、決まってるじゃないか。」


「その、っっ胸、ですわ。殿方は、んしょ、これがうれしいのでしょう?」


「待て待て待て待て!ストップ、ハウス!」


 ヤバい、2人の息遣いと柔らかい胸の感触で、血が一点に集まっていく。

 嫌じゃない、嫌じゃないけど、俺には刺激が強すぎる。

 まるで、背中に全神経が集中しているかのように、2人の動きと共にこすれる感覚に、理性が溶かされていく。


「んしょ、ふしょ、どうだい、ん、ニース嬢ほど、大きくはないが、あっ、ボクの、精いっぱいさ。」


「私、うんんっ、こんなこと、あっ、するの、初めてですの。」


 2人が妙に色っぽい。


「ふ、2人とも、もう充分だ、俺はもういい!」


 これ以上は頭がどうにかなってしまいそうだ。

 顔が熱い。


「そうかい?ならあとは流すだけだね。」


 2人の肌が離れ、ちゃぷっ、という音がし、俺の背中がお湯で流される。


「その、流れましたわ。」


「ああ、ありがとう。じゃあ、俺は先に上がる!」


 2人の方を見ないようにしながら、急いで脱衣所に向かう。

 視界の端にチラリと肌色が見えたが、見えていないことにする。


 バタン


「ふう。」


 浴槽に続く扉を閉じ、一息つく。

 もう少しで取り返しがつかなくなるところだった。

 俺は2人のことは嫌いじゃない。

 少なからず好ましく思っているし、大事にしたいとも思う。

 だからこそ、流されてそのままではなく、俺なりの答えを見つけて2人には報いたい。


 体をふき、服を着て脱衣所を後にする。

 この火照った体を冷ましたい。


「おや、ずいぶん早いね?ゆっくり楽しんでくれていいんだよ?」


 部屋に戻る途中、女将さんに会った。

 女将さんはにやにやと笑みを浮かべており、風呂上がりの俺を見てくる。


「俺には荷が重いです。」


「男が何言ってんだい!男は度胸だよ。女の1人や2人相手にできなくてどうする?」


「ですけど…」


「あんたが2人のことを大事にしたい、って気持ちは見てればわかるよ。だけど、相手の気持ちもちゃんと考えてあげないとダメだよ。特に、エルフのお嬢ちゃん。ありゃあ、わかりやすいくらいにお前さんに惚れてるじゃないか。」


「フランが?」


 え、フランが俺に惚れている?

 嫌われてはいないと思ってはいるが、そこまで好かれているとも思えない。


「なんだい?気付いていないのかい?エルフのお嬢ちゃん、ずっと目であんたのこと追ってるよ。ありゃあ、恋する乙女って瞳だよ。わかりやすいったらありゃしない。本人は無意識かもしれないがね。」


 確かに、遺跡に行って以降、フランと目が合う回数が増えた気がしていた。

 だけど、ただの偶然だと思っていた。


「だから、あんたも真剣に考えてやらないとダメだよ。あんたらの関係がどういうものかは知らないが、きちんと自分の気持ちを整理することだね。それじゃあ、私はまだやることがあるのでね。まあ、少年よ悩みたまえ。」


 俺をさんざん悩ませるようなことだけを言い残し、女将さんは去って行った。

 そこで茫然としているわけにもいかず、部屋へと戻る。

 部屋に戻ると、真ん中のベッド‐気づいたら、俺が使うベッドは真ん中になっていた‐に腰かける。

 先ほど、女将さんが言っていたことが俺を混乱させる。


(フランが俺に惚れている?いや、でもそんな…)


 同じ問いかけを頭の中で何度も、何度も繰り返す。

 ばふっ、とベッドに寝転がる。

 2日ぶりのベッドだ。

 心地いい。

 それよりも今はフランのことだ。

 俺はどうすればいいんだろう。

 これまでの人生で、異性に素直に好意を向けられた経験などほとんどない。

 朔夜は妹だからノーカンである。

 逆に、俺に好意を向けている女子に対し、朔夜が防波堤の役目をしていたのかもしれない。

 しかし、ここには朔夜はいない。

 それに、フランだけでなく、シーナのことも考えなければいけない。

 本当、俺はどうすればいいのだろう。


「戻しましたわ。」


「戻ったよ。」


 そんなことを考えていると、2人が風呂から戻ってきた。

 風呂上りで、髪が濡れたり、服が若干張り付いていたりと、なんとも艶めかしい。

 お風呂で事や、女将さんから言われたことを思い出し、顔が熱くなる。


「ああ、お帰り。」


 それでも、平静を装い、返事をする。


「ミツキ、どうだった?」


「気持ちよかったですの?」


 2人が風呂でのことを聞いてくる。

 2人の顔も赤く、勇気を出してしてくれたのだろう。


「正直に言うと、ものすごく気持ちよかった。」


 だから、俺もそんな2人の気持ちに応えるため、自分の気持ちを素直に伝える。


「そうか、ならボクらも頑張ったかいがあったよ。」


「本当ですわ。恥ずかしいのを我慢したかいがありますわ。」


 やはり、2人にとっても恥ずかしいことだったのだろう。

 俺はこんな美少女にあんなことをしてもらえたんだと思うと、また血が集まってしまう。


「今日は疲れたし。もう寝ようぜ。」


 ごまかすように、布団にもぐる。


「そうだね、ボクも久しぶりの冒険だったからね。」


「私も睡魔にあらがえそうにありませんわ。」


 2人は特に訝しむ様子もなく、フランが入り口側、シーナが窓側のベッドに潜り込む。

 フランは布団に入る前にランタンを消し、部屋が暗くなる。




 それから、30分ほど時間が経ったが、俺は気持ちが高ぶって眠れずにいた。

 シーナからは規則正しい寝息が聞こえてくる。

 きっと、初めての冒険で疲れていたのだろう。


「ミツキ、まだ起きてるかい?」


 眠れずに何度か寝返りをうっていると、まだ寝ていなかったのか、フランが小声で話しかけてきた。


「ああ、ちょっと、寝付けなくてな。」


 俺も小声で話し返す。

 部屋が暗いため、フランの姿はわからない。

 俺、本当にフランに好かれてるのかな?

 フランに話しかけられたことで、女将さんの言葉がよみがえってくる。


「ねえミツキ、そっち行ってもいいかな?」


「ああ。…?」


 少し考え込んでしまったことで、生返事を返してしまった。

 もぞもぞという音が聞こえ、俺の布団の中に誰かが入ってきた。


「おおううぇぇい!」


「しっ!ニース嬢が起きてしまうよ。」


 つい口から変な声が漏れた。


「いや、えっ、えっ?」


 絶賛混乱中である。

 一体この状況はどういうことだ。

 すぐそばから、フランの若草のような香りがする。


「あー、ミツキの匂いだ。うん、落ち着く。」


 ぎゅっと、フランが俺を抱きしめてくる。

 その段階に至り、俺はフランの体が小刻みに震えていることに気付いた。


「フラン?」


「そのね、布団に入って目を閉じたら、あの時のことを思い出してしまってね。」


 あの時、っていうのは遺跡でのことだろう。


「大丈夫か?」


 なるべく優しい声でフランに尋ねる。


「その、ミツキさえ嫌じゃなければ、ボクを抱きしめてくれないか。」


 何も言わず、フランを抱きしめる。


「あっ、」


 フランの口から、安心したかのような声が漏れる。


「ボクも冒険者だからね、ああいった事になるかもしれないという覚悟はしていた。だけど、いざオークに犯されそうになった時は、本当に怖かった。怖くて怖くて、だけど、何も出来なくて。」


 静かにフランの言葉に耳を傾ける。


「自分が情けなくて、怖がることしかできなくて、もうダメだと思った。このままボクは犯されて、オークの苗床になって一生を終えるんだって。」


 苗床になって一生を終える。

 男の俺には分からない恐怖だ。


「だけど、あきらめかけたボクを君が助けてくれた。大丈夫だって抱きしめてくれて。君もぼろぼろだったのに、オーガを倒して。君に抱きしめられながら、ボクはすごく安心した。」


 フランの独白は続く。


「安心して、みっともなく泣いてしまった。君にすがってしまった。君の腕の中がボクの居場所のような気がして、年甲斐もなく。」


「いや、歳って。」


 確かにフランはエルフで、長寿である。

 だけど、俺にとってはただの女の子にすぎない。


「その時ね、ボクは気付いたんだ。ボクは君のことが本当に好きなんだって。」


「うぇっ!」


 フランのいきなりの告白に、またまた変な声が出てしまった。


「ニース嬢には悪いとは思ったけど、君にはボクの気持ちを知ってほしい。ボクは君が好きだ。」


 女将さんの言う通りだった。

 だけど、突然すぎる告白に言葉が出てこない。


「なに、すぐに返事をくれなくてもいいさ。だけど、ね、…んちゅ」


「ん!!!」


 フランの顔が目の前にある。

 俺の唇は、フランのものでふさがれている。

 フランの鼻息がくすぐったい。


「んっふ、ぷはっ、ボクのファーストキスだよ。ボクは君を落とすために頑張るから、覚悟してくれたまえ。」


 それだけ言うと、フランは恥ずかしいのか、抱きついたまま俺の胸に顔をうずめてしまった。

 顔は見えないが、エルフ特有の長い耳が真っ赤に染まっている。

 俺は混乱しすぎて、なにがなんだかもうわからなくなっていた。

 それから少しして、フランが寝息を立てていることに気付いた。

 おもいっきり、抱きしめられたまま。


(ちょ、えっ、これ、動けない。)


 フランに抱きしめられているため、その柔らかさ、香り、吐息といったフランを構成する要素が余すことなく全身で感じ取れる。

 なんていう生殺し。

 俺はそのまま、眠れぬ夜を過ごすことになった。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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