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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第1章 遺跡の攻略紀行
18/45

第17話 ナンチャッ亭

本当は前話をこの時間に投稿するつもりが、間違えて中途半端な時間に投稿してしまった。

なので、昨日は3話投稿になりましたが、基本的には1日に1~2話投稿になります。

 そしてやってきましたナンチャッ亭。

 そこにはボロボロの廃墟のような建物があった。


「…ここでいいのか?」


「ですが、看板にはナンチャッ亭と…」


「何、こういう宿も楽しくていいじゃないか。」


 唖然とする俺とシーナに対し、フランはそのボロボロさが逆に気に入ったようで、わくわくしている。


「てか、フランは自分の家があるんだから、わざわざ宿屋に泊る必要ないんじゃないか?」


「ボクだけ仲間外れにするきかい?」


「まあ、フランがいいならいいんだけど。」


 とりあえず扉に手を掛ける。


「おや、見ない顔だね?」


 中に入ると、そこは外見とは似ても似つかないくらい綺麗であった。

 そして、中には恰幅のいいおばさんがいた。


「えーと、今日泊まりたいんですけど、部屋は空いていますか?」


「なんだい、あんたら客かい?よくこんな宿に入ってくる気になったね!」


「ギルド長に紹介されました。」


「ババ様の紹介か。なら、最高のもてなしをしてやらんとね。私はこの宿の女将でマリー。女将とよんどくれ。部屋は3人部屋でいいかい?」


「いえ、1人部屋…」


「「いいですわ(構わないよ)。」」


「あいよ、3人部屋だね。ご飯はどうする、泊まるだけなら1人一泊銅貨20枚、二食つきなら銅貨30枚だよ。」


「どうする?」


「二食つきでいいのではなくて?」


「とりあえず、三泊くらいで平気だと思うよ。」


「三泊食事つきでお願いします。」


「あいよ、270Xのところを、ババ様の紹介だから250Xにまけとくよ。夕食は18時から22時の間、朝食は6時から9時の間だよ。」


 銀貨2枚、銅貨50枚を取り出し、女将に払う。


「部屋は305号室、三階の突き当りの部屋だよ。もし、お風呂に入りたかったら今のうちに教えておくれ。風呂は宿泊者で共同だから、時間を決めて入ってもらうことなってるんだ。1人につき30分だけどね。まあ、そこそこ大きな風呂だから、パーティで2時間借りる冒険者もいるよ。」


「そうですわね、何時頃が空いてますの?」


 シーナは風呂に乗り気である。

こちらの世界、風呂に入る習慣はあまりなく、貴族や王族が風呂を持つ程度で、庶民にはあまり縁がない。

しかし、ニースの町は温泉が出るのだ。

そのため、お風呂に入ることが一般的なっている。

ニース邸にも大きな風呂があった。


「今ならいつでも平気だよ。」


「でしたら、20時ごろお願いいたしますわ。」


「わかったよ。お二人さんはどうする?」


「ボクは別にいいかな?」


「いけません、フランさん。女性なのですから。フランさんは私と一緒でいいですわ。」


「あいよ、坊やはどうする?坊やも2人と一緒かい?」


 にやりと、笑みを浮かべながら聞いてくる。


「いや、それは…」


「そうですわ、流石に…」


「ふむ、折角だからそうしよう!女将、20時から1時間30分で頼む。」


「あいよ、あんまりヤリすぎて風呂で倒れるんじゃないよ。こいつが部屋の鍵さ。私は夕食の準備があるから、用があるなら厨房に声かけておくれ。大変だろうけど頑張りなよ、お兄さん。」


 俺に対する呼称が坊やからお兄さんに変わった。

 絶対女将さん、変な勘違いしている。

 とりあえず、部屋に向かう。

 風呂は一緒に入らなくとも、俺が2人の後に入れば問題ないだろう。


「へえ、部屋も立派だな。」


「本当ですわ。どうして外見はあんななんですの?」


「きっと女将さんなりのこだわりがあるんだよ。」


 部屋の広さは12畳ほどで、ベットが並んで3つあり、クローゼットも備え付けられていた。

 部屋の中央にはテーブルと椅子もある。

 クローゼットは魔法の袋のおかげで必要ないけれど。


「とりあえず、今日の報酬を渡すよ。」


 俺たちは椅子に腰かけ、テーブルを囲んだ。


「1010940Xだから、1人頭336980Xか。」


「いえ、オーガを倒したのはミツキですし、そんなにいただけませんわ。」


「そうだね、ボクたちは金貨1枚で十分だよ。」


「いや、でも2人がいたから、オーガを倒せたのであって…」


「ミツキ、それは違うよ。ボクとニース嬢はあの時何も出来なかった。君がいなかったら、今頃はオークの苗床さ。君がいたからこそこうして無事にニースの町に戻ってこられたんだ。ボク達がいたからオーガを倒せたんじゃない。君がいたからオーガを倒せたんだ。」


「そうですわ。オーガ討伐は実質ミツキ1人で行ったものですわ。」


「いや、でもな…」


 金貨1枚じゃ、流石に少なすぎる。


「ミツキ、この国では強いものこそが報酬を受けるのですわ。それが強き者の特権ですの。ミツキは堂々と報酬をいただけばいいのです。」


「わかった、2人がそこまで言うなら、2人には金貨1枚ずつ渡す。だけど、もしお金が足りない時は言ってくれ。」


 袋から金貨を2枚だし、2人に渡す。

 2人もそれを受け取り、袋へとしまった。


「しかし、この大金どうしよう…」


 金がありすぎて使い道が思い浮かばない。

 1億だ。

 家でも買うか?


「奴隷を買ったらどうだい?今回3人でパーティ組んで思ったんだが、ボク達のパーティはバランスが悪い。ミツキは前衛、ニース嬢とボクが後衛、僕らは2人とも剣が使えるとはいえ、基本的には魔法を使って戦う。今回、危機に陥ったのは前衛が足りないせいだとボクは分析している。」


「そうですわね、剣で戦いながらですと、詠唱うまくいきませんし、前衛は必要ですわ。」


「なら、わざわざ奴隷なんて買わず、普通に冒険者でいいんじゃないか?」


 奴隷制があることは知識として知っているが、買うことには抵抗がある。


「ボク達、とくにミツキは特殊だ。迷い人であるからね。このことを他の冒険者に知られるのはあまりよくない。だから、冒険者をパーティに迎えるより、奴隷を買った方が情報が漏れる心配が少ない。」


 フランの言うことにも一理ある。

俺が異世界人であることはなるべく知られたくない。

他の冒険者とパーティを組むと、それが露呈してしまう可能性がある。

しかし、奴隷であれば主人に害を与えることは出来ず、主人には絶対服従である。

そのため、情報漏えいはまずない。


「まあ、ボクとしては無理強いはしない。ただ、明日にでも一度奴隷商に行ってみよう。それからでも、遅くはないからね。」


「奴隷商でしたらニース家で懇意にしているところがありますわ。」


「わかった。とりあえず、奴隷商には行く。買うかどうかはその時までに決めるよ。」


 戦力増加は図りたい。

 そうすれば、危険が減る。

 かといって奴隷はやはり抵抗感がある。

 まあ、明日見てから考えればいいか。


 奴隷に関する話はそこでやめ、俺たちは今後のことについて話し合った。

 その結果、東の遺跡を探索することになった。

 出発は1週間後にして、それまでは休息や準備の時間に充てることにする。


 そうやっていろいろ話していたらすっかり外が暗くなっていた。

 この世界には魔法で作られた時計があり、それによって時間がわかる。

 現在は19時、夕食を食べるにはいい時間かも知れない。


「話はこれくらいにして、そろそろ夕食にしないか?」


「そうですわね、おなかもすきましたわ。」


 俺たちは部屋をでて、階段をおり1階にある食堂へ足を運んだ。

 食堂には何名かに冒険者がおり、食事をしていた。

 俺たちは空いている席に着く。


「宿泊者の方ですか?鍵を見せてください。」


 すると、すぐに明るい女の子がやってきた。

 従業員の子だろうか。

 その子に鍵を見せる。


「ありがとうございます。すぐに準備しますね。」


 鍵を見た女の子はそう言い残し、厨房へ消えていった。


「お母さん、305号室のお客さんの料理お願い!」


 厨房から女の子の声が聞こえてくる。

 女将さんの娘だったのか。


 それからすぐ、料理を持った女将さんが姿を現した。

 娘さんは他の席の片づけをしている。


「お待たせ。今日は特別に当宿名物の、海鮮づくしナンチャッ亭スペシャルだよ。」


 テーブルと同じくらい大きなお皿に盛られた魚料理。

 煮つけに刺身、焼き魚にカルパッチョ、たたきにすり身を茹でたもの、たくさんの料理が出て来た。

 魚づくしである。


「足りなければおかわりあるから、遠慮なくいいな。」


 そういうと、女将さんは厨房に戻っていった。


「これはすごいね。」


「そうですわね。全部食べきれますの?」


「いけるだろう?いただきます。」


 まずは刺身を一口。

 醤油がないので、塩を付けるのだがおいしい。

 次に煮つけ。

 これも味がしっかり染み込んでいてうまい。

 白米が欲しくなる。

 この世界にも白米はあるそうなので、いずれ手に入れたい。

 フランの店の周りの荒地を開拓して、水田にするのもいいかもしれない。


 料理はどれもおいしく、食べきれるか不安と言っていたシーナもよく食べていた。

 30分ほどで、皿は空になった。

 満腹である。


「お客様、こちらお風呂のカギになります。」


 俺たちが食べ終わったのを見計らって、娘さんが風呂のカギを渡しに来てくれた。


「今日は他の宿泊者の方はお風呂を使用しないそうなので、母が22時までなら自由に入っていいと言ってました。それと、お楽しみくださいって。」


 女将さん、娘になんてこと言わせているんだ。


「ありがとう。女将さんに料理とてもおいしかったって伝えてくれ。」


「わかりました。お母さんも喜びます。では、」


 ペコリと会釈をし、娘さんは去っていった。

 俺たちも、食堂を後にし、部屋へと戻った。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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