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考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第1章 遺跡の攻略紀行
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第16話 神と魔法

10000PV達成!

今回から少し書き方を変えてみました。もし見づらかったりしたら、コメントお願いします。

 声のした方を向くといつの間にか、ばあちゃんが解体小屋にいた。


「大長老様、お久しぶりです。」


 かしこまった様にフランが頭を下げる。あっ、ルルってフランのことだったのか。


「子供の成長は早いものだね。この間までひょいっこだったルルがこんなに立派になって。」


「大長老様、ボクが冒険者になったのは80年近く前ですよ。」


「ふぉふぉ、そうじゃったか?」


 流石エルフ同士、文字通り次元が違う。


「ギルド長、部屋におられたのでは?」


「何、外から悲鳴が聞こえて下に降りてみたら、メルティ、お前さんが3人をここに連れて行くのが見えたものでね。それにしても、よくオーガを倒せたものだね。」


「死に掛けましたけどね。」


「それでも、生きて帰った。それが全てじゃ。メルティ、ここは頼んだぞ。」


「かしこまりました。」


 ばあちゃんが小屋から出ていく。


「何をしているのですか?ギルド長について行ってください。」


 メルティさんに促され、ギルド長の後を追う。

前回も入った2階の部屋へと通された。


「それで、わしに話があるのじゃろ?」


 俺は、遺跡ににあった暗号についてばあちゃんに伝えた。『世界を知れ、そして、世界をつかめ、さすれば道は開かれる。』ってやつだ。それと宝石のことも。


「ふむ、7は魔法の属性、13は神に対応しておるのではないかの?」


「あ、あー!なるほど、そういうことか。」


 ばあちゃんの話を聞き、フランは納得したようである。


「そういうことでしたの。」


 シーナもわかったようである。


「どういうことだ?」


「ふぉふぉ、ミツキは異世界人じゃからの。ルル、この世界の成り立ちについて説明してみないさい。」


「はい、大長老様」


 その後のフランの説明は次のようだった。

この世界を作ったのは14柱の神で、7組の夫婦であった。

神たちは世界を作り終えると、世界を見守ることにした。

けして、世界に干渉することがなく、それが神たちの暗黙の了解となった。

そんなとき1柱の男神が世界を滅ぼそうと考えた。

もちろん、残りの13柱は反対した。

しかし、男神は彼らと袂を分け、世界を滅ぼすため、魔族を作り出した。

魔族の猛攻はすさまじく、多くの命が魔族との戦争でなくなった。

それでも13柱の神たちは世界に干渉することはなかった。

自分たちがこれ以上世界に干渉すると、本当に世界が破滅しかけないからだ。

しかし、男神は魔族にどんどん力を与えていき、戦争はどんどん激化し、とうとう、人類、魔族ともに力尽きてしまった。

男神はこの時を待っていたと言わんばかりに姿を現し、世界を破壊しようとした。

だが、それに気付いていた13柱は姿を現した男神を自分たちの基に引き寄せ、封印することに成功した。

世界は疲弊し、文明は破壊された。

それでも、人類はあきらめることなく、自らの力で立ち上がった。

それを見た13柱は人類に祝福を与えた。

夫婦の神たちが火・土・水・風・光・闇の魔法を生み出し、夫を亡くした女神は無の魔法を作り出した。

魔法による文明が誕生したのである。

それから、13柱の神は世界に干渉することなく、世界も人類と魔族の小競り合いはあるものの、比較的安定して現在まで続いてきた。


「なるほどな。ということは、あの扉を開けるには、全属性の魔法を覚える必要があるのか。」


「いや、それならば、ボクがあそこに行った時に開かないとおかしい。きっと、各属性の特殊な魔法を覚える必要がある。」


 そういえば、フランは全属性が使えるのだった。

これは、あの遺跡を探索するのは骨が折れそうだ。


「各地には魔法の記された遺跡があると聞く。ミツキや、もしかしたら他の遺跡にヒントがあるやもしれんな。」


「ありがとうばあちゃん。進む先が見えたよ。」


 目標はあの遺跡の扉を開けること、手段はこの世界の遺跡探索。

世界中を旅する必要がある。


「なに、このババの話し相手になってくれるんじゃ。気にせんでいい。」


トントン


「ギルド長、ニース卿がお見えになりました。」


 ノックと同時にメルティさんの声が聞こえてきた。

どうやら俺たちの査定は終わったようだ。


「失礼します。」


メルティさんがアルとセレスさんを連れて部屋に入ってくる。


「セレスや、あの冒険者たちはどうしたのじゃ?」


「殺してはいません。アルに止められたので。変わりにもう二度とあのようなことがないように、徹底的に調教してやりました。久しぶりに魔法を思いっきり使えてすっきりしました。」


 さわやかな笑顔でセレスさんがそう言った。

マジでこの人怖い。調教ってなにしたんだよ。


「相変わらず過激な奥方だね。」


「ミツキ、絶対にお母様を敵に回してはいけませんわよ?」


「うん、わかってる。」


 小声でシーナが注意を促してくれる。

注意されなくても、誰がわざわざ虎の尾を踏むものか。


「ハルノ様、こちら今回の報酬になります。確認お願いします。」


 職務に忠実メルティさん、俺にお金の入った袋を渡してくる。

今回は前回より軽い。

袋を開けると白金貨1枚と金貨が1枚入っていた。

101万X、円換算で1億100万円だ。

銀貨と銅貨も数枚入っているが、そんなものはどうでもいい。


「はっ?」


「詳しくご説明させていただきます。まず、オーガの討伐報酬がこちら30万Xになります。ジェネラルオークは8000X、その他の魔物が2560Xになります。次に、素材に関してですが、オーガがほぼ完全であり、また鬼化のまま絶命しておりましたので、こちらの買い取り額が69万X、ジェネラルオークの素材は6000X、他が4380Xとなり合わせて1010940Xになります。」


「なんだ?お前らオーガ倒したのか?」


 俺が渡された金額に絶句していると、アルが話しかけてきた。


「ええ、お父様。ミツキがオーガを倒しましたのよ。」


「そいつはすげーじゃねえか。俺も現役の頃オーガとやったことあるが、あん時は40人で何とか倒せたもんだぜ。その時かなりの報酬もらったが、もうオーガとは対峙したくないと思ったもんだ。」


 やはり、オーガの討伐報酬は高いのか。

それよりも、オーガの素材の買い取り価格にびっくりである。

しかし、こんな大金渡されても、使い道が思い浮かばない。


「とりあえず、これは3人で分けるとして、メルティさん、両替ってお願いできますかね?」


 それでも一人当たり3000万円。向こうにいたら稼ぐのがどれだけ大変な額か。

まあ、普通は30人くらいで倒すのを3人で倒してしまったのだ。

金額が大きくても仕方があるまい。


「かしこまりました。少々お待ちください。それと、ギルドカードをお返ししておきます。今回の討伐で、ハルノ様はCランク昇格です。本来であれば昇格の際適正試験がありますが、ギルド長の承認により免除になります。また、ニース様はDランクに昇格となります。お二人とも、おめでとうございます。」


 メルティさんは俺たちにギルドカードを返し、両替のため部屋から出ていく。

それにしてもどういうことだ、いきなり4ランクアップとか。


「ふぉふぉふぉ、ミツキは危険度A討伐2体じゃからの。それに、ランクが高い方が今後旅をするならば、いろいろと便利じゃからの。本当ならば、Aランクにあげたいところじゃが、あまり急激にあげると注目を集めてしまうからの。それはミツキの本意ではあるまあい?」


 なるほど、ばあちゃんの計らいか。ばあちゃんには頭が上がらない。シーナもDランクに昇格か。

初心者2人なのにランクだけならベテラン冒険者だ。

まあ、初心者と言わなければ他の人にはばれないので問題はない。

冒険者のルールはフランに教えてもらえばいいし。


「それで、アル坊たちはどうしたのじゃ?ミツキたちには席を外してもらったほうがいいかい?」


「いえ、いずれ俺の息子になるのです。問題ないでしょう。」


「なんと、ミツキとシーナがか?」


「はいですわ、お婆様。」


 ばあちゃんが目を見開く。はじめてばあちゃんの驚く顔を見た気がする。


「それだけではないわ。ミツキさんはフランさんも囲うそうよ。」


「ルルまでもか?」


「ええ、ボクはミツキの第二夫人になります、大長老様。」


「なんともまあ、あのルルまでもが…わしも歳をとったの。」


 俺的にはエルフと人族の結婚て、ファンタジー世界だと許されないよなー、なんて思っていたのだが、ばあちゃんの表情を見る限り問題なさそうだ。

ばあちゃんは孫の結婚を喜ぶ、祖母のような温かい眼差しでフランを見ている。


「それで、ギルド長、話を戻させていただきます。」


「おおそうじゃった。して、話というのは?」


 話が元に戻る。


「はい、皇国で勇者召喚の儀の準備がされていると、先ほどあいつから情報がありました。」


「なるほどのう。キル坊の情報ならば間違いあるまい。」


 あいつとキル坊が誰を指すのかはわからないが、聞き捨てならない言葉が飛び込んできた。


「勇者召喚だと…」


 思わずつぶやいてしまうほどに。


「なんだ、ミツキも知っているのか?」


「いや、その…」


「ふむ、2人ならわしは大丈夫だと思うぞ?」


 異世界人のことを話すのか、アルとフランさんなら話しても問題ないとばあちゃんは言う。


「お父様、お母様、ミツキは過去の勇者と同じく、別の世界から来たのだそうですわ。」


「「マジか!(そうなの?)」」


 ニース夫婦が驚きの表情を浮かべる。


「ならあれか、ミツキは勇者ってことか?」


 流石親子、シーナと同じ反応だ。


「いや、俺がこの世界に飛ばされたのは偶然だそうだ。黙っていて悪かったな。」


「なに、そんなことホイホイと人に話せることじゃねえ。黙っている方が正解だ。それに、異世界人だろうが、俺の息子になるのにはかわりねえ。」


「私は、ミツキさんがシーナを悲しませさえしなければ、異世界人だろうが魔族であろうが気にしません。悲しませた時には容赦しませんが。」


「…ありがとう。」


 思わずグッと来てしまった。そして、セレスさんの最後の言葉にはゾクッときた。


「皇国が勇者を召喚するか。そうなると、およそ半年後に世界が揺れるの。」


 皇国、フロレンス王国の北部に位置するサンティス皇国。

宗教国家で13柱の神を絶対とし、国を治める法皇はあくまで神の代弁者に過ぎないという立場をとる国。

神から与えられた魔法こそ至高のものであるとしており、大陸の中で最も魔法の研究が盛んな国でもあり、優秀な魔法使いが多い国でもある。

また、国の中央にはセントラルタワーと呼ばれる遺跡があり、その遺跡を攻略することが神からの試練であると考えられており、冒険者も多く活躍している。


「ギルド長は勇者召喚が行える正確な日がわかるのですか?」


「細かな星の位置はその時になってみなければわからん。ただ、早くても6か月後、遅くとも8か月後じゃ。」


「ありがとうございます。急ぎ、あいつに伝えておきます。」


「うむ、そうしてくれ。」


「では、これで失礼します。」


 足早に、アルが部屋を後にする。

 やっぱ、貴族って大変そうである。


「私も失礼します。それとシーナ、あなた冒険者になったのだから、泊まるところは自分で見つけなさい。必要なものを家に取りに来てもいいけど、泊めないからね。」


「わかっていますわ。」


「そうならいいの。ミツキさん、娘をよろしく頼むわね。」


「はい、シーナは俺が絶対に守ります。」


「ふっふっ、頼もしいわ。それでは。」


 俺の返事を聞き、セレスさんも部屋を後にした。


「失礼します。」


 入れ替わるように、メルティさんが入ってきた。


「ハルノさま、こちら金貨100枚になります。」


「ありがとうございます。」


「いえ、仕事ですので。それでは、まだ業務がありますので。」


 クールだ。

 すぐに業務へと戻って行ってしまった。


「ミツキたちもそろそろお行き。今日、宿を探すなら、ナンチャッ亭がお勧めだよ。」


 なんだよ、ナンチャッ亭って。

 だが、ばあちゃんのおすすめなら問題ないだろう。


「そうか、助かるよばあちゃん。ありがとな。」


「それでは、私たちも失礼しますわ。」


「お力を貸していただきありがとうございます、大長老様。」


 俺たちはばあちゃんにそれぞれ挨拶をするとギルドを後にし、ナンチャッ亭に向かった。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

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