第14話 遺跡の謎解き
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小説を投稿してから一週間で、多くの人に読んでもらえて、とてもうれしいです。
冒険者たちを襲っていた20体のオークは、俺と冒険者たちによって討伐された。冒険者たちも襲われてすぐは対応が上手くいっていなかったが、俺が参戦したことにより、オークたちの戦力が分断され、次第にその数を減らしていき、10分後にはそのすべてが屍と化していた。
「助かったよ。急にオークたちに襲われて焦ってしまって、あやうく全滅するところだった。俺はカイル、Dランクの冒険者でパーティ「ソードダンス」のリーダだ。」
そう名乗ったのは茶色の髪をした剣士の男だった。好青年といった感じで、第一印象は悪くない。戦闘の際には両手剣を使用していた。パーティ名がソードダンスというだけあって、他の3人の装備も剣である。
「俺はミツキ、得物を横取りしたと思われなくてよかったよ。」
「いや、本当助けて貰えてよかった。Dランクと言っても、2週間前にランクが上がったばかりだったんだ。君のランクはいくつなんだい?かなりいい腕をしているじゃないか。それに、ソロでここにいるだなんて。」
「あー、俺はソロじゃないんだ。仲間はこの先の遺跡の中にいる。俺としては早めに合流したい。」
シーナとフランが遺跡にいるので、できれば早く戻りたい。この短期間で危険度Aの魔物が2体も出るような森だ。オーガを倒したとはいえ安心はできない。
「そうなのか、わかった。俺たちもついて行っていいのかな?お礼もしたいし。それと、ぶっちゃけ僕たちだけだとこの森は、難易度がね。」
苦笑するカイル。他の3人も申し訳なさそうにしている。
「俺は別にかまわない。」
俺は4人を連れて遺跡に向かう。移動中に他の3人にも自己紹介された。もう1人の男、群青の髪をし、戦闘で曲刀を使っていたのがオットー、片手用直剣を使っていた女の子がレイン、レイピアを使っていた女の子がサニー。2人は髪の色がこげ茶で、顔立ちも似ている。そっくりだ。聞いたところによると、親戚とのことだ。4人は皆同じ村出身で、12歳になったのを機に冒険者をめざし、5年かけてようやくランクDに上がったのだそうだ。
「「ミツキ無事でしたの(だったかい)?」」
遺跡に戻ると、外された装備をきちんと装備しなおした2人に出迎えられた。
「ああ、大丈夫だ。彼らがオークに襲われていたパーティ、ソードダンスの冒険者で、右からオットー、カイン、サニー、レインだ。」
「私はシスティーナ・フォン・ニースですわ。よろしくお願いいたしますわ。」
「ボクはフラン。見ての通りエルフさ。」
互いに自己紹介をする。4人はシーナの名前を聞いて大層驚いていた。彼らはニースの町に冒険の拠点を置いており、シーナのことを直接目にするのは初めてだが、その名を聞いたことはあったそうだ。
「それより、なんなんだいこの惨状は?」
遺跡の中に散らばった、オークの死体を見てカインが顔をしかめた。まあ、遺跡のなか血まみれだからね。
「俺たちは遺跡でオークと闘ったんだよ。たぶん、ここを住処にしていたんだろうな。」
「なるほどなー、ってジェネラルがいるじゃないか!」
「ねえ、あれってオーガじゃないかしら…」
「マジか?うわっ、マジでありゃあオーガじゃん。」
ソードダンスのメンバーはジェネラルとオーガの死体にも気付いた。丁寧なしゃべり方がカイン、砕けた話し方はオットーである。サニーとレインは似すぎていてどっちがどっちだか良くわからない。腰にレイピアを挿しているからサニーか。
「あれ、あなたたちが倒したの?」
今度はレイン。武器でしか本当に見分けがつかない。双子じゃなくて親戚ってことが、信じられない。
「オーガの方はボク達というより、ミツキが一人で倒していたけどね。」
「私はその時、気を失っていたので、よく知らないんですの。」
「「「「……………」」」」
4人がなんとも言えない表情で俺を見てくる。
「いやいや、あれはシーナとフランの助けがあったから倒せたんだよ!それに、オーガも油断していたし。」
「しかし、左腕複雑骨折、内臓破裂状態でオーガにとどめをさすとか、普通は不可能だよ。ボクとしては君のその異常性に興味津々だよ。」
そういえば、2人にも俺の本来のレベルやステータスを教えていなかった。あんな死に掛けの状態であるのに、体はちゃんと動くし、チートさまさまだ。
「それに、その傷も回復魔法ですぐに全快させ、ボクとニース嬢にも回復魔法をかけてくれただろう?」
「そういえば、目が覚めたときやけに体が軽かったですわ。あれはミツキのおかげでしたのね。というか、回復魔法使えましたのね。」
「あれっ?それも言ってなかったっけ?」
「聞いていませんわ。」
そうだったか。アルさんとギルドで回復魔法について話していたから、シーナにも話したものであるとばかり思っていた。決して、元の世界に魔法がなかったからって、回復魔法の存在を忘れていたわけではない。
「ミツキはあのレベルの剣術が使えるのに、回復魔法まで使うのか、すごいじゃないか。」
感心したように、カインが俺をほめてくる。
「そういえば、まだあなたのランク聞いていなかったわ。」
思い出したようにレインが言う。
「俺か?俺はGランクだ。」
「「「「はっ?」」」」
ありえないものを見たように俺のことを見てくる4人。
「いや、ありえねー、あの強さでGランクとか、マジでねえよ!」
「俺、4日前に冒険者になったばかりだからな。シーナに至っては昨日冒険者になったばかりだし。」
俺とシーナは冒険者としては初心者中の初心者、駆け出しである。
「え、それでこの森に来ているの?あなたたち正気?」
この森の適正ランクはD。駆け出しの冒険者などがくる場所ではない。呆れたようにサニーに言われた。
「この遺跡に用があったんだよ。それに、フランはAランクだしな。」
「「「「Aランク!!!!」」」」
今度は驚いたように4人がフランを見る。
「Aランクと言っても、ボクは30年ほどブランクがあるけどね。全盛期ほどの勘は働かないよ。」
「なんなのよ、この3人。おかしいわよ。」
「サニー、言いたいことはわかるけど、それを本人たちに言っちゃ…」
「それよりミツキ、ここを綺麗にしないかい?」
「そうですわ。とりあえずオークたちを片付けましょう。」
俺たち3人は手分けしてオーガとオークを魔法の袋にしまっていく。何匹か、息のあるオークたちもいたがとどめをさし、その命を奪う。遺跡の中がすっきりした。
その間、ソードダンスのメンバーは何か相談事をしていた。
「ミツキ、お願いがある。ニースの町まで俺たちを同行させて欲しい。」
話し合いの末、袋にオークを治め終えた俺に、カインがそう提案してきた。
「俺からも頼む。俺たちはDランクになってちょっと舞い上がっていたみてーだ。」
「俺たち、この遺跡調べてから戻るつもりなんだが、それでも良ければ、俺はいいぞ。2人は?」
「私はミツキの指示に従いますわ。」
「リーダはミツキなんだ。君がいいならボクも構わない。」
どうやら2人も、ソードダンスと一緒に行動することに問題はなさそうだ。実際、冒険者同士は助け合うことが多く、こういった事もよくあるそうだ。
「そういうわけだ。いいか?」
「ああ、こちらこそよろしく頼む。」
俺はカインと握手をする。ソードダンスと俺たちの同盟締結だ。俺たちもパーティ名、考えようかな?
「俺たちはこの後遺跡調べるが、カインたちはどうする?」
「邪魔じゃなければ、一緒に探索してもいかな?一度、移籍探索も経験しておきたいんだ。」
「わかった。なら、俺たちが先に行く。4人は後についてきてくれ。」
そう言って、遺跡の奥に進む。遺跡が向こうの世界と同じつくりをしているのなら、この先に地下へと降りる階段があるはずだ。
遺跡の中には特に魔物がいることはなかった。オーガが縄張りにしていたおかげで、他の魔物が入り込まなかったんだろう。
順調に遺跡の中を進んでいく。すると、行き止まりにあたった。
「行き止まりか?引き返すかいミツキ?」
俺の左側にいるフランが聞いてくる。
「いや、ちょっと待ってくれ。」
コンコン、コンコン
煉瓦作りの壁を端からたたく。
コンコン、コンコン、コンコン、カンコン、
「ん?」
カンカン
一か所だけ音の異なる部分があった。その煉瓦を押し込む。すると、
ずざざざざざざざざざざ
行き止まりであった目の前の壁が左右に開き、そこに階段が現れた。やはり、向こうの世界と同じだ。
「まあ!」
「なるほど。」
「おお!」
「すげえな。」
「階段?」
「こんなところに。」
驚いている6人は無視して、階段を降りる。一気に遺跡の作りが変わった。やはり、アジア系の遺跡になっている。
「すごいですわ!これが遺跡探索ですのね。」
「ニース嬢、少し落ち着きたまえ。全く、遺跡のこととなると我を忘れてしまうのはニース嬢の悪い癖だよ。」
シーナのテンションがどんどん上がっていく。そしてフラン、お前が言うな。
さらに奥に進む。開けた場所に出た。同じつくりなのはそこまでであった。地球では正面に3つの扉があった。だが、眼前の壁には扉は1つしかない。それも天井まで届く大きなものが。
そして、扉の左右には3つずつ等間隔に宝石が埋め込まれている。よく見ると、扉にも同じ宝石が1つ埋め込まれている。また、扉には文字が刻まれていた。
「これは古代文字ですわね。お婆様から頂いた本で見たことありますわ。残念ながら、何が書いてあるのかはわかりませんわ。」
「えーと、ボクもギブアップだ。」
2人はこれが古代文字であることはわかるようだ。ソードダンスのメンバーは古代文字を見るのは初めての用で、興味深げに見ている。
『Мир понимается. И мир может держаться. Тогда, дверь открывается.』
「読めますの!?」
読める。これは古代文字なんかじゃない。ロシア語だ。この世界の統一言語は英語であった。初め、俺の都合のいいように頭の中で解釈されているのかと思った。しかし、こちらの世界の人々が話す言葉も、書く文字も英語であり、アルファベットであった。
大陸中で統一言語は使用されており、土地によって若干訛りなどがあるものの、この世界では統一言語以外の言葉は使われていない。だが、遺跡に書かれた言語は統一言語以外であることが多い。だからこそ、こちらの世界の人々は古代文字と呼んでいる。
古代文字の解読は考古学者たちの手により、これまでずっと行われてきたそうだ。しかし、サンプルが少なく、古代文字の種類が膨大で、中々解読が出来ないでいるそうだ。
『世界を知れ、そして、世界をつかめ、さすれば道は開かれる。』
「ん?なんておっしゃいましたの?」
つい、日本語で訳してしまった。それも仕方のないことだ。日本語を基準にして、外国語を覚えたのだから。
「この扉には、『世界を知れ、そして、世界をつかめ、さすれば道は開かれる。』って書かれてる。」
「世界を知れ…か。どういうことだろう?」
扉の訳を聞いたフランが首をかしげている。
「いや、多分何かの暗喩だ。世界という言葉そのままの意味じゃなく、他の意味がある。世界、すべて、星、宇宙か?いや、人…」
ダメだわからない。他の手掛かりといえば、宝石か。
扉について宝石を見る。丸みを帯びた宝石が埋め込まれている。多分ダイヤだと思われる。
「あらっ?よく見たらこの宝石2つありますわ。」
「こっちもだ。丸いのかと思ったら、半球の宝石が2つ丸くなるように埋め込まれている。」
「おっ、本当だ。」
「これ、うまくしてどっちか取れれば、両方とれそうじゃねえ?」
「この宝石もそうだわ。サニーのほうは?」
「同じよ。2つついてるわ。」
扉の宝石は1つである。そしてそれ以外が2つ。全部で13個。
「7と13か…」
多分、この数字にも意味はある。扉の文字と宝石、これらはセットで1つの暗号であると考えるべきだ。
「うーん…」
6個は2つで1個は1つ。6が半分、1は1。1,2,6,7,12,13…法則性がわからない。ダメだ、これは1度ばあちゃんに相談してみよう。
「あーダメだ。くっそ、この壁硬すぎだぜ。」
オットーが宝石の周りの壁を削り、なんとかして宝石を取ろうとしていた。しかし、曲刀で削っても、壁には傷一つついていない。どうやら、ただの土壁ではないようだ。
「あんた、本当に取ろうとしたわけ?」
レインが呆れた様な視線をオットーに向ける。
「だって、高く売れそうだぜこれ?」
「もうやめなよ。武器が使い物にならなくなるよ。」
往生際の悪いオットーをカインがたしなめる。
そろそろ引き際か。これ以上先に進めそうにないし、森の中での野宿も危険すぎる。できれば野営地まで戻りたい。となれば、長居は無用だ。収穫もあったし、戻るとしよう。
「なあ、そろそろ、遺跡を後にして森を出ようと思う。暗くなる前に森を抜けたい。」
俺はみんなに声をかける。
「賛成ですわ。夜の森は危険ですし。」
「ボクも賛成だよ。」
俺の提案に、ソードダンスも賛同してくれた。俺たちは地上に戻り、遺跡を後にした。たぶん、暗くなる前には野営地に辿り着くだろう。ただ、いかんせん体がだるい。貧血だ。まあ、あれだけ血を流したのだから当然のことだ。
「ミツキ、大丈夫ですの?」
心配そうにシーナが顔を覗き込んでくる。
「遺跡や森の奥では暗くてよくわからなかったが、顔色が悪いよ?少し休んだ方が良いんじゃないかい?」
フランも俺の顔色をみて、休憩を提案してくる。
「いや、大丈夫だ。もうすぐ森の外だし、野営地まで行ってしまおう。」
だるさを振り払うように、歩みを少し早める。少しすると、森を抜け街道にでた。そのまま、野営地に向かう。
野営地に着くと、そこにはトリックエイプたちがいた。トリックエイプが俺たちを見るなり駆け寄ってくる。どうやら、ここで俺たちが来るのを待っていたようだ。
「なっ!魔物!」
「くっ、こんなに!」
ソードダンスのみんながそれぞれの武器を抜く。そりゃそうだ。彼らからしたら、魔物に襲われそうになっているのだから。
「お待ちください。この子たちは大丈夫ですわ…だから、胸に顔をうずめるんじゃありませんわ!。」
シーナの肩に乗った1匹は大人しく肩に乗っているが、シーナに飛びかかっていったエロサルが胸めがけてダイブした。
「大丈夫って、こいつら魔物だろう?」
「何、手なずけてみると、ペット見たいでかわいいやつらじゃないか。」
フランの肩にもトリックエイプが乗っており、フランから果物を食べさせてもらっている。
「きゃあ、そこ、だめっ、」
「ちょ、どこにかおっ!」
サニーとレインがエロサルの標的になっていた。ちょっとエロい。
「まあ、あんな感じで、少し悪戯好きなお茶目なサルたちだ。」
「…君たちが言うなら。」
「そうだな、俺には害なさそうだしな!」
男二人は、トリックエイプに特に害がないことを理解し、剣を収めた。
「カイン、オットー、見てないでこのサルなんとかして!」
「なんで胸や股間ばっか狙ってくるのよ!」
大変そうなのは女性二人である。
「な?平気そうだろ?」
「なんというか、ね。」
「おう、いい目の保養じゃねえか!」
2人から目をそらすカインと、気にせずにサルたちに弄られる様を見ているオットー。
「ミツキ?」
「ふむ、ああいう体型が好みかい?」
後ろを振り向くと、にっこりしたシーナと、少し怒っているフランがいた。フランより、笑顔のシーナの方が怖い。笑顔なのに目が笑ってない。
「いえ、ごめんなさい。もう見ません。」
「お仕置き、お母様がお父様にする気持ちがわかった気がしますわ。」
それはわからないで欲しかった。
「一つ聞いていいかい?」
サニーとレインの方を直視できない、初心なカインが話に加わってくる。
「ミツキと二人はどういう関係なんだい?」
「ボクが説明しよう。ミツキとニース嬢は婚約者だ。これニース卿たちも認めている。そして、ボクはミツキの愛人、第2婦人になる予定さ。」
「なんだと、てめえ!」
オットーが掴みかかってきた。お前、話聞いていたのかよ。
「お前、どういうことだあ?こんな美人二人を、独り占めだあ?それは許せん、許せんぞ!!!」
やめて、首掴んで前後に揺らさないでくれ。
「俺が頑張っても彼女が出来ないのに、ハーレムなんか作りやがって、くそ、羨ましい。」
ガクガクと、前後にゆすられる。
貧血と相まって、徐々に意識が遠のいてくる。
「ちょ、オットーやめなよ!」
「うるせえ!俺がモテないのに、リア充滅ぶべし!」
カインがオットーを止めようとしてくれるが、そろそろ限界である。
「こいつめ、こいつめ!」
「お待ちなさい!ミツキの顔色が!」
「オットー、すぐにミツキを放すんだ!」
俺の顔色がさらに悪くなったのをみて、2人があわててオットーを止める。だが、もう遅い。俺はオットーに揺られたまま、意識を手放した。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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