↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
考古学者の異世界探索紀行  作者: 桜井由貴
第1章 遺跡の攻略紀行
12/45

第11話 オーク殲滅大作戦

感想に評価ありがとうございます。

とても励みになります。今後も頑張って更新します。

 食事の後、野営地で1泊した俺たちは、翌朝森に入り、遺跡へと到着した。流石に、森に入ると、街道とは比べ物にならないくらいの頻度で魔物と遭遇し、結構な時間を食ってしまった。

 そして、遺跡の前にも魔物がうろうろしている。初めて見る魔物だ。豚のような顔をして、二本足で歩くいわゆるオークというやつだ。


「まさか、オークが巣食っているとは…」


「オークってヤバいのか?」


 遺跡から少し離れたところで、木の陰に隠れ、ちいさな声で話す。トリックエイプたちは、森が深くなったところでいなくなてしまったので、今は俺たち3人しかいない。


「聞いたことがありますわ。オークは牡しかおらず、他種族の牝を捕まえてきて苗床にするとか。」


 その状況を想像してか、シーナの顔は険しい。


「ああ、見つけた得物の内、男ならその場で殺し、女なら死んだ方がマシだともいえる扱いをうける。単体であればそこまで脅威ではないんだが、いかんせん、数が多すぎる。」


 遺跡の周りにいるオークは少なくとも10匹。遺跡に出入りしている個体がいることを見るに、最低でも30匹。下手すると50匹近いかもしれない。


「この前はいなかったのに、いつの間に。」


「あれほどの数だ。上位種がいるはずだ。きっと上位種のせいだ。」


「上位種?」


「ああ、オークにはオークキングやオークジェネラルといった上位種が存在する。上位種が指揮を執ることで、集団をまとめ組織的に動くようになる。逆に、上位種さえ倒してしまえば烏合の衆に過ぎない。」


 ここは、1度引くべきだろう。町に戻り、この状況を知らせ、討伐隊を組むのがベストだろう。ここまできて遺跡を調べられないのは残念だが、命がかかっているし、もし2人が捕まったことを考えると、そんなことは想像したくもない。


「シーナ、フラン、ここは1度町に戻ろう。」


「いいのかい?」


「そうですわ、折角ここまで来ましたのに?」


「安全第一だ。俺たちだけであの数を相手にできると思うか?」


「ボクとしては出来ないことも無いと思う。多分、いけるんじゃないか?」


「多分じゃダメだ。2人がもし捕まったら、大変な事になるだろう?」


「…そう、ですわね。私、慰み者にされるのはごめんですわ。」


 フランはこれまでの経験から顔色も変えず、いつも通りであるが、シーナは捕まった時のことを考えてしまい、嫌悪感がありありと見て取れる。シーナは今回が初旅ということもあり、仕方がないだろう。


「わかった。なら音をたてないように静かにこの場を……ちょっと待ってくれ。」


 何かを言いかけたフランが、虚空を見つめ、相槌を打っている。多分あれだ、精霊と話しているんだろう。

 フランの表情が曇る。


「どうした?」


「悪い知らせだ。遺跡の左手の方から、冒険者たちがやってくる。それも、オークたちに気付いていない。」


「マジか?どうしてこんなところに…」


 まさか、こんなところに冒険者がいるとは予想外である。遺跡が目的でなければこんなところに入ってくる冒険者などいないはずだ。


 オークたちが急に騒ぎ出した。そして、遺跡の周囲にいた10体のオークと、遺跡から出て来たもう10体のオーク、計20体が遺跡の左手の方に移動していく。どうやら、オークたちは冒険者に気付いたようである。


「フラン、冒険者の数は?」


「4人だ。男が2人に、女が2人。どうする気だ?」


 どうする、ここは引くべきだ。しかし、冒険者たちを見捨てるのも寝覚めが悪い。しかし、もし2人がオークに捕まったら。ダメだ、考えがまとまらない。


「私は助けに行きますわ。」


 先ほどまで、少しばかり怯えを見せていたシーナが覚悟を決めたように言った。


「私はニース家のもの、ここで見捨てることなど、貴族としてできませんわ。」


 そういえば、アルと初めて会ったとき、貴族には町の民を、国の民を守る義務があるといっていた。それが誇りであると。ノブレスオブリージュ。高貴なる者に伴う義務。フロレンス王国はその考えが大陸にある国の中でも最も強い。

 ニースが覚悟を決めたんだ。俺も覚悟を決める。


「わかった。冒険者を助けよう。」


「ありがとうございますわミツキ。」


「ふむ、なら遺跡に入って上位種を倒そう。それが彼らを助けることにもつながる。幸い、彼らがオークと出会うまで5分ほど時間がある。」


「よし、なら俺が戦闘で遺跡に入る。次にシーナ、フランが続いてくれ。2人はなるべく魔法で支援するようにしてほしい。そして、もし危なくなったらすぐに脱出すること。俺のことを置いていくことになっても、逃げてくれ。これを飲んでくれるなら、オークを殲滅しよう。」


「ふふ、ミツキは心配性だね。わかったよ、その条件を飲もう。ボクも、君以外に体を許すつもりはないからね。」


「私も従いますわ。ですが、すべて倒せば問題ないのですわよね。」


「まあ、そういうことでいいよ、いくぞ!」


 オークたちが冒険者の方に向かったため、遺跡の周辺には1匹もオークはいない。一気に遺跡の入り口に走る。入り口から中を確認する。見える範囲にオークは5匹。


「っし!」


 足に魔力を込め、1番近くにいたオークの懐に潜り込む。そして、一閃


「ぎ、ぷぎゃあああああ。」


 いやな感覚ともに、右肩から左脇にかけて袈裟切りにし、オークは大声をあげ絶命した。


「ファイヤーボール!」


「ふがっ!」


 手に持った剣で、俺に切りかかろうとしたオークの顔にニースの放った魔法が炸裂する。それでオークは倒れはしないものの、一瞬隙が出来る。俺はその隙を見逃さず、オークの首を切り飛ばす。ボトリと首と胴体が永遠の別れを告げる。


「ミツキ、少し下がれ!ウィンドカッター!」


 フランの声にすぐさま反応し、後ろに飛ぶ。

 俺に近づこうとした3匹のオークが小さな竜巻に巻き込まれる。


「ぷげっ!」


「ふぎゅっ!」


「がふっ!」


 悲鳴を上げ、もがき苦しむオーク。竜巻が徐々に赤くなっているのは気のせいだろう。

 少しすると、竜巻が収まり、3匹のオークは物言わぬ躯になっていた。


 5匹のオークは倒したが、断末魔の叫びを聞いたオークたちが、遺跡の奥からさらに15匹姿を現した。その中の1匹、他のオークより体が一回り大きく、武器と防具も他の個体に比べて豪華なものを持つオークがいる。


「ミツキ、あれがオークジェネラルだ。危険度Bの魔物で、他のオークに比べ知能が高い。だが、奴を倒せば、オークたちの統制が崩れる。」


「わかった。俺がオークたちを抑えるから、ジェネラルを魔法でつぶしてくれ。」


 俺はオークたちに向け駆け出す。オークたちも俺に向かってくる。俺の後ろでは、シーナとフランが魔法を使う準備をしている。


「ぷぎゃあああああ!!!!」


 ジェネラルの咆哮が空気を震わせる。そのジェネラルも他のオークたちのように俺に狙いを定めている。

 俺はまず、1匹武器を振りかぶったオークを切り捨てる。返しの刃で、倒れたオークの後ろにいた1匹も首を刎ねる。残り13匹。


「ファイヤーボール!」


 俺をサポートするため、シーナはオーク集団の足元に魔法を放つ。それにより、オークの足が止まる。その隙に目の前の3匹の足を切りつける。殺せはしないが、足の腱を切ったため、もう動けまい。残り10匹。


「アイスランス!」


 フランが風と水の複合魔法をジェネラルに放つ。大きな氷のつららがジェネラルの頭上に、突如として現れる。つららは、重力に引かれ、ジェネラルの脳天を貫いた。

 ジェネラルは何が起きたかわからないという表情で絶命した。


「ジェネラルは倒した。ミツキ、ニース嬢、後は残った奴らを殲滅するぞ!」


「2人とも、待て!様子がおかしい。」


 残ったオーク9匹は、ジェネラルが倒れたにも関わらず、俺に向かってくる。何かがおかしい。ジェネラルまでもがなぜ特攻してきた?フランの話しからすれば、オーク同士で連携を取って攻撃してくるのではないか。しかし、他のオークと同じように俺に向かってきただけだった。

 オークたちの様子も、誰かに従って攻撃をしているというよりは、攻撃をする以外に生き残るすべはないというか、恐怖感からがむしゃらに攻撃してきているように見える。


(こいつら、何かに怯えている?)


 思い出せ、ここに来た時のことを。あの時にいたのはシュリンプ・スコーピオとキラーマンティスだった。同じ系統の魔物ではあるが、別種類の魔物。それが、徒党を組んで闘っていた。キラーマンティスはシュリンプ・スコーピオに従っていた。


(もしかして、オークとは別の上位の魔物がいる?)


 頭の中でピースが嵌った。危険度A並みの敵がいる。それも、オークたちが恐れるほどの。どこだ、どこにいる。


 俺がもし敵で、俺たちを倒そうとするならどうする。厄介なのは魔法だ。魔法は広域を殲滅できるし、1発で戦局がひっくりかえせる。ならば、まずは魔法使いを狙う。それも、弱い方から狙うはずだ。1人でもやられれば、そこに隙が出来る。そこを狙えば、全滅させることも簡単だ。


(シーナが狙いか!)


 現在の俺たちのフォーメーションは俺を頂点にした三角形、右フラン、左にシーナとなっている。

 シーナの方に目を向ける。


「シーナ!後ろだ!!!」


「へっ?」


 シーナが振り向くと、そこに3m近い鬼がいた。2mの棍棒に鉄球のついた武器を振りかぶり、シーナを狙う。

 シーナは突然のことで対応が出来ていない。フランは呪文を詠唱中だ。オークたちはがむしゃらに俺に攻撃をしてくる。


「シーナ!」


 足に魔力を込め、地面を蹴り、シーナを突き飛ばす。


「きゃっ、」


ゴシャッ、バキッ


 シーナは尻もちをついたため、棍棒を受けずに無傷でいた。





 左腕が痛い





「くっ、」


もう一度、足に魔力を込め、右腕でシーナを抱える。


「ファイヤーボール!」


 フランが詠唱を中断し、牽制のため鬼に放つ。鬼は俺たちに追撃して来ようとしたが、眼の前に放たれた魔法に邪魔されそれはかなわなかった。

 その隙に俺は抱えたシーナと共に、フランの傍まで移動する。





 左手がびっしょり濡れていて気持ち悪い。





「ファイヤーボール!」


 フランはオークに対しても、魔法を放つ。足元の地面が爆発し、オークたちが後ろに吹き飛ばされた。


「あ、あああそんな、!!!!」


 シーナが腕の中で震えている。


「くっ、ボクの読みが甘かった。まさか、オーガがいるとは。」


 オーガ、鬼種の魔物で、3mを超える巨躯を持つ人型の魔物。ギルドから危険度Aに指定されており、オーガに出会ったらすべてを捨ててでも逃げろと言われている、最悪の殺人鬼。人を殺すことにのみ快楽を覚えており、人の血肉を食らう。高い魔法抵抗力を持っているため、大型盾装備の重戦士、攻撃力特化の狂戦士、遠距離物理攻撃の弓術士、それと治癒術士と付加術士彼らを最低でも5名ずつの計25名でパーティを組み、討伐するのが一般的だ。もちろん、Sランクの冒険者であれば、単騎でも勝つことが出来るが、それはごくごく一部の人たちだけだ。





 ぴちゃぴちゃと耳障りな音が響く





 フランはオーガとオークが近づいてこないよう、魔法を撃ち続けている。それにより、オークたちの足は完全に止まっているが、オーガは少しずつ、こちらに近づいてくる。


「う、嘘、ああっ!!!!」


 混乱しているシーナを床に降ろす。


「そんな、ミツキ、ミツキ…!」


「ニース嬢、落ち着きたまえ!」


 そんなシーナに対し、フランが一喝する。フランの表情にも焦りが見え隠れしている。流石に、この状況はヤバい。


「ですが、ミツキのミツキの!


「わかっている!」


「でも、ミツキの腕、腕が!」






 そう、俺の左腕はオーガの先ほどの一撃をもろに受け、血まみれになっていた。






最後まで読んでくださりありがとうございます。

誤字脱字、その他気になった点がありましたら、コメントよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。