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トラ×ヨネ飯   作者: 有栖 多于佳


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8/12

けんちん汁

当時の食料事情とは違っている箇所があるやもしれません。

川芝村はフィクションです。

周辺の市町村は空襲を受けなかったので比較的食べ物が手に入りやすいという設定です。

ご了承ください。

誤字誤謬は可及的速やかに訂正致しますがご不快になられる方申し訳ありません。

誤字報告大変ありがたいです。

川芝村も秋が深まってきた。

農作業も一通り終わり、男衆は田んぼでくん炭を作ったり、庭で薪割りをしたり。


女衆は干した大根で沢庵漬けたり、白菜を漬けたり、干しイモ作ったり。


今日のヨネは、庭の大きな柿の木がたくさんの実をつけたので収穫して、干し柿作りを七緒としている。


「ああ、焼酎があれば渋抜きして食べるのに。私、抜き柿が大好きなのよー」

「え?ネエサン焼酎あるよ。持ってこようか?」

「なんであるの?トラちゃん飲まないのに。」

「亡くなったお父ちゃんのが残っているから。納戸から持ってこようか?」

「じゃあ、私は納屋から空いてる壺探してくる。」


「いい?この渋柿のヘタを取り除いて、そこに焼酎を浸けて三秒数えて。壺に入れて納戸において数日したら渋が抜けて美味しくなるのよー。」

「皮向いた渋柿も焼酎に浸けて、藁でよった紐に吊るして北側の軒下につるしておきましょう!」

「ネエサン楽しそう。」

「楽しいわよー、美味しい仕事は本当に楽しいわ。ナナちゃんは?」

「アタシはネエサンと一緒にすると何しても楽しい」

ふふふと笑いあって、おしゃべりしながらも手はせっせと動かしていく。



**************************************


「最近寒くなってきたから、今晩はけんちん汁にしましょう」

「はい、ネエサン。」

「中に具としてすいとんいれようか!」

「すいとん?」

「うん、美味しいよ。任しといて。」


こね鉢に入れた小麦粉に塩水を少しずつ入れてまとめて生地にし、耳たぶくらいの固さに練っていく。

麺台に打ち粉をしてそこにまとまった生地を捏ねる。

濡れた布巾を被せてしばらく休ませる。


頭と内蔵を取った煮干しと昆布、干し椎茸を水に入れておいておく。


大根とニンジンはいちょう切り、笹掻きゴボウとちぎったこんにゃくを水にさらす。

鶏肉を一口大に、戻した椎茸を細く切る。


火にかけた煮干しと昆布で出汁をとり、切った具材を柔らかくなるまで煮て、酒醤油砂糖で味をつける。

沸騰した中に、寝かしていた生地を手で摘まんで落としていく。団子が浮かんできたら出来上がり。



「これがすいとん?すいとんって水に溶いた緩い小麦粉を入れるんじゃ無いの?」

「ふつうそうよね、でもうちのお母ちゃんが、こうした方が美味しいからって。

こっちじゃ戦時中でもすいとんってあんまり食べなかったんでしょ?」

「うん。あんまり食べなかったけど、ネエサンが作った生地を綿棒で伸ばして包丁で切っったら

ほうとうだね。」

「へえ、ほうとうって食べたことない。」

「え?そう?野菜たっぷりに、かぼちゃ入れた味噌汁に打った麺を入れて食べるの。

うちのお父ちゃんが得意で冬はよく食べるよ。」


かぼちゃの入った野菜いっぱいの味噌汁、美味しそう。

ヨネは飯も好きだが、芋栗南京も大好物なのだ。


******************************************


「トラ兄ちゃん、ネエサンがほうとう食べたことないんだって。」

「へえ、名古屋じゃ食べないのかな?元々甲州名物だしな。」

「そうなんだ。名古屋はきしめんと味噌煮込みだがや」

「この川芝村の先ずっと行ったら甲州だら。だから言葉や食べ物も似るんだら」

「ネエサンいつかどっちも食べてみたいな。」

「そうね、復興が進んだら、名古屋にみんなで汽車で行って食べましょう!トラちゃん来た時は

終戦すぐで何もなかったからね。」

「しかしこのけんちん汁のすいとんは旨いな。軍で食べた水溶き小麦粉をそうっと流した物と同じすいとんだとは思えないよ。うまい汁を吸った団子がもちもちして。」

「途中までの作り方はほうとうの生地と同じだったよお。」

「寝かしたかぼちゃも食べ頃だし。今度は俺がほうとう打ってヨネに食べさせるよ。」

「わー、楽しみ。」


晩秋の夜、三人でけんちん汁腹一杯食べて、名物について語り合ったそんな話。


お読みくださいましてありがとうございました。


誤字誤謬があるかもしれません。


わかり次第訂正いたします。


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よろしければお願いいたします。

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