冷やし茶漬け
当時の食料事情とは違っている箇所があるやもしれません。
川芝村はフィクションです。
周辺の市町村は空襲を受けなかったので比較的食べ物が手に入りやすいという設定です。
ご了承ください。
誤字誤謬は可及的速やかに訂正致しますがご不快になられる方申し訳ありません。
誤字報告大変ありがたいです。
本格的な農繁期になってきた。
朝は日が昇る前に起きて、トラちゃんと一緒に田んぼへ行ったり、畑へ出たり。
そして、その日の収穫した物を町に出す分を仕分けて、リアカーでトラちゃんが集積所に持っていく。
私は着替えて台所に行く。
だいたいナナちゃんが朝飯の仕度をしててくれるから、板の間にちゃぶ台だして、机を拭き料理を並べる。
夏は暑いから飯は朝炊いておく。
痛まないように飯はお櫃に入れて風通しのいい涼しいとこに、佃煮なんかの壺は蠅帳にいれておく。
朝飯を食べたら、トラちゃんはまた田畑に行く。
私はナナちゃんと掃除と洗濯をする。
暑いからよく乾くけど、汗で敷布もシャツもたくさん汚れ物が出るから、毎日手洗でせっせと洗う。
暑いから水浴び代わりに歌いながら足でフミフミ洗う。
「ネエサン楽しそう」
「ナナちゃんも唄いながらやったら、うんと楽しいわよ」
ナナちゃんと唱歌を唱ったり、リンゴの唄の知ってるところだけ繰り返し歌ったり。
体もずいぶん慣れてきて、筋肉痛になることはずいぶん減った。
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貴竹家には秘伝の壺がある。
一つは、塩の吹いた梅干しの入った壺。
毎日食べてるけど、裏の納屋に、歴代の梅干しが浸けて並べてある。
梅雨の前、庭の梅の木が実を付けると、今年はトラちゃんと二人でせっせと採った。
それまではナナちゃんとお義父さんとで収穫して、梅干しを漬けてたという。
その歴代の梅干しを減ったら台所の壺に移していつも蠅帳に入れておく。
もう一つの壺は、糠床が入っていて、床下の涼しいところにおいてある。
けど、この時期は毎日手で混ぜて、余分な水は布巾ですいとっておかないと直ぐに黴ちゃう。
いつから継ぎ足ししてるかもうわからないくらい前からある糠床、大切に大切に手を入れる。
時々、鷹の爪を入れたり、削り節の小さくなったものをガーゼに包んで入れたり。
糠床が柔らかくなったら、炒った糠に塩を混ぜた物に少し種糠を少し足して別の壺に入れ
くず野菜を漬けた新しい糠床を作って元の糠床に足したりする。
ナナちゃんは子供の頃から糠床のお世話をしていただけあって、とても上手。
嫁いできてから、世話の仕方を教わった。だいたいはナナちゃんがやってくれるけど。
その継ぎ足した糠床に畑で採れた瓜や茄子、大根なんか葉も漬ける。
浅漬けで食べる日も多いけど、出し忘れて茶色くなった古漬けの瓜なんかも美味しい。
今まで食べた糠漬けで一番美味しいと思う。
この糠漬けを毎食切って鉢で出す。
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今日の昼は、というか、最近は三日と空けずに昼は冷やし茶漬けだ。
さっぱりしていて、夏バテで食欲が無いなと思っていてもスルスル食べれちゃう。
お櫃の冷飯を丼によそって、糠漬けや梅干し、佃煮や油味噌なんかを各々のせて汁をかける。
佃煮は、出汁をとった後のかつお節や昆布と畑で採れたインゲンや茄子や獅子唐なんかを細かく刻んで醤油と砂糖で甘辛く煮付けたものだったり、お揚げの切れはしや竹輪が少しでもあればそれらを入れたり。
ちりめんじゃこを獅子唐と油で痛めて砂糖醤油で煮詰めた佃煮はトラちゃんのお気に入りだ。
田舎味噌を湯でのばしておいて、村の商店で買ったラードを火にかけて砂糖を入れのばした味噌に細く切った鷹の爪を入れて焦がさないように煮詰める。冷まして壺に入れて保存する。
このまま食べても、油で痛めた茄子や獅子唐と炒め物にしても美味しい。
かける汁は朝とって冷ましといただし汁に醤油と味醂で薄味をつけたものと冷やしたほうじ茶を半々入れたものを作っておく。
これを具やノリやネギや茗荷などの薬味をのせた丼にかけて食べる。
「ああ美味しい」
「こんなに暑いのに食べれちゃうよ。」
「午後も頑張ってくるよ」
三人で冷やし茶漬けを昼から腹一杯食べたという話
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