第百一話 敵か味方か?
ライトに見つかったリユイ達は仕方なく話をすることになり、場所は人がいない作戦会議室へと移動することになった。
「何故君達がここにいるのだ?」
「この国にあるクリスタルを守る為に協力に来た。だがそれよりもまずは何故僕達の国に攻めてきたのかを教えていただきたい」
ライトの疑問にリユイは答え、単刀直入に疑問を言った。
容赦のない質問にライトは表情を変える事なく、否、逆に分からないと言った表情を見せた。
サラはライトの答えを待ち息を飲む。
「君達の国・・・・・はて、何の事かな?」
「あくまでしらを切るつもりですか? 大陸を繋ぐ森にある魔人が大勢いる国のことだ」
ライトは一瞬考えた様子を見せるとおもいついたような顔をわざとらしくし、話し出した。
「・・・・・ああ、あの魔物の溜まり場か。ほお、あれは君の国だったか。
いやはや、魔物が森に集まって悪さを企んでいるという報告があったもので排除するよう命令を出してしまっていたのだよ。
それがまさか君達が作った国だったとは些か驚いた。
まさかあの時の亜人の少年が国を作っていたとは。いやいや、申し訳ない事をしてしまったね。
大丈夫だったかい?」
「おい、少年って誰のこと言って――」
「アレンは黙っていてくれ。大した被害はなかったから今回は許そうと思います。だが次はないですよ」
アレンがこれ以上喋らないようにリユイは急いで手で口を塞ぎ話を続けた。
「勿論、分かっていたらそんな事しないさ」
「あと聞きたいことがもう一つあります。あなたはいつからこの国にいたんですか?」
「いつから、か・・・・・それは――」
「ライト様、お戻りください。魔王軍が動き出したようです」
「分かった、すぐに戻る。すまないな、また後で話そう」
ライトはそれだけ言うと作戦会議室から出ていった。
残されたリユイ達には暫く沈黙が続いた。
と、リユイは慌ててアレンの口を塞ぐ手を離した。
離すのを忘れていたのだ。
「なあ、さっきあいつリユイのことしょう――」
「やっぱり黙ってて」
離したのもつかの間、リユイはまたすぐにアレンの口を塞いだ。
「わざとらしいな」
「ボクもそう思います」
「な、叔父さんが嘘をつくわけありません!」
「例え家族だとしても敵かもしれないのよ。今は個人的な感情は抑えて」
「そんな事・・・・・分かりました。じゃあ話を戻しましょう。リユイ、隠していることを話してください」
リユイはアレンから手を離すと首を横に振った。
「今はそんな事よりもライトさんのことを――」
「いえ、今は叔父さんのことはよく分からないんですから分かる事から問題を片付けた方がいいですよね、皆さん?」
「え、ええ。そうね」
「ボクも気になりますね」
「おう、そうだよ。いい加減腹を割れ、リユイ」
「・・・・・分かった」
思わぬリユイの返事にサラ達は少し驚いた。
だがすぐにリユイの喋りだす事に耳を傾けた。
「抑えられないんだ」
「え?」
「生き物を苦しめたくて、痛め付けたくて、苦痛に顔を歪ませる姿を見たくて仕方がなくなる時があるんだ。その感情が突然出て来て制御出来ないんだ。無理矢理押さえつけるには自分を痛め付けるしかないんだ」
皆の頭には先程のリユイの異常行動が思い浮かぶ。
「・・・・・これで充分だろ? もうこの話は終わりにしてくれ」
リユイの言った言葉にサラ以外は一歩引いた。
リユイから漏れでた狂気の殺気がサラ以外の者の本能を刺激したのだ。
意識せずしてしまった行動に皆ハッとし無意識ながらもリユイへ後ろめたさを感じた。
だがサラは違った。
他の皆とは違いその狂気に触れた瞬間リユイへと歩みよりその心を自分へのいる所へと救いだすかのように手をリユイへと差し伸べたのだ。
リユイはそのサラの行動に目を見開いた。
そして思わずその差し出された手をとってしまった。
それほどにサラの動きは自然だった。
サラはリユイの本性を聞き一つの答えにたどり着いたのだ。
(やっぱりリユイさんはリユイさんだ。自分のことよりも仲間のことを大切にしてくれる優しい人。どんなに変わってしまったとしてもそれは変わらない、リユイさんはリユイさんはなんだ。それなら・・・・・答えは決まっている――)
「私はリユイさんが変わってしまったとしても、リユイさんの全てを受け入れます。
リユイさんの苦しみも、辛さも、悲しみも、何もかもをそのままに受け入れます。
でも、リユイさんが変わりたいと言うのならば私はそれを全力でサポートします!」
サラはリユイの手を両手で包み込みとリユイと瞳を合わす。
リユイはサラから瞳を離せなくなってしまった。
その美しいトパーズのような瞳がリユイの心に光をあてた。
どこからかリユイとサラに光が当たっていた。
「リユイさん、話してくれてありがとうございます。よかったらこの戦いが終わったら私と・・・・・あ、私達と一緒に国に戻ってきてくれませんか? 」
リユイの今までの苦労を知っているサラには分かっていた。
もういっぱいいっぱいでどうしようもない苦しみに押し潰されそうになっているリユイの気持ちを。
そしてそれを感じとったサラは思わずトパーズの瞳からは一筋の涙を流した。
「サラ・・・・・それは――」
「リユイ君、急いで来てくれ。魔王軍が首都にまで来てしまった!」
リユイは言いかけた時、突然叫ぶライトの声が邪魔をした。
リユイ達が作戦会議室から出ていくなかユミは心にもやっとしたものを感じていた。




