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廻る乖離転生  作者: 朔
第七章 西聖国の危機編
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第百二話 魔王軍進軍開始、そして撤退開始

リユイ達がライトと共に外へと出るとそこにはかつての東聖国と同じような景色が広がっていた。

大量の悪魔が空を覆いつくし人々を狩っていく。

あちこちから血飛沫があがりまさに地獄絵図そのものだった。

兵士達は必死に魔法を放ったり、魔法砲を放ったり、己の武器で悪魔へと立ち向かうが数の暴力には敵わなかった。


「クソ、このままじゃ東聖国と同じじゃねえか!」

「リユイさん、行きま――」


サラが言いかけた時、大地が揺れた。

そして地面から巨大な壁が出て来て人々と悪魔の間に割って入った。


「あちゃー、ちょっと遅れたみたいだな」

「フンッ、来てやっただけでも感謝してもらいたいな」


そこには以前帝国の最終兵器を破壊した時に協力してくれた元反乱軍の男二人がいた。

今回水晶玉はいない。


「あ、貴殿方は!」


ライトは驚愕の表情でその二人を見つめる。


「あ、俺らのことか?」

「そうみたいだな・・・・・めんどくさい、放っておけ。行くぞ」

「え、あ・・・・・ったくあのヤロウ。一応自己紹介しとくと俺は《錬金術師》のパル、んであいつは《英雄》のナカニシ、だ。後で金貰いに来るから用意しとけよ~」


パルとナカニシは自分達が作った壁を破壊するとたったの二人だけで悪魔達へと特攻していった。

その無謀な行為に誰もが次に起こるだろう出来事に目を閉じかけたその時――

二人の周りの悪魔の体から一斉に人の血よりも色が濃い悪魔の血が吹き出した。

予想外の出来事に人々は目を見開いた。

更に二人の動きは止まらない。

前へ前へと前進していき次々と悪魔達の数を着実に減らしていった。


「何者なんでしょうか、あの人達?」

「一つ言えることは奴等はリユイと同じぐらいに強いってことだな」

「ハッ、こうしちゃいられないわ。リユイ 、私達も行きましょう!」

「そうですよ! リユイさんの力を見せつけちゃいましょう! リユイさん、指輪持ってますよね?」

「え、あ、ああ」

「じゃあアレをまたやりましょう!」


サラはそう言うとリユイと手を繋ごうとした。

だがユミは二人の間に入ってそれを阻止する。


「それなら私とリユイがやったほうがいいんじゃない? サラちゃんの魔王の血が流れている魔力じゃリユイの負担が大きすぎると思うわ」


サラはユミの強い態度に若干圧され気味になり、気が弱くなった。


「あ、そ、そうですね。あ、じゃあこれ――」


サラはそう言いながら自分の指から指輪を抜こうとするもリユイがその手をおさえた。


「いや、残念だがユミと僕は同じ属性ではない。だからお互いの魔力が反発してしまうと思う。だからここはサラとやるよ」


ユミはリユイにそう言われ一瞬寂しそうな顔を見せるとまたすぐに元の強気そうな顔に戻りリユイに言った。


「そ、そう。確かにそうね。じゃあ速く殺っちゃってよ」

「ああ」


リユイは頷くとサラと手を繋いだ。

サラの頬が少し赤らむ。


「な、なんで手を繋ぐのよ!」


ユミがそんな二人を見て叫んだ。


「こうすると一番魔力が安定して繋がるんだ」

「む~!」

「む~? と、取り敢えず下がっていてくれ」


リユイは気を持ち直すとサラと共に天へと掌を掲げた。

すると天空に巨大な魔方陣が描かれ、そこから大量の聖なる矢が放たれる。

西聖国首都に侵入していた悪魔達はそれにより一掃された。


「はー、いつ見ても凄いな」

「流石、リユイ様とサラ様」

「フンッ。ほら、もう魔法は放ち終わったんだから手を離して指輪をとって残りのやつらを倒しに行くわよ!」


ユミの掛け声の元、東聖国軍は前進した。



「うわーこんな綺麗な魔法は初めて見たは。な、お前もそうだろ?」

「こんなの単なる光っている矢が落ちてきているだけじゃないか。師匠の方が遥かに美しくかつ繊細な様々な属性の魔法を放っていた。大したことないね」

「はあ、お前はまたそんな事を言う。ったく、本当にいるんならそのお前のお師匠さんとやらを是非とも拝んでみたいものだね」

「黙れ、師匠はもういない」


こんなやり取りをしている中でも二人は特攻を続けている。

主にパルは錬金術で自分達の周りには壁を作っていき敵が攻撃してくる範囲を絞り、ナカニシが圧倒的な威力の魔法と力で悪魔達を追い詰めていた。


「凄い・・・・・お、魔王軍が撤退していきます!」

「ああ、これならしばらくはもう攻めてくることはねえだろ。ここらで俺等は帰ってもいいんじゃねえか?」


命辛々逃げていく悪魔達を尻目にアレン達は気を緩めた。

だが、リユイとライトだけは違った。


「おかしい」

「そうですね」


リユイの言葉にライトは同意する。

二人が見ているのはパルとナカニシだった。


「何がおかしいんだ?」


アレンは分からず頭を傾けた。


「もうすでに悪魔達は退いていっている。なのにあの二人は攻めを緩めることなくどんどんと魔王国へと侵入していっているんだ。まるでそのまま魔王のところへと行かんばかりの攻めだ。もしかして・・・・・このまま攻めるつもりなのか?」

「かもな、だがそんな考察していても埒があかないぞ」


ライトは考え込むリユイの肩を軽く二回叩くと皆の少し前へと出た。


「ナカニシとやら、このまま攻めるおつもりか?」


ライトの通る声が戦場に響き渡る。

ナカニシ達は一回逃げていく悪魔達を追うのを止めた。


「ああ、そのつもりだが何か問題でもあるか? ちんたらしててなかなか攻めなかったせいで逆に攻められてしまった西聖国に変わってわざわざ俺が殺ってやるって言うんだ、文句ないよな?」


挑発気味なナカニシの言葉にライトは動じない。


「此方としては勝手な行動は戦場では控えていただきたいね。お陰で此方の指揮は滅茶苦茶だよ。まあいい。それじゃあ攻めるか」

「「え」」


ライトの発言にリユイ達は困惑した。

今既に崩壊しかけている西聖国の態勢を整え次に来るだろう戦闘に備えるではなく戦力も未知数な不確かな仲間を信じ敵の最深部まで行き尚且つ魔王を倒してしまおうというのだ、リユイ達が困惑するのも無理はなかった。


「ライトさん、嘘ですよね?」

「戦場で見方に嘘をつくのがどれだけ危険なことか知ってて言っているのかね?」

「じゃあこのまま攻めると言うのですか?」

「ああ、今こそ絶好の機会だ。何て言ったって英雄様がいるんだからね」


そう言って微笑むライトの顔はオイトさんのような優しさのある笑みとは違っていた。


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