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元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです!?  作者: Atelier Lotus


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第90話 天空の旅

 翌朝。


 紅竜となったエレナは、大きな翼を広げ、大空を悠々と飛んでいた。


 その背には、シャルロットが乗っている。


 澄み渡る青空。


 頬を優しく撫でる風。


 眼下には雄大な山脈が連なり、その合間を縫うように大河が流れていた。


 さらにその先には、果てしなく続く深い森が広がっている。


 シャルロットは、その壮大な景色を眺めながら微笑んだ。


「何度見ても、本当に綺麗ですね」


 エレナもどこか嬉しそうに笑う。


「そうじゃろう」


「我も、この景色は何百年見ても飽きぬ」


 シャルロットは眼下へ視線を向けた。


「紅竜王の国へ向かった時にも思いましたが……」


「空から見る世界は、本当に広いですね」


「うむ」


「空を飛べる者だけが知る景色じゃ」


 二人はそのまま空の旅を続ける。


 広大な森。


 青く輝く湖。


 険しい渓谷。


 小さな村々。


 エレナは、それぞれの土地に伝わる歴史や言い伝えを語って聞かせた。


「この山脈には、かつてドワーフたちの王国があったそうじゃ」


「あの森には、今でも妖精たちが静かに暮らしておる」


 シャルロットは興味深そうに耳を傾ける。


「エレナさんは、本当に物知りですね」


 エレナは少し照れくさそうに笑った。


「長生きだけが取り柄じゃからのう」


 二人は笑い合いながら、空を進み続ける。


 昼を過ぎ、太陽が西へ傾き始めた頃。


 エレナは人里から少し離れた草原へゆっくりと降り立った。


 紅い光に包まれ、その姿は再び美しい少女へと戻る。


「今日はこの辺りで休むとしよう」


「夜でも飛べぬことはないが、安全が一番じゃ」


 シャルロットも静かに頷く。


「はい」


「無理をする旅ではありませんものね」


 二人は手際よく野営の準備を始めた。


 焚き火を囲み、持参した保存食で夕食を済ませる。


 静かな草原には、虫の音だけが響いていた。


 見上げれば、満天の星空が広がっている。


「綺麗ですね……」


 シャルロットが空を見上げながら呟く。


 エレナも星空を見つめ、穏やかに微笑んだ。


「うむ」


「こうして静かに夜空を眺めるのも、旅の楽しみじゃ」


 二人は焚き火を囲みながら、薬舗での日常や仲間たちの話に花を咲かせた。


 やがて火が小さくなり、それぞれ毛布へ身を包む。


 明日には、王都ルミエールへ到着する。


 そんな期待を胸に抱きながら、二人は静かに眠りにつくのだった。

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