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元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです!?  作者: Atelier Lotus


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第49話 受験資格

 『シャルロット薬舗』が冒険者パーティーとして活動を始めてから、一か月ほどが過ぎていた。


 午前中は薬舗を開き、人々の診療や薬の調合を行う。


 午後は依頼を受け、魔物討伐や護衛、採集へ向かう。


 そんな日々が、少しずつ当たり前になっていた。


 最初はぎこちなかった連携も、今では見違えるほど息が合っている。


 リュンヌが前衛で敵を引き受け、ルークとエレナが後方から魔法で援護する。


 ソレイユは荷物や回復薬を管理し、アマリリスは上空から周囲を警戒する。


 そしてシャルロットは、薬師として仲間たちを支え続けていた。


 依頼はすべて成功。


 その評判は冒険者ギルドでも広まり始めていた。


「最近、『シャルロット薬舗』ってすごいよな」


「討伐も護衛も失敗なしだ」


「薬師がいるパーティーって、やっぱり強いんだな」


 そんな声が、ギルド内でも聞かれるようになっていた。


 ある日の午後。


 一つの討伐依頼を終えたシャルロットたちは、討伐証明となる魔素袋を受付へ提出していた。


 受付嬢は確認を終えると、にこやかに微笑む。


「皆さま、お疲れさまでした」


「少々お待ちください」


 そう言って奥へ下がる。


 しばらくすると、一人の壮年の男性を伴って戻ってきた。


 逞しい体格。


 顔には幾筋もの古傷。


 歴戦の冒険者だけが持つ、揺るぎない風格を漂わせている。


 フルール冒険者ギルド、ギルドマスター――オーギュストであった。


 リュンヌは嬉しそうに頭を下げる。


「ギルドマスター!」


 オーギュストは穏やかに頷いた。


「久しぶりだな、リュンヌ」


 そして視線をシャルロットたちへ向ける。


「君たちが『シャルロット薬舗』か」


 シャルロットたちは姿勢を正した。


「はい」


「いつもお世話になっております」


 オーギュストは受付へ積まれた依頼記録を一枚ずつ確認する。


「薬草採集」


「素材採取」


「護衛依頼」


「魔物討伐」


「どれも着実にこなし、失敗はなし」


「報告書も丁寧で申し分ない」


 静かに書類を閉じると、一同を見渡した。


「実力は十分だ」


 その一言に、全員の表情が引き締まる。


 オーギュストは懐から四枚の書類を取り出した。


「シャルロット」


「ルーク」


「ソレイユ」


「エレナ」


「以上四名に、鉄ランク昇格試験の受験資格を与える」


 一瞬、時間が止まったような静寂が流れる。


「えっ……!」


 ソレイユが思わず声を上げた。


 ルークも目を丸くし、受験資格証を見つめる。


 シャルロットも信じられない様子で尋ねた。


「私たちが……ですか?」


 オーギュストは力強く頷いた。


「青銅ランクとして十分な実績を積んだ」


「受験する資格はある」


 シャルロットは仲間たちを見渡した。


 皆、驚きと喜びに満ちた表情を浮かべている。


 その様子を見て、アマリリスもふわりと宙へ浮かび、嬉しそうに拍手をした。


「おめでとう!」


「みんな、本当に頑張ったもの!」


 エレナも飛び跳ねる。


「やったのじゃ!」


「いよいよ鉄ランクじゃな!」


 その横で、リュンヌは満面の笑みを浮かべ、シャルロットの肩を軽く叩いた。


「おめでとう!」


「今度はみんなの番だね!」


 すでに鉄ランク冒険者である彼女は、自分のことのように喜んでいた。


 その笑顔につられ、シャルロットも自然と微笑む。


「はい」


「ここまで来られたのは、みんなのおかげです」


 オーギュストは静かに頷く。


「試験は一週間後だ」


「しっかり準備して臨みなさい」


「はい!」


 四人の力強い返事がギルド中へ響き渡る。


 リュンヌも満足そうに頷き、アマリリスも嬉しそうに皆の周りをふわりと飛び回った。


「きっと大丈夫」


「みんななら、絶対に合格できるわ!」


 こうしてシャルロットたちは、鉄ランク昇格試験への切符を手にした。


 それは冒険者として認められた証であり、新たな挑戦への第一歩でもあった。


 しかし、その試験の先に待つものを、この時の彼らはまだ知らない。


 想定を超える強敵との遭遇。


 絶体絶命の危機。


 そして――。


 シャルロットの中で眠り続けていた、大聖女の力が目覚める運命の瞬間が、すぐそこまで迫っていた。

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