表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです!?  作者: Atelier Lotus


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/109

第44話 無罪

 静まり返った法廷。


 ジュリアンの証言が終わると、裁判長は押収された証拠と照らし合わせながら、一つひとつ慎重に確認していった。


 法廷には誰一人として声を発する者はいない。


 やがて裁判長は静かに顔を上げ、厳かな声で判決を告げた。


「判決を言い渡します」


 誰もが固唾を呑んで、その言葉を待つ。


「被告、シャルロット」


「本件について、被告が毒物を混入した事実は認められません」


「提出された証拠は改ざんされたものであり、被告が事件に関与していないことは明白です」


 一拍の静寂。


 そして裁判長は力強く宣言した。


「よって、被告シャルロットに――無罪を言い渡します」


 その瞬間。


 法廷中が歓声に包まれた。


「お姉ちゃん!」


 ソレイユは涙を流しながら駆け寄る。


 ルークは安堵したように大きく息を吐き、リュンヌは満面の笑みを浮かべた。


「よかった……!」


 エレナは思わず飛び跳ねる。


「やったぞ!」


「シャルロット!」


 アマリリスも両手で口元を押さえ、涙を零しながら笑っていた。


「本当に……本当によかった……」


 シャルロットは皆の笑顔を見渡し、優しく微笑んだ。


 その笑顔は、拘置所で見せていたものと何一つ変わらなかった。


 一方、裁判長は厳しい眼差しをテオドールとルシアンへ向ける。


「テオドール・ベルナール」


「ルシアン・ベルモン」


「両名を、証拠改ざん、偽証教唆、業務上過失、その他の容疑により拘束します」


「な……!」


 二人は青ざめた顔で後ずさる。


「私は悪くない!」


「全部こいつが――!」


 最後まで責任を押し付け合う二人だったが、その声も虚しく、王国騎士によって拘束され、法廷から連行されていった。


 静けさが戻ると、ジュリアンはゆっくりとシャルロットの前へ歩み寄った。


 そして深く頭を下げる。


「申し訳……ありませんでした」


 震える声だった。


 シャルロットは穏やかに微笑む。


「先生が勇気を出してくださったから、真実が明らかになりました」


「ありがとうございました」


 ジュリアンは涙を流しながら何度も頭を下げた。


「……ありがとうございます」


「私は、一生この罪を忘れません」


 法廷を出ると、シャルロットの無罪を聞きつけた街の人々が大勢集まっていた。


 一人の女性が人混みの中から歩み出る。


 シャルロットの前まで来ると、深々と頭を下げた。


「申し訳ありませんでした」


「私……先生のことを疑ってしまいました」


 その言葉をきっかけに、人々は次々と頭を下げ始める。


「本当にすみませんでした」


「先生を信じ切れませんでした」


「どうか、お許しください」


 シャルロットは困ったように微笑み、静かに首を横へ振った。


「皆さん、顔を上げてください」


「私は、もう気にしていません」


「皆さんが無事でいてくださることが、私には何より嬉しいのです」


 その優しい言葉に、多くの人々が涙を流した。


 その時、一人の騎士が辺境伯エリアスのもとへ駆け寄る。


「辺境伯様!」


「ご嫡男様が、ただ今意識を取り戻されました!」


 エリアスは目を見開き、静かに胸へ手を当てた。


「……そうか」


「本当に、よかった」


 心から安堵した表情を浮かべると、エリアスは改めてシャルロットの前へ歩み出た。


 そして深々と頭を下げる。


「シャルロット殿」


「今回の事件で、あなたを巻き込む結果となってしまった」


「領主として、心よりお詫び申し上げる」


 周囲は息を呑んだ。


 辺境伯自らが、一人の薬師へ頭を下げたのである。


 シャルロットは慌てて首を横へ振る。


「エリアス様、お顔を上げてください」


「悪いのは事件を起こした方々です」


「エリアス様も、ご家族が被害に遭われた被害者のお一人です」


「それでも最後まで私を信じ、真実を追い続けてくださいました」


「そのおかげで、私は救われました」


 エリアスは静かに顔を上げる。


 その瞳には、深い敬意が宿っていた。


「シャルロット殿」


「あなたは優れた薬師であるだけではない」


「真に人を救うことのできる、尊敬すべき人物だ」


 シャルロットは少し照れくさそうに微笑んだ。


 こうして、シャルロット薬舗事件は幕を閉じた。


 失われた信頼は取り戻され、真実はすべての人々の前に明らかとなる。


 そしてフルールの人々は改めて知る。


 シャルロットという少女が、人を救うのは薬だけではない。


 その優しさと、決して誰かを憎まない強さこそが、多くの人々の心を救っていたのだということを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ