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元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです!?  作者: Atelier Lotus


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第39話 真実を追って

 第一公判が終わった翌日。


 シャルロットの屋敷には、重苦しい空気が流れていた。


 いつもなら笑顔で迎えてくれる主の姿はない。


 静まり返った食卓が、その不在をより強く感じさせていた。


 ソレイユは俯いたまま、小さく呟く。


「このままじゃ、お姉ちゃんを助けられない……」


 ルークは静かに頷いた。


「姉さんは諦めるなって言ってくれた」


「だったら僕たちが真実を見つけよう」


 リュンヌも腕を組みながら頷く。


「証拠は必ずどこかにある」


 エレナは拳を握り締める。


「必ずシャルロットを助けるのじゃ」


 その様子を見つめていたアマリリスも、小さく俯いた。


「私……」


「何もできないよ……」


 百五十年間、この屋敷で一人過ごしてきた少女。


 ようやくできた大切な家族が苦しんでいる。


 それなのに、自分には何もできない。


 そのことが何より悔しかった。


 四人はすぐに調査を始めた。


 営業停止となった薬舗には立ち入ることができない。


 そこでルークは書斎から一冊の帳簿を取り出した。


「姉さんは帳簿の控えを屋敷にも保管していたんだ」


 薬舗の販売記録。


 納品記録。


 取引先一覧。


 几帳面なシャルロットらしく、すべて丁寧にまとめられていた。


 四人で一冊ずつ確認していく。


 しかし、どこを探しても辺境伯家の名前は見つからない。


「やっぱりない」


 ルークは静かに帳簿を閉じた。


「姉さんは辺境伯家へ薬を納品したことなんて、一度もない」


 次に向かったのは商業ギルドだった。


 正式な取引は、すべてギルドへ記録されている。


 事情を説明すると、職員は帳簿を調べ始めた。


 しばらくして、職員は首を横へ振る。


「シャルロット薬舗と辺境伯家との取引記録はありません」


「一件も確認できませんでした」


 ソレイユたちは顔を見合わせる。


「やっぱり……」


 四人はその足で辺境伯家へ向かった。


 応接室へ通されると、辺境伯エリアスが静かに迎え入れる。


「シャルロット殿の仲間たちだな」


 ソレイユは深く頭を下げた。


「辺境伯様、お願いがあります」


「契約台帳を確認させていただけませんか」


 辺境伯は迷うことなく頷いた。


「構わない」


「私も真実を知りたい」


 執事が契約台帳と受領記録を運んでくる。


 辺境伯は自らページをめくり、一件ずつ確認していった。


 静かな時間が流れる。


 やがて辺境伯は台帳を閉じた。


「間違いない」


「我が家は緊急購入であっても、必ず契約を記録している」


「受領した品も、すべて帳簿へ残している」


 そして四人を真っ直ぐ見つめる。


「シャルロット薬舗との取引は、一件も存在しない」


 その言葉に、ソレイユたちは息を呑んだ。


 ルークが静かに呟く。


「それじゃあ……」


「中央医療院が提出した納品台帳だけが違う」


 辺境伯も静かに頷いた。


「その可能性は極めて高い」


 シャルロット薬舗の帳簿。


 商業ギルドの取引記録。


 辺境伯家の契約台帳。


 受領記録。


 四つの記録は、すべて一致していた。


 食い違っていたのは、中央医療院が提出した納品台帳だけだった。


「やっぱり偽造されている……」


 ソレイユは希望を見いだしたように呟く。


 しかし、辺境伯は静かに首を横へ振った。


「残念だが、これだけでは決定打にはならない」


「納品台帳が偽造された可能性は示せる」


「だが、それを誰が改ざんしたのかまでは証明できない」


「裁判で無実を証明するには、さらに決定的な証拠が必要だ」


 その言葉に四人は再び黙り込む。


 真実には近づいている。


 だが、シャルロットを救うには、まだ決め手が足りない。


 それでもソレイユは力強く顔を上げた。


「まだ終わりじゃない」


「お姉ちゃんは、私たちを信じて待ってくれてる」


「だから絶対に真実を見つける!」


 その決意に、ルーク、リュンヌ、エレナも力強く頷いた。


「必ず証拠を見つけ出すのじゃ」


 一方、少し離れた場所で話を聞いていたアマリリスは、そっと拳を握り締める。


(私にも……)


(私にしかできないことが、きっとある)


 その小さな決意が、やがて事件の真相を暴く大きな一歩となることを、この時はまだ誰も知らなかった。

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