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元大聖女シャルロットは、転生してからスローライフを満喫するようです!?  作者: Atelier Lotus


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第32話 新しい家族

 『シャルロット薬舗』が開店してから、しばらくの時が流れた。


 薬舗には今日も多くの人々が訪れ、笑顔と「ありがとう」の言葉が絶えない。


 薬を求める人。


 身体の不調を相談する人。


 そして、ただ世間話をしに立ち寄る人。


 いつしかこの場所は、街の人々にとっても大切な憩いの場所になり始めていた。


 営業を終えた夕暮れ。


 シャルロットは一人、屋敷の庭へ出る。


 茜色に染まった空を見上げると、心地よい風が頬を優しく撫でていった。


「綺麗ですね……」


 小さく呟き、ゆっくりと屋敷を振り返る。


 窓からは温かな灯りが漏れ、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。


「シャルロットー!」


「ご飯できたよー!」


 リュンヌの元気な声が響く。


「姉さん、今日はシチューだよ」


 ルークが玄関から笑顔で手を振る。


「お姉ちゃん!」


「早く早く!」


 ソレイユも待ちきれない様子で顔を覗かせた。


 エレナは呆れたように肩をすくめながらも、食卓の準備を手伝っている。


「全く、落ち着きのない者たちじゃ」


 そう言いながらも、その口元には優しい笑みが浮かんでいた。


 アマリリスは念の力で食器を運びながら、楽しそうに鼻歌を歌っている。


「あと一枚!」


「できたー!」


 その光景を見つめながら、シャルロットは自然と微笑んだ。


(不思議ですね……)


 前世、大聖女ミュゲとして生きていた頃。


 世界を救うため旅を続け、多くの人々を助けてきた。


 けれど――。


 こうして「おかえり」と迎えてくれる場所はなかった。


 血の繋がりはない。


 種族も違う。


 生まれ育った場所も違う。


 それでも互いを思いやり、


 支え合い、


 笑い合える。


 いつしか皆は、かけがえのない家族になっていた。


 失った家族の代わりではない。


 寂しさを埋めるための存在でもない。


 一人ひとりとの出会いを大切に重ね、その絆を少しずつ育んできた。


 だからこそ、この家族は世界に一つだけの宝物だった。


 シャルロットは胸へそっと手を当てる。


 その胸には、前世では知ることのできなかった温かな幸せが、確かに息づいていた。


「今行きます」


 優しく微笑みながら玄関へ向かう。


 帰る場所がある。


 待っていてくれる人がいる。


 笑い合える家族がいる。


 それは、どんな奇跡にも代えがたい宝物だった。


 こうしてシャルロットの第二の人生は、かけがえのない仲間たちとの出会いによって、少しずつ色鮮やかなものへと変わっていく。


 その温かな日々は、これからも続いていくのだった。

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