Episode 35 ローマ劇場コンペティション
(朝食の時間)
サヤン:「リリー、朝ごはんだぞ。」
エナ・ママ:「呼んでも無駄よ。あの子、朝の4時からイザベラのところへ行ってるわ。」
サヤン:「4時だって!?」
エナ・ママ:「しょうがないでしょ。あの子の頑固さは、誰にも止められないわ。」
(バレエ教室にて)
イザベラ:「自然の動きを観察して、それを吸収するのよ。体の中から動きを突き動かして、もっと身体をしなやかにするの!」
リリー:(心の中で)「あと10分……自分に負けちゃダメ。リリー、あなたはもっとできる。バランスを保って!」
(数日後……)
イザベラ:「ここが Théâtre Gallo-Romain の舞台よ。」
リリー:「わぁ……なんて大きな階段なの!」
アンバー:「歴史の重みがすごいわね。」
(彼女たちは劇場の舞台で練習を重ね、ヴュー・リヨン、そしてリヨンの街中すべてを自分たちのステージに変えて猛練習を続けた)
(夜遅く)
サヤン:「リリー、足にひどいマメができているじゃないか。手当てをさせてくれ。」
リリー:「いいえ、サヤン。この痛みは耐えられるわ。でも、あなたを失う痛みは、これよりもずっとずっと大きいの。」
(リリーは毎日、自分自身と闘い続けていた。朝4時、リリーは自分に言い聞かせる。『起きなさい! バレリーナになれば、何だってできるんだから!』)
イザベラ:「リリー、最高よ。あと少しで市大会だわ。この努力を絶対に止めないで。」
(その頃、エヴァ・グリーンは着々と証拠を揃え、ついに法廷で裁判が始まっていた)
エヴァ・グリーン:「ルーおじさま(Uncle Luo)は本当に素晴らしいわ。すごく助けてくれたの。」
サヤン:「ああ……。」
リリー:「ねえ、私のマックス(猫)はどこ? 見当たらないの。」
サヤン:「さっきまでそこにいたはずだが……。」
リリー:「……ねえサヤン、あなたは猫と私、どっちが好き?」
サヤン:「えっ……それは……」
(サヤンは顔を赤らめてしまい、答えに窮してしまう)
(エヴァ・グリーンとレモンは、わざとらしく目を泳がせる)
エヴァ・グリーン:「あら、あの花、とっても綺麗ね。」
レモン:「どれのことだ? ……あぁ、あれか……。」
サヤン:「……お前たち、一体何をしてるんだ?」
レモン:「いやいや、二人の邪魔はしないよ。俺たちは後で仕事に戻るから、どうぞ続けてくれ。」
Théâtre Gallo-Romainでの戦い:勝利の先の不安
アンバー:「リリー、忘れないで。今日勝てなかったら、サヤンのことは諦めなきゃいけないんだからね。」
(コンクールが始まった。リリーは完璧な踊りを披露し、優勝に最も近い存在だった。しかし、最後の最後で足が舞台の上で滑り、わずかにバランスを崩してしまった。)
リリー:(泣きながら)「ダメよ……転んでしまった。こんなことじゃ、次のコンクールなんて勝てるはずがないわ……。」
アンバー:「何言ってるの! おめでとう、リリー! あなた、Opéra de Paris への出場権を手にしたのよ!」
リリー:「……2位なんて、負けるよりも悔しいわ。」
(リリーはそのまま家に戻り、部屋に閉じこもった)
リリー:(泣きながら)「ここで転んでしまうようじゃ、あそこでの勝負はもっと厳しいはずよ……。私、一体どうすればいいの。」
サヤン:「……リリー、食事の時間だ。」
リリー:「いらない……何も食べたくないわ。お腹なんて空いてないの。」
サヤン:「リリー、自分を追い詰めるのはもうやめるんだ。もし限界なら……もし君が壊れてしまいそうなら、もういい。辞めてもいいんだ。それでも、僕は君を受け入れるから。」
リリー:「私が負けたと思ってるの? 私はもう、あなたの言うなりにはならないわ。これ以上の努力が必要なら、いくらだってしてやるんだから! もっと練習して、コンクールに勝って、胸を張ってあなたに私の告白(proposal)を認めさせてみせるわ。……練習に行ってくる。夜の12時前には帰るから。」
(リリーが去った後……)
エナ・ママ:「サヤン、もういい加減にしなさい。あんなにリリーを苦しめないで。あなただって、あの子のことが好きなんでしょ?」
サヤン:「……いいえ。今の彼女は、転ぶたびに泣いていた以前のリリーじゃない。今は何度倒れても、自分の力で立ち上がる強さを持っている。僕の出した試練が、リリーに『誇り(respect)』を与えることになるなら、僕はそれで本望です。もし、彼女の記憶がすべて戻った時……。もし彼女が僕を拒絶したとしても、その時の彼女はもう、身寄りのない孤独な少女じゃない。パリオペラ座の、美しく気高いバレリーナだ。彼女には、自分の誇りがあり、尊敬があり、家もお金も、そして一生の仕事(profession)がある。記憶が戻ったからといって、『行くあてがないから』という理由だけで義務感で僕と結婚してほしくないんです。すべてを思い出し、自立したプロフェッショナルになった後でも、それでも僕を選んでくれるなら……。それが僕にとっての本当の幸せです。彼女に責任を押し付けたくない。彼女が誰にも依存しない強さを持つこと。それこそが、あの地獄のような3年間の虐待に対する、真の救い(justice)になるはずだから。」




