転がり始めた石は止まらない
段々書いてて意味が分からなくなってきて不安になってきました…。完結しますように。
すぐ様祈りの体勢をとり声を掛ける。
「シャルディア様……私の声が聞こえますか」
するとふわっと風が吹き目を開けると目の前にシャルディアが立っていた。
「シャルディア様! あの、神殿で変な事が起こっていてっ」
「あぁ、分かっている」
「新しい聖女とは……」
「この間良くないものが生まれたと言っただろ」
「はい…」
「どうやらそれが次の聖女を選ぶ精霊だったのだが、未熟で生まれてしまった為に力を中途半端に与えてしまったらしい」
「そ、れは……」
「そのせいで本来まだ誕生しないはずの聖女が出てくる事になったようだ」
「私はどうしたら」
「新しい聖女は未熟な為、力がまだ全然使えないはずだ。 だからミーシャが聖女なのは変わらない」
「そうですか」
でも、新しい聖女が誕生するという事は聖女の交代を示す。いくら私が説明したからといって、今までの流れから分かってくれるとも思わない。
そうなれば私はもう必要ないのだろうか。
これからをどうやって説明するか不安になりつつも精霊界から戻る。
とりあえず、司教様に報告をと思っていたら……。
「ミーシャ。 この子が新しく聖女になるアイラだ」
「よ、よろしくお願いします」
司教様から聖女の紹介をされる事に。
少女はアイラといい平民だった。可愛らしい顔立ちで守ってあげたくなる雰囲気があった。
「ま、待ってください! 聖女はまだ誕生してないと伝えたではないですか!」
「それは君が勝手に言っているだけであろう」
「ですが! 精霊達が言っているのです」
「精霊が?」
「はい」
精霊は聖女にしか見えない。だからこそ癒しの力を授かる事で周りに示す。しかし司教は……。
「それも君の嘘なのでは?」
「なっ」
「そもそも、聖女にしか見えない精霊を我々はどう信じれば良いのだ?」
司教という立場なのに精霊を信じていないなんてっ。
「聖女の癒しの力は精霊たちが与えてくれます」
「では、このアイラも精霊から力を与えてもらったのだから、精霊が見えるはずだ」
「え、精霊ですか」
キョロキョロと周りを見渡すアイラ。
『あの子には見えないよ』
『だってまだ本当の聖女じゃないしね』
『そもそもその子に付くはずの精霊は眠っているから』
「司教様。 彼女に付くはずの精霊はまだ眠っているそうです」
「なに?」
「確かに精霊は見えません」
「その精霊は未熟で生まれた為、中途半端に力を与えてしまったのです。 なので、本来成長してから生まれるはずの聖女が早く誕生してしまったんです」
「ですが! 私は聞きました! 君に力をあげるって」
「ですから、それはっ」
「ミーシャよ。 自分が聖女でなくなる不安は分かるがこれも流れなのだ」
「不安なのではなく事実です!」
「それにアイラは今は聖女じゃないが次期聖女なのだろう? だったら、良いではないか。 少し早まっただけであろう」
『あの子、今は力があるけど一時だけだよ』
『だって正式な聖女じゃないし、精霊もいないし』
『一時溜まった力は無くなったら何も出来なくなる』
『むしろ、今無理に使ったら聖女になった時力が全然出なくなるんだから!』
精霊達が説明してくれているのを必死に伝えているのに司教様は既にアイラを新しい聖女として迎えようとする様子があった。
(もう、だめだわ。 何を言っても伝わらない)
※
数日経ったがあれから表立ってアイラが聖女とは言ってないが、神殿では既に次の聖女として迎えられ王宮でも新しい聖女が誕生したと噂されていた。
そんな噂のせいなのか、ミーシャに話し掛ける人が少なくなり皆よそよそしくなった。
(聖女じゃなくなる訳じゃないのに、次に代わるだけでこうって……私の存在ってちっぽけだったのね)
しかし、アイラは力が安定していないからと仕事や慈善事業はミーシャが行う事に。
民達は新しい聖女の事は知らない為、今まで通りミーシャへの対応は変わらないのが救いだった。
その日も仕事が終わりくたくたになって帰ってくると、殿下が部屋で待っていた。
「殿下」
「ミーシャ。 君には失望したよ」
「どういう事でしょうか」
「新しい聖女が現れたのを祝福するどころか、聖女ではないと言ったらしいな」
(誰よ殿下に言ったのはこの人に言ったらややこしくなるのに!)
「殿下、それは誤解です。 彼女には本来付くはずの精霊が付いていないのです」
「司教にもそう言ったそうだが、彼女はその精霊から力を授かったと言っていたぞ」
「彼女に会ったんですか?」
「あぁ、可哀想に突然連れられて不安そうに震えていたよ」
「震えて……?」
この前会った彼女は、そんな感じでもなかったけど。
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